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ちっとも謎めいてなくたっていいから、ずっと私だけのヒーローでいて。

私にとって、彼はヒーローだった。
つまんない日々を極彩色に染めてくれた、優しくて、謎めいたヒーロー。


「謎が多いほうが面白くない?知っていくのはゆっくりでいいんだよ」

そう言った彼は、本当に謎の多い人だった。
仕事もなかなか教えてくれなかったし、名前を聞いてもはぐらかされた。いつも飄々としていて、広い空を漂う雲みたいに掴みどころがなかった。

知りたくて、知りたくて、もっと知りたくて。

のめり込むように好きになっていったんだ。


少しずつ、少しずつ知っていき、何年も何年も一緒にいるうちに、大抵のことは知ってるし、もう謎はなくなっていた。あんなに遠くに感じていたのに、じっくりじっくりと近づいて、今では溶け合うようにわかってる。



「あ、音楽かけて」

茹だるような暑さの中、エンジンを掛けて、彼が言う。

私は迷わずミスチルを流す。

ドヤ顔で彼を見て、目を合わせふたり 笑った。



さて行きますか。

永い未来を誓いに、懐かしい街へ。




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ワクワクすること、考え中〜*
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サカエ コウ。

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2019年8月のnote

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