行き着く先が見えなくて。

私たちはどこに向かっているのだろう。
どこに辿り着くのだろう。

私の未来に、彼はいるのだろうか。



彼と出会ったのは、大学2年の時だった。みんなで遊ぶ時もなんとなくよく一緒にいて、これといった大きなきっかけもなくいつの間にやら彼氏と彼女になって、あっという間に4年が過ぎた。
笑うポイントも怒るポイントもだいたい一緒で、映画の好みも食の好みもだいたい一緒。常にふたりでいるよりも、お互いの時間を尊重しあえるところも合うから居心地が良い。なんだかとってもしっくりくるし、自然体でいられるのがありがたい。

私、この人と結婚するんだろうな。

この時はまだ、ぼんやりとそう思っていた。



20代も半ばになると、周りの友達がどんどん結婚していく。ラッシュってやつ。もう付き合って6年目だし、半同棲状態なんだしそろそろじゃない?と周りからも言われ、誕生日や記念日、クリスマスなんかにはちょっとそわそわしていた。もしかして、今日プロポーズされるんじゃないかって。


それなのに、誕生日も記念日もクリスマスも、何度通り過ぎただろう。



30歳の誕生日、いよいよか、と思ってた。夜景の見えるレストランに行くなんていうから、てっきりプロポーズだって思ってた。

「俺たちもなんだかんだで長いし、最近デートもしてないし家で食べてばっかだったから、たまにはこういうところも行かないとと思って」


それだけだった。

プレゼントは、私が欲しがっていたちょっと良いお値段の、音の良いヘッドホン。よくわかってる。よくわかってくれてるんだけど、全然わかってない。私の好みは全て把握してくれていて、阿吽の呼吸とも言える抜群のパートナーでいてくれているくせに、私の一番欲しいものをまるでわかっていない。


彼は楽しそうに、仕事で昇進する話を聞かせてくれた。

それってもしかして、"もっと稼ぐから心配しないで嫁に来い"って続きがあるんじゃないかって、性懲りも無く期待したりなんかして。縋るように小さな希望を見つけては、急降下で打ちのめされる。



彼との日々も、10年を超えた。一緒に暮らすようになってからも、5年は経つ。一体いつまでこの状態なんだろう。結婚の話は流されることが多くなり、いつしか話題にしなくなっていた。彼のタイミングを待っていたら良いのだろうか。ずっと、ずっと待っていたら良いのだろうか。

私のタイミングは?


長く付き合っていると、もう彼しかいないような気もしてくるし、ここまで居心地のいい人には出会えないのではないかとも思う。好きじゃなくなったわけじゃないけれど、ときどき恋愛感情として好きなのかもわからなくなる。

まるでトンネルの中に閉じ込められたみたいだ。

私の未来に、彼はいるのだろうか。

辿り着く先がわからずにいる。


それでも、当たり前の存在を失うことはできなくて。

いくら次の電車が来ても、一歩踏み出すことはできなくて。






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サカエ コウ。

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2019年7月のnote

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