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エッセイを教えてくれたひと

さくらももこさんが亡くなったと、母から連絡があった。まだ53歳、乳がんだったそうだ。

小学生の頃、親からの誕生日プレゼントは本と決まっていた。毎年欲しい本を吟味し、そのうち何冊かはさくらももこさんのエッセイだった。私がエッセイを好きになったのは、さくらももこさんがきっかけだったのだと思う。

ちびまる子ちゃんは漫画も全て持っていて、アニメも観ていた。百恵ちゃんやヒデキ、昭和のエピソードに、1番共感して観ていたのはちびまる子ちゃんと同世代の母だった。
母はさくらももこさんと同い年だ。

「さくらももこさん亡くなったって。乳がんだったって。53歳、お母さんと同い年…」

そう連絡をくれた母は、複雑な思いがあったのだと思う。自分と同い年の人が亡くなると、心がざわざわして、どうしても不安になる。病気は他人事じゃない。

私は過去に胸のしこりを2回摘出しているので、母にも検診には定期的に行くようにお願いしていた。それでも、平和ボケした毎日にすっかり忘れていたらしい。

ひとは忘れてしまうのだ。

病気は他人事じゃないってことを。

病気になると、「まさか!なんで私が⁉︎」となるのだ。

けれど、気を付けていようが定期的に検診に行っていようが、なる時はなるらしい。こればっかりは、医者にもどうしようもないのだと。それでも、せめて早期発見できるように、検診には行って欲しいと娘は切実に思う。

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どうも思った以上に、さくらももこさんの訃報にショックが大きくて、かなり動揺している。
正直なところ頭の中がまとまらない。着地も考えないまま書いている。

そういうふうにできている・あのころ・さくら日和・もものかんづめ・まる子だった・たいのおかしら・さるのこしかけ・世界あっちこっちめぐり・憧れの魔法使い...読んだ本を思い返しても、けっこう出てくるものだ。

まだまだ他にもたくさんあるが、これらの本はご本人が亡くなっても残り続ける。ずっと残り続ける。

「そういうふうにできている」は息子さんを妊娠・出産した時のエッセイで、本を読めばその時の、母であるさくらももこさんの日々や想いを覗くことができる。息子さんは本を開けばそれを知る事ができるのだ。

そう思うと、エッセイを残すというのは尊いなと思った。なんてことない日常だったとしても、まとまりのない文章だとしても、もしも私が先に逝ったら、母にもこのnoteのアカウントを教えてあげたい。

エッセイはまるで生きていた軌跡を残すようなものだな、と涙目になりながら思った。さくらももこさんにはもう会う事は叶わないが、本を開けばいつでも、会えるような気がする。


さくらももこさんのご冥福を心よりお祈り致します。たくさん与えてくださりありがとうございました。大好きです。


#エッセイ #日記 #さくらももこさん #漫画家 #エッセイスト #乳がん #検診

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