映画「赤い雪」

JR在来線で1時間ほどで行ける場所だったことと、その日のその時間が空いていたことで、トークショー付きで観ることができた。

監督の「小さな事件を描きたかった」という言葉が頭に残っている。

昔の事件を取材に来た記者と、その事件の被害者の兄を中心に話が進んでいくのだが、終盤に記者は「消えて」しまう。いきなり居なくなってしまうのだ。ある人物の言葉で、記者がその人物に「始末された」ことがわかるのだが、その詳細は画面には現れない。実際に自分が生きている現実社会では、自分が知らないうちに知人が亡くなっていた、ということがある。人が消えてしまうこと、知らないうちに居なくなってしまうことを突きつけられ、監督が言われていた「小さな事件」という言葉はこういう意味でもあったのかと思わされた。

被害者の兄は、忘れることで無意識のうちに逃れようとしていた自分のしたことを突きつけられ、唐突とも思えるラストでは、加害者の娘とボートに乗っている。その情景は、加害者の娘と被害者の兄ではなく、どちらも被害者の死に責任がある、共犯者だと言っているように見えた。

#赤い雪  

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