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フィナンシェ奮闘記。

新宿伊勢丹のポップアップも残り3日。フィナンシェも毎日現場で焼いています。

今回フィナンシェをやろうと思ったきっかけは常温で持ち運び出来るものが欲しかったのと、単純に美味しく出来てプレゼントやイベントで配ってみたらとてもリアクションが良かったから。

でもやはり新しいものを作るのは大変で、スタッフの手も足りていないし、作業自体にも慣れておらず、生産量を限定することでなんとか実現にこぎつけました。

なので専用パッケージもないしとにかくバタバタで乗り越えてるのが現状です。。。

でもその中で見えてきた事も良かった事も沢山あるので、自分への日記だと思って書き記します。

まだ終わってないけどスタッフのみんな本当にお疲れ様です。あと少し頑張ろう!


①レシピがない


最初はプレゼントキャンペーンの為にフィナンシェを作っただけなので、ちゃんとしたレシピがありませんでした。多くの人に安定的に届ける為には、それを意識したレシピが必要です。しかも人生最高の〜と謳っているミスチのフィナンシェなので、それ相応の味わいが必須。僕の人生でフィナンシェの作ったことがほぼなかったので、スタッフと一緒に考えました。

元々一ツ星レストランで働いていた佐野ちゃんと8年間パティシエとして働いていた植田ちゃんの2人が色々と考えてくれた。

基本のレシピはありません。僕もレシピを持っているわけではなかったので、2人に自分が美味しいと思うレシピで一度作ってもらい、それを食べてレシピと作り方を確認しながら試食をしました。

僕はレシピを持っていなくても、食べて材料をみれば改善点が大体わかります。改善点というか自分の好みの味にするにはどうしたらいいかって言った方が正しいですね。

勿論レシピを自分で持っていなくてもある程度は自分で作れます。でも僕はあえて最初からスタッフに任せました。そうすることで多くの気づきがあると思ったからです。

先ずは自分が作った物を僕が食べるという小さなプレッシャー。最初に自分が美味しいと思うレシピでと伝えているので、これが私の美味しいです!と僕に伝えることになります。勿論それで怒ったりするわけではないですが、やはり緊張はすると思います。

それに当たって自分の感じる美味しいが何かを考えます。若いスタッフはまだ自分の美味しいの基準を言語化できません。なので先ずは自分が何を美味しいと感じていたかを過去の記憶から探ります

僕はこの作業が一番大切だと思っています。普段何気なく食べているものに対して、美味しい以上の考えを挟む人はあまりいません。美味しいが瞬間的なもので終わっている。どうやって作られているからなのか、どんな材料だからなのか。

美味しいの中にもレベルがあるはずなのですが、それを段階的に判断するのはとても訓練が必要な作業なのですが、実際に自分がものを作り、それを評価される立場にならなければその感覚を持つのが難しい。

だからこそ早めにその感覚を身につけて欲しかった。

そして作ったものの美味しいの言語化を作った本人と他のスタッフを含めてします。これは当たり前ですが、試作段階のレシピなのでそれについて追い詰めるようなコミュニケーションは皆無です。(たまにあるんですよ最初のレシピなのにつらつらと文句いう人)

このレビューは美味しいか美味しくないかの二択ではなく、材料から判断する美味しさの基準や、作り方による味わいの変化。焼き方によってどう感じるか。お菓子のボリューム感や一口目と二口目の違い、食感によって人がどう美味しさを感じるかや、香りによる美味しさの変化など詳細にコメントしていきます。

その中で今食べた美味しさと僕自身の求める美味しさの話をします。そしてその為にどうレシピを調節するかを考える。本人たちにも考えてもらいます。僕は自分の理想とする味をとにかく伝える。

最初のレシピ、変化させる内容、変化させたレシピ及び作り方を本人が全て管理する。そして前回ののレシピと新しいレシピの食べ比べをして更にレビューをする。

この繰り返しが本人達の血肉になると考えています。レシピを与えるだけでは絶対に体感できない変化を自分達が生み出す。ちょっとした材料の変化や焼き方の変化だけで美味しさは変わる。

レシピは作ることで生まれるのではなく、それを食べてどう感じるかで初めて生まれます。紙の上の数字は何も意味をなしません。それを実感する事が一番大切だからです。

②型も無い


当たり前なんですけど、必要な道具は何もありません。なので型をどうするかからスタートしました。大量生産の場合ベルトコンベア式が多いようで、焼きムラは出にくいのですが、僕たちのような小さなところは普通にオーブンで焼くので小回りの効く型を用意しなければなりません。

一個一個の細かい型だと洗うのに時間がかかったり、回転させるのも手数がかかります。ただ一枚の大きな型だと焼きムラをコントロールするのが難しい。風が回るタイプのオーブンなのでどうしても場所によってムラができるのでこれをどうにしないといけない。

という中からフィナンシェを8個焼ける型を選び、小回りと実用性を同時に取れる型を選びました。結構これが重要な選択になりました。

一個を作るのと5000個を作るのではレシピは同じでも作業は全く違います。型の種類によってここは全て決まってしまいます。なので全体感を持って作業や道具を考える必要がある。レシピが出来ていても、美味しく作れるわけじゃないんです。これが本当に難しいところですが、ここまで含めて美味しさは語られるべきです。(作る側限定の話。お客様には関係ないですが、ここまで知ってもらえると僕たちはめっちゃ喜びます)


③パッケージもない


当たり前ですけどパッケージもないんです。美味しいレシピも作れる環境もあって、でもパッケージがない。なので今回はチーズケーキの袋で販売しています。

フィナンシェの個包装の袋にはミスチのロゴが入ってます。

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これスタッフのミキティーが消しゴムはんこで作りました。驚愕です。凄過ぎる。クラファンのお茶の紙もミキティーが書いてます。カービングも出来るめちゃくちゃ器用な子。タレント揃いのミスチスタッフは本当に凄いんです。

そして今回販売する約7000個全て手押しです。(本来そんな事はあり得ないのですが、僕が勢いでフィナンシェやる事決めた為こんな事態に。マジでみんなありがとう)

こんなにクラフトなフィナンシェは今回限りです(笑)

まだ数日ですがかなりリアクションも良さそうなので、本格的にフィナンシェのパッケージも考えていきたいです。まだ先になりますけど。人でも時間も足りていません。


④スタッフも足りていない


8月のリニューアルのお陰で、本当に多くの人に知ってもらいチーズケーキの生産も追いついていません。そんな中勢いで決めたポップアップは迫ってくる。初めてのフィナンシェもやらないといけない。

クラファンのリターンも遅れてしまっていて本当に申し訳ないです。今月中には必ずお届けいたしますので、しばしお待ち頂けますと幸いです。

必死に採用を進めて今までの倍のスタッフになる予定ですが、今月はまだ少ないまま。本来はもっと数を用意するべきなのですが、スタッフのことや今後のことを考えて少ない数にしました。並んでいただいている方達本当にありがとうございます。

伊勢丹の方にも本当に助けて頂き今回のポップアップをさせて貰えてます。そしてさやぴやタカヤにも助けられています。販売の手伝いだったり、デザインを作ってもらったり。この2人のお陰で僕は製造側に回れている。それもこれもあやたろさんのお陰です。感謝しかない。

今後もっと沢山の人の幸せのお手伝いをする為に、新しいキッチンの検討も進めています。そしてもっと多くの仲間も必要になる。

もう少し先になりますが、改めて採用のご連絡をさせてもらえればと思っています。僕1人では何も出来ないのです。


残り3日。毎日色々な変化があり、そしてスタッフの成長もあります。日に日にフィナンシェの表情が素敵になっているのを見て、僕自身も本当に嬉しい。何より作っている植田ちゃんが、本当に大変で疲れていると思うのですが、楽しそうな笑顔で焼いてくれている。その笑顔がお客様を幸せにしています。

作り手も食べ手も幸せになれるように。

今回は本当にスタッフに無理をしてもらいました。本当にありがとうございます。そして本当にごめんなさい。今後はもっと余裕のあるスケジュールでやります。

ギリギリの中でやっており、至らない点も多々あると思います。僕達はミスチファンの皆様の優しさで成り立っています。それに甘えぬよう、更に良い環境を目指して頑張りますので、引き続き宜しくお願い致します!



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皆様の優しさに救われてます泣