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さよならで終わらせて

付き合っていると、さよならするときは別れ話をするだろう。

私たちには、それがない。


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会うのは気まぐれ。忙しい君が来るのは、決まって深夜だ。
また会うかどうかもわからない、曖昧な関係。
それが気楽で、たまにちょっぴり寂しい。

会えない日々が愛を育てるなんて言うけれど、会えない日々は自分の生活をするだけだ。多くは干渉しない。生きているのならそれでいい。それでまた会えたなら、やっぱりとても嬉しいのだ。


返事が返ってこなくなったと思ったら、1ヶ月後に普通に返ってきたり。

「え?いま?笑」
「うん、いま。」

なんてやり取りで、空白の時間が埋まる。


今度もなかなか返事がない。
仕事が忙しいのはわかるので、特になにも言わずに日々を過ごす。
急かすでもなく。つつくでもなく。

そうして次第に、これはもうおしまいなのかもしれない、と気づく。


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私たちの終わりにさよならはない。

いつの間にか終わってしまうものなのかもしれない。

けれどそれでは、気持ちの区切りはつかないまま。

またふらっと来るかもしれないなんて、淡い期待に縛られてしまう。


君が愛してないのは知ってるから、
せめて最後はさよならで終わらせて、と願う。

君の影を追わなくていいように、さよならで切り捨ててほしい。

君がさよならを告げるなら、私はそれを飲み干そう。



けれど君はそれをしない。


そして私も何も言わない。




#ショートストーリー #小さな物語 #金曜ビター倶楽部 #恋愛 #恋人未満

サポートとても嬉しいです。凹んだ時や、人の幸せを素直に喜べない”ひねくれ期”に、心を丸くしてくれるようなものにあてさせていただきます。先日、ティラミスと珈琲を頂きました。なんだか少し、心が優しくなれた気がします。