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【ジョジョnote】第4部考察 その① 第4部のテーマ ー振り返りー

ジョジョnoteを書くことにしました。

ジョジョのテーマの考察は、第4部からが面白いと思っているので、ここからいきます。

目次
ジョジョnote

1. 第4部のテーマとは?

そもそもジョジョの奇妙な冒険とは、当初の構想として、第1部から第3部だった。

JOJOmenon p15の荒木先生のインタビューにこうある。

「...、さらに主人公に敗れた敵が何らかのきっかけで甦って、子孫を襲いに来るというところまでは何となく考えていました。そういう意味では、第3部の『スターダストクルセイダーズ』までの構想はありました。」
(JOJOmemon p15 5段目 22-28行目)

つまり、ジョジョの第1部から第3部までは、ジョースター家とディオの因縁の闘い、というストーリーを貫く強固な柱があったわけだ。


一方で、第4部はどうだろうか?

第4部には、第3部で生まれたスタンドや、一つの街を舞台にした不思議な話、これまでになかった絵画性や抽象性など、たくさんのアイデアが盛り込まれている。
しかしながら、肝心の「ストーリーを貫く大きな柱」が無いのだ


このストーリー上の方向性が見えない感じは、特に第4部初期〜中期で顕著だ。

この考えは僕の妄想だろうか?

「...、僕自身としては第3部で描き切れなかったことを第4部でやったという意識で、転換という意味では第5部のほうがよっぽど大きな変化だったと思います。第1部から第3部はひとつの大きな流れがあって、そこからゆるやかに広がっていったのが第4部で、第5部からはテーマ性がぐっと深化した。だから、初期の構想から考えると、「ジョジョ」は第4部で終わっていたといえるかもしれませんね。」
(JOJOmenon p19 37行目 - p20 6行目)

このように、第4部というのはジョジョの奇妙な冒険という長編を考える上で、重要な過渡期なのだ。


さて、そのような前提を踏まえた上で、第4部からテーマを抽出してみよう。

・「振り返る」こと
・日常が牙をむく
・「人間讃歌」というテーマの進化
・最も「黄金の精神」を持っていたのは誰か?

まずは、「振り返り」のことをここで書く。
日常が牙をむく、と人間讃歌については、次のスタンドの部分で触れる。
そして、最後に「黄金の精神」について書いてみる。

2. 第4部のテーマ ー振り返りー


僕は、第4部の大きなテーマが、「振り返る」だと思っている。

① 仗助の能力は、「時間を戻す」

「治す」「直す」という言葉に引っ張られて見落としがちだが、
仗助の能力の本質は「時間を戻す」ことだ。
「直す」だけだったら、レッチリ戦でアスファルトを原料のコールタールまで「なおす」ってのは少し無理がある。

「時間を戻す」というのは、仗助自身の願望とも合致する。
仗助の深い部分の心理描写や過去の体験は物語中ではあまり語られない。
しかし、康一の回想に出てくる、幼少時のリーゼントの男への憧れが、朧げながら仗助の意志を反映しているのではないか?
スタンドというのは、本人の精神が反映されたものだから、仗助自身に「過去に戻りたい」という気持ちがあるのかもしれない。
だが、戻れない。
だから、「自分自身は戻せない=治せない」

「時間を戻す」というのは、ディオと承太郎の関係のように、「主人公とボスの能力が似ている・関連している」という構図とも合致しているし、ジョースター側の能力もまた「時間」にまつわるものだ、という点はジョジョ全体を考えても妥当な考えだと思う。

② 吉良の第3の能力も「時を戻す」

これは言うまでもないだろう。
重要な点は、「自分自身も含めて時間を戻せる」こと。
この点は仗助を凌駕している。

③ 「振り向いてはいけない小道」

中盤からのストーリー上の軸が、吉良吉影という殺人鬼の追跡であり、
それは15年前の杉本鈴美の事件を解くということだ。
ここから第4部の物語が大きく動き出していく。
そこで出てくる重要なアイテムが「振り向いてはいけない小道」。
第4部の途中で少し唐突に登場した気もするが、終盤の決着のつけかたに加えて、第4部のテーマが「振り返り」なのだとすれば、第4部を最も象徴するアイテムといえる

④ 背中に取り付くスタンド

最後の吉良吉影戦の直前に、露伴が襲われるスタンド「チープ・トリック」。
これは、終盤で登場させる「振り向いてはいけない小道」をリマインドさせるための伏線だったのではないだろうか?
この点からも、「振り返り」が重要なテーマであるといえるだろう。


3. スタンドの共通点は?


第4部のスタンドには、実は大きな共通点がある。

それは、「人間の身体・心にまつわる」ということ。

人間讃歌を描く上では、最も良い材料だろう。
第3部で登場したスタンドという概念について、第4部で仕切り直すと考えた時に荒木先生が縛りをつけたのかもしれない。

実際にみてみよう。

仗助・吉良は最後に書く。

アンジェロ「アクア・ネックレス」=(後述)
億泰「ザ・ハンド」=
形兆「バッド・カンパニー」=(後述)
玉美「ザ・ロック」=罪悪感
康一「エコーズACT1・2」=音・聴覚
間田「サーフィス」=皮膚・外見
山岸「ラブ・デラックス」=頭髪
トニオ「パール・ジャム」=食事・新陳代謝
音石「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」=(後述)
静(透明の赤ん坊)「アクトン・ベイビー」=目・視覚(見えない)
露伴「ヘブンズ・ドアー」=内面・思考・記憶
虫食い&虫食いではない「ラット」=
重ちー「ハーヴェスト」=(後述)
吉良「キラー・クイーン」=(後述)
辻「シンデレラ」=整形・外見
吉良「シアーハートアタック」=(後述)
康一「エコーズACT3」=(後述)
吉良親父「アトム・ハート・ファーザー」=写真・視覚(見える)
ジャンケン小僧「ボーイ・II・マン」=敗北感
未起隆「アース・ウィンド・アンド・ファイアー」=変身(スタンドなのか?)
噴上「ハイウェイ・スター」=(後述)
猫草「ストレイ・キャット」=(後述)
鋼田一「スーパー・フライ」=鉄塔 -> 鉄骨 -> 骨格
宮本「エニグマ」=恐怖
乙「チープ・トリック」=背中

かなりのスタンドが、身体・心にまつわることがよくわかる。

次は、後述したものを見直してみよう。


まず、バッド・カンパニーとハーヴェストは類似したスタンドだ。
無数の小さなスタンドが、一方は外敵を排除し、もう一方は物の運搬を担う。
これは、「血液」を模しているのではないか?
バッド・カンパニーが白血球(免疫)ハーヴェストが赤血球(酸素運搬)となぞらえることができる。

透明の赤ん坊吉良の親父も同様だ。
どちらも「視覚」にまつわるスタンドだ。
透明の赤ん坊は「見えなくなる」スタンド。
吉良の親父は「写真=見えたものを支配する」スタンドだ。

康一の「エコーズACT3」はどうだろう?
これも、身体というキーワードで捉え直すとよくわかる。
なのだ。
音 -> 耳 -> 三半規管 -> 重力

猫草は空気のスタンドだから、ちょっと屁理屈感があるが、
呼吸・肺として捉えることもできなくはない。

ここまでくると、ある疑問が浮かぶ。
鼻とか、足とかのメジャーどころがないじゃないか?
あと、消化器とか栄養は?
ふふふ…
それを混ぜ合わせたものが「ハイウェイ・スター」だ。
におい(嗅覚)で追跡し(足)、養分を吸い取る(消化器)

さて、残るはボス3人。
まず、身体の点だけで考えると、
アンジェロは「水分」、音石は「神経」と捉えることができる。

だが、それ以上にボス3人には別の共通点がある。
それは、インフラだ。

アンジェロ=水道
音石=電気
吉良+猫草=ガス(爆発・熱)

ここが、冒頭で書いた第4部のテーマ、「日常が牙をむく」につながる。
荒木先生はホラー映画好きなことはよく知られているし、ジョジョでも恐怖演出がよく出てくる。
第4部の設定を街、とする時に、
「僕らの生活に必要なインフラが自分を襲ってきたら怖いだろうな!」
なんて考えて、ボスのスタンドの設定をしたのかもしれない(僕の妄想です)。


そして、最後に残しておいた仗助と吉良の関係。

こうして考えると、仗助の立ち位置は「医者」なのではないか?
杜王町という街の平和を守るために、壊れた部分を治す人。
杜王町の平和を取り戻す人。

それに対して、吉良吉影は「杜王町という町が生んだ怪物」なのだ。
そして、町自身がその怪物によって傷つけられた。(最終回の康一)
吉良の利己的な性格、自分のことだけを考えて邁進する姿。
これは、「がん細胞」を表しているのではないか?

以上が第4部のスタンドの共通点の考察だ。


タイトル画像は仙台駅でした。
S市杜王町ですから。

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