マーケティングが苦手だと思ったら
マーケティングは、数字とか売り上げとか、コンバージョンとかを求めるものじゃないんです。もちろん、ビジネスの上で数字は大切ですが、それ以上に大切なのは感情です。マーケティングが苦手な人へ、数字が全てだと思ってませんか?
東海道新幹線、東京から新大阪まで2時間30分です。これが2時間になるのと、新幹線内で無料で映画が見れる(飛行機みたいに)のと、どっちの方が満足度が上がると思いますか?(30分短縮のための開発費でどれほどの映画が買えるか!)
一つは、人々の課題を直接解決するモノ。もう一つは、人々の心が満たされるモノ。回転寿司(原始的価値)も、高級寿司(付加価値)も、どちらが良いとも悪いとも言えない。
コーヒー1杯をどれだけこだわっても、こだわれる機能性には限界がある。でも、カフェの雰囲気やスイーツの充実など、付加価値には無限の可能性がある。
数字が全てだと思ってたマーケティングでは、普遍的に価値があるやり方が重要視される。しかし、「お客さんに楽しんでもらう」感情面にフォーカスすると、クリエイティブに、楽しくマーケティングができる。
原価を下げるために、人件費を下げるためにどれほどの調査や研究が必要なことか。それよりも、値段を下げずにいかに社会に貢献できるかを考える方がずっとコスパがいい。
値段が高く、ブランドがしっかりした痛み止めの方が効く気がする。ジェネリック医薬品の方が効果が低い気がする。いったいどれほどの人口が実際にこのように感じていることか。偽薬はだましではなく、心に効く薬と言える。
人間の目と脳が、紫色を認識する。自然界の光には紫色はないのです。マーケティングでも、一見すると存在しない戦略が、相手には効果があることがある。数字で測れる効果が自然界だとしたら、一度紫色の効果を目指してみましょう。
全く同じ商品を売るのでも、受け取り手の感じ方にフォーカスすると全く違った結果が出る。例えば、百貨店で買ったノートは、近所の文房具屋さんで買ったノートよりも価値を感じる。
唐辛子に含まれる成分が、体温が上がる時と同じメカニズムを偽造するんです。唐辛子が熱を作るわけではありません。同じように、マーケティングを通して間接的に効果を作り上げてみるのも手です。
例えば、僕のビジネスの場合、ドキュメンタリー制作を売る際に、制作を通して相手が感じられる「誇らしさ」や「貢献感」を前もって感じてもらうことができます。「自分の人生の山あり谷ありを通して、未来の家族にエールを送りませんか?」という風に。
誰かに教えられなくても、トラやライオンが目の前に現れたら恐ろしい。誰かに教えられなくても、苦い野菜は美味しくない。人間の感情的な反応は、論理的(トラは檻から出られない、苦い野菜は栄養豊富)な反応よりも一時的で、影響力があるのです。
どうすればいいかわからない。何を選べばいいかわからない。人は「わからない」状況が大嫌いです。だから周りに合わせたり、営業担当の人の良さでモノを買ったりします。
僕「なんでそれ買ったの?」
家族「だって、売ってた人がすごいいい人やってんもん、」
Googleのシェアが高いのは、シンプルにGoogleの方がシンプルだから。シンプルだと、人は迷わなくていいし、専門性が高くて、説得力があるように感じるから。
待ち列は、ゴールが見えている方が待ちやすい。持久走は、スタートとゴール地点がはっきりする方が走りやすい。ドキュメンタリー制作は、どんな映像ができあがるのかある程度はっきりした方が説得しやすい。
みんな竹を選ぶ。真ん中を選ぶ。昔からあるマーケティング戦略だけど、あなどってはいけない。
知ってる知ってる。と言いたいけれど、実際にできるかはまだまだ謎。
「吸ってる吸ってる!」「いっぱい掃除したな〜」と感じられるから、dysonの掃除機は売れる。「軽い」とか「おしゃれ」とかそういう問題よりも、埃が見えるのがいいんです。
お薬って、苦いからいいんです。飲んだ後の達成感というか、満足感というか。コーヒーもそうです。苦いからいいんです。苦いから、飲みながら仕事が捗るんです。苦くない方がコーヒーの味を楽しめるんですけどね。
悩ませたら、それで試合終了になることも多いんです。できるだけお客さんの悩みに対する答えを提示してあげる。良い商品でも、悩ませたら買ってくれません。
ワインの利益率ってとんでもないんだそう。それは、人々はみんなワインの値段なんて知らないから。さらに、洋食レストラン行けば、すでにワイングラスは置いてあるし、頼まないわけにはいかないじゃないですか。
中小企業は、値段で戦ったら負けるんです。値段を抑えた商品を提供するのは、大企業なりの社会貢献。中小企業なりの社会貢献について考えてみるべきです。
僕は、人々が「自分の物語」を伝えるお手伝いをすることで、社会に貢献したい。
チェーン企業の唯一の役目は、普通に素晴らしいモノを、全店舗で統一して提供すること。マクドナルドはその点において世界一だし、統一して素晴らしいものは、人々に安心感を与え、「わからない」不安感を消し去ってくれる。
その安心感のことを、「スタンダード」と呼ぶ。そして、チェーン企業が増え、競争が生まれれば、それだけ世界のあらゆるスタンダードが上がっていくということ。そして、スタンダードが上がれば、社会環境は上がっていく。
マーケティングの目的の一つに、お客様の不安感を消し去るというのがある。写真があることで少しでも不安感が消えるのなら、それに越したことはない。
「今後もお付き合いがあるかもしれない」と思うから、クライアントに最善を尽くす。このブランドを買えば「あんな風に振る舞えるかもしれない」と思うからファッションは成り立つ。相手(人もモノも含む)に期待するから、世界は回る。
テレビCMが唯一効果があるとすれば、信頼感を出すことにある。テレビCMが高いのは周知だから、そんなことできるぐらいなら信頼できる大きな企業なんだろう、というのが人間心理である。
マーケティングは、企業からお客様への投資活動だと言える。相手の注目と時間を借りて、自分のビジネスを紹介するその数秒の間に、どれほど相手を思って投資ができるか。
マーケティングは心理操作ではない。相手の心に投資するのだ。
終わりに
今日の文章はこちらの講演の重要な点をまとめ、自分なりに解釈、例を追加しました。ご精読ありがとうございました。もしも何かお役に立っていればスキくださるとフィードバックと励みになります。
また数日以内に新しい内容を書きますので、どうぞお楽しみに。
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