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脱職人宣言!

取り敢えず真っ先に結論を言うと、僕は自分の事を職人という言葉で伝えていましたが、今度からは調理技術者(料理)と伝えようと決めました。

フードテクノロジストとでも言いましょうか。

職人という言葉に対する固定概念やネガティブな要素が増えてきたかなと思ったからです。

最近、いや、かなり昔から職人という言葉に対しての憧れと疑いの両方の思いがあります。これは日本に限った事かもしれませんが、職人という言葉が美化されすぎているのと、職人という言葉が可能性に蓋をしている。そして職人という言葉がネガティブに使われている機会も多いなと思っています。

職人さんだから仕方ないよね。って言葉をよく聞くんですけど、これって職人さんだからコミュニケーションが取りにくくても仕方ないよね、職人さんだからこれが使えなくても仕方ないよね、職人さんだから拘りが強いのも仕方ないよね。みたいな事も多いかなと。

あとは職人はこうあるべき論も強くて同調圧力みたいなものも少なくない。新しい事を始めるとあいつは職人じゃない、とかすぐに言われがち。なんとも言えない気持ちになる事も多いので、僕は職人という言葉を使うのをやめようと思いました。


職人とお金の不思議な関係


これ本当に不思議なのですが、職人ってお金の話がNGなんですよね。何故なのか僕はいまだに理解できていないんですけど。

職人は他にはない技術を持っています。それ自体がものすごい価値なのでその価値の分だけ対価をもらうべきだと思うし、技術の価値自体ももっと伝えるべきではないか。

技術の習得には凄まじい時間もお金もかかっている。勿論お金の為だけにそれをやってきてはいないだろうが、その価値は自分で付けて、自分で守っていくべきものではないだろうか?

これはずるいとかお金にガメツイとかそうゆう事とは違い、自分の価値を自分で正当に評価して、自分は勿論、同じように技術を磨いてきた人達の技術の価値を守ることにも繋がる。

金儲けの手段じゃない!って人もいますが、ならばボランティアでやれば良いのでは?と僕は思ってしまう。自分のやっていることに価値があるならば、それを自分で求めるべき。それが技術の価値につながるのではないだろうか?

当たり前だが法外な値段をつけろといかそうゆう類の話ではない。

自分の価値を高めるという事は、技術を磨き続けるという事。常に成長した自分を提示することになる。だからこそさらに磨かれる。

そんな風に自分を高める人が増えてほしい。

自分の価値を自分で下げてはいけないし、業界や職人の風習に惑わされてはいけない。



本当に伝えたい事は技術の価値


シェフ時代から僕は技術の価値が明確に伝わってない人達(いわゆる職人さん)をどうにかしたいと思っていました。(自分自身も含めて)

価値ある事を価値があると知って欲しいし伝えたい。必要以上に示したいわけではなく、過不足なく届ける為に何ができるか?という出発点です。それは今も変わっていません。だから知られていない価値あるものを世の中に広めたいと思っています。

それと同時に日本に存在している多くの価値ある技術を世界に知ってもらいた。そして何よりも日本人がその事実に気付くべきだと。

理想だけでは生きていけない。

僕の周りにいる生産者たちは物凄く色々な事を考えています。良い商品を作るだけでは売れない、知ってもらえない。知ってもらう為の努力が今まで以上に必要で、理想を掲げるよりも現実をどう乗り越えるかを必死で考えている。

しかし理想だけ突き詰めて乗り越えられてしまった人にはなかなか理解されない。

職人として生き残った人達には理解されにくい。

ここの差は、もちろん圧倒的な技術の差で生き残った人もいますが、ほとんどの場合は運だと感じている。どのタイミングでどんな風に知ってもらえるか。

このままでは多くの技術者が消えていってしまうかもしれない。

職人という言葉のせいで多くの可能性の芽を潰すことがないように、技術ある人が持続可能な世の中になるように。何も出来ないかもしれないけれど、少しでも日本という国が良くなるように何か出来ればと考えています。










皆様の優しさに救われてます泣