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部分一致が最適解?リスティング広告3つの攻略ポイント

「CPAが合わない!リスティング広告でこの商材はもう勝てないな…」
なんて場面も、近年ますます増えていませんか?

競合がドンドン参入し、
CPCは上がり続け、
結局は入札単価の叩き合いに…

みたいになっているのは事実です。
Webマーケも厳しい世界になりましたね…

もし諦めそうな状況になってしまったら、キャンペーン構成、キーワード、広告文をもう一度見直してみると、何か光が見えるかもしれません。

私が最近引き継いだ4つの案件のリスティング広告は、KPIとなるBE(バックエンド)の受注単価が軒並み限界CPAオーバーという状況でした。

そこからキャンペーン構成、キーワード、広告文の3点を見直したところ、平均で30%ほどCPAが改善して危機を脱することができました。

もちろんどんな状況でも上手くいく必勝法ではありませんが、リスティング広告に取り組む人の引き出しのひとつになればと思い、私のノウハウを共有します。

簡単にまとめるとこうなります。


■キャンペーン構成
パフォーマンスに差異がある、扱う商品が異なる、検索意図が異なるといった要素に応じてキャンペーン、広告グループを分ける
■キーワード設定
フレーズ一致、完全一致を積極的に活用し、KPIとなる指標に最適化する
広告文作成
その他の候補キーワードを網羅しつつ、今すぐ客向けの訴求を意識して作成する


一定以上の運用経験のある方にとっては当たり前のようにやっている内容も多く含まれていると思いますので、興味のある部分だけを飛ばし読みしてください。

また前提を揃えるために、冒頭は現在のトレンドや考え方についての内容を書いています。

設定方法・改善方法だけ知りたい方は「キャンペーン•広告グループの設計」の見出しから読み始めてください。

マッチタイプは拡げるべき?絞り込むべき?

  • キャンペーンと広告グループは1つにまとめる

  • キーワードは部分一致で入稿する

  • さまざまな切り口で15個の見出しと4個の説明文を作成する

これで機械学習が促進され、キーワード設定していない検索クエリを拾うことができ、検索クエリに適した広告文が自動で出稿されてパフォーマンスが最大化する…

というのがトレンドだと聞く人も多いでしょう。
ただ、私個人的はこのやり方がハマるかどうかは案件次第だと思っています。

私の案件は引き継いだ当初が正にこのトレンドに沿った状態でした。
それで限界CPAを軽々と超えていたんですね。もう涙目です。
なぜ上手くいかなかったのでしょうか?

結論から言えば、広告グループ統合&部分一致で最大化できるのは「管理画面上のコンバージョン」に限られるからです。

広告グループ統合&部分一致がハマらない場合

広告グループを1つにまとめ、キーワードは部分一致で設定し、さまざまな切り口のレスポンシブ検索広告を入稿すれば、機械学習を促進しつつ新しい検索クエリを拾うことができるのは事実です。

これによって管理画面上のコンバージョンは多くの場合で最大化できますが、それがビジネス全体の最適解とは限りません。

  • 問い合わせ

  • リスト獲得

  • トライアル

リスティング広告上のコンバージョンは多くの場合で、こういったフロントエンドになっています。

実際にビジネスを支える売上を作っているのはリピート顧客のLTVやBE販売、実店舗への来店数であり、管理画面上のコンバージョンが多い一方でBE成約率やリピート率が低く、採算が取れない状況がよく起こります。

私の案件も正にこの状態に陥っていました。
もちろんですが、管理画面コンバージョンへの最適化が上手く機能する場合もあります。

広告グループ統合&部分一致がハマる場合

例えば大手の消費財ブランドには、リスティング広告を始めとしたWeb広告から直接的に売上につなげることを目的としていない場合があります。

大手のマーケティングフレームワークの一例が図のようなものです。

  • 好意度

  • 認知度

  • 配荷率

ユーザーに好意を持たれる商品とメッセージを作り、広くユーザーに知ってもらい、ユーザーが必要とするタイミングで購入できるよう配備する。

そんなマーケティングを展開するブランドにとってのWeb広告は、商品とメッセージをより多くの人に知ってもらうための、多くの媒体の1つです。

なのでリスティング広告に求められる役割も、サイト遷移数を増やしてより多くのユーザーに商品を認知してもらうことになります。

サイト遷移数が成果地点であれば、部分一致でできるだけ広く広告を出向し、クリック率を最も高める広告文を作成し、機械学習を目一杯活用することが効果的になるでしょう。

オフラインコンバージョンに無限の可能性?

ここまで、LTVやBE成約率、来店数など、管理画面で計測できない指標が重要なビジネスには、近年トレンドといわれるキャンペーン構成は必ずしも効果的でないという話をしてきました。

しかしそんな状況を改善するオプションとして、オフラインコンバージョンを管理画面にインポートする仕組みをGoogleは提供してくれています。

LTVやBE成約率、来店数といったデータを管理画面に返すことで、Googleがそれらの数字を踏まえて広告配信を最適化してくれるという非常に理に適った施策です。

ただ、導入のハードルは低くありません。
「フィードバックしたいKPIを毎日集計し、管理画面にフィードバックする仕組み」が必要になるためです。

毎日数値を返さないと最適化が崩れるためだそうですが、手動では大変ですし、ツールを用いても実現できている企業はまだまだ多くありません。

私も今までオフラインコンバージョン計測の仕組みを実現できている案件に携わったことがなく、どれだけ成果を上げてくれるかは把握できていないのが正直なところです。

BE成約率・来店数・LTVの改善法

  • キャンペーンや広告グループを1つにまとめる

  • 部分一致を中心に幅広いキーワードに出稿する

  • 機械学習を促進して管理画面パフォーマンスを高める

これだけでは管理画面の後ろの数字はなかなか上がってきません。

オフラインコンバージョンを計測導入できるなら最終的なパフォーマンスまで最適化に組み込める可能性があるものの、導入できるだけの体制が整ったビジネスは決して多くありません。

その状況ではどんな運用が成果を上げられるのでしょか?

私が実施した手法をひと言でいえば、「見込みの高いユーザーに絞って全部取る」方法だと言えます。
それを実現するための、

  • キャンペーン構成

  • キーワード設定

  • 広告文作成

について、これからお伝えしていきます。

キャンペーン・広告グループ・キーワードの設計

今回は例として、〇〇製薬会社の△△マルチビタミンというサプリメントのリスティング広告運用を新規で開始すると想定してみましょう。

新規案件で十分な事前準備期間がない場合、私は以下の工程で作業を進めます。

  • 「自社商品」「競合」「消費者」に対する最低限のリサーチを行う

  • リスティング広告で展開するキーワードを洗い出す

  • キーワードから逆算してキャンペーン•広告グループを設計する

  • 広告文とLPを作成する

作業自体はリサーチから始まりますが、「どういったキャンペーン、広告グループを設計するためのリサーチなのか」という前提がなければ、リサーチは非常に非効率になります。

なのでまずは前提を揃えるため、キャンペーンと広告グループに対する私の考え方からお伝えさせてください。

キャンペーン階層、広告グループ階層でコントロールするべき主要な要素をまとめてみます。


■キャンペーン階層でコントロールする要素
 ・予算管理
 ・機械学習の統合と分離

■広告グループ階層でコントロールする要素
 ・検索ニーズとペルソナに合わせた展開
 ・LPと広告文による訴求の出し分け


それぞれの要素を反映するために、私は以下のような構成をおすすめしています。

おすすめのキャンペーン構成

まずキャンペーン階層でコントロールするべき代表的な要素は、「予算」と「機械学習」です。

この2つを念頭にキャンペーンを分けるため、私が採用している構成と同じ形で運用している方も多いのではないでしょうか。
構成のポイントは以下になります。

  • パフォーマンスの大きく異なるキーワードを分ける

  • 予算を別管理するキーワードを分ける

  • 商品別に分ける

図の例ではキャンペーンを3つに分けており、それぞれの意図をお伝えします。

指名系キーワードのキャンペーン

「(MV)指名」というのが指名系キーワードのキャンペーンになります。

指名系キーワードとは「△△マルチビタミン」「〇〇製薬会社 マルチビタミン」「△△マルチビタミン 口コミ」など、自社や商品名を含んだキーワードを指します。

こういったキーワードで検索するユーザーは実際に自社商品の購入を検討している割合が高く、指名系キーワードはほとんどの案件で費用対効果が良くなるでしょう。

一方で検索ボリューム自体はその他のキャンペーンと比べてかなり小さくなります。

「全体の予算管理は他のキャンペーンで調整しつつ、指名系のキーワードでは取れるだけ取っていきたい」

という場合は、指名系キーワードのキャンペーンの日予算額を多く設定して予算による配信制限が起こらないようにしつつ、他のキャンペーンの日予算を少し抑え、全体でバランスを取ることをおすすめします。

一般キーワードのキャンペーン

「(MV)一般」としているのが一般キーワードのキャンペーンです。

一般キーワードとは「マルチビタミン おすすめ」「筋トレ マルチビタミン」「肌荒れ マルチビタミン」といった、実際に商品の購入を検討している顕在ニーズを持つユーザーの検索ワードです。

加えて「DHC マルチビタミン」など、競合の指名キーワードを設定する場合、私はそれらを一般キーワードのキャンペーンに含めます。

ここをいかに改善できるかにアカウントのパフォーマンスが左右されるので、全てのキャンペーンの中で最もリソースを割くことになるでしょう。

一般キーワードのキャンペーンは費用対効果とコンバージョンボリュームの両方を取りに行く主軸のキャンペーンです。

その他キーワードのキャンペーン

今回の例には「(MV)その他」というキャンペーンも入れました。

このキャンペーンは、潜在ニーズを持つユーザーをターゲットにした検索ワードに配信する場合に私が作成しているキャンペーンです。

「現時点ではマルチビタミンサプリに対する興味は薄いものの、マルチビタミンが提供できるメリットには興味がある」といったユーザーの検索ワードが対象になります。

例としては「シミ 予防」「頭痛 改善」「肩こり 改善」といったキーワードになります。費用対効果は低くなりがちなキャンペーンではあるものの、


  • 一般キーワードでは予算を消化し切れない場合に、費用対効果の低いキーワードに予算が使われすぎないようコントールしながら配信を行う。

  • 将来の予算増額の準備として、潜在ニーズを持つユーザー向けのキーワードの最適化を進めておく。

  • 自分や競合が見落としているが、実は費用対効果のよいお宝キーワードを発掘するため、予算配分を決めてテストを進める


といった場合に、一般キーワードや指名系キーワードと分けた少額のテスト予算で運用していくキャンペーンとして有効だと考えています。

別商品を取り扱う場合には別キャンペーンで

「マルチビタミンサプリから始まった案件だったけど、葉酸サプリも取り扱うことになった」という場合も起こりうるでしょう。

マルチビタミンと葉酸では、必要としているユーザーや検索されているキーワードも全く異なります。

こんな時、マルチビタミンサプリを扱ってきたキャンペーンに葉酸サプリの広告グループやキーワードを追加してしまうと、どんなことが起こるでしょうか。

機械学習はマルチビタミンサプリを購入したユーザーのデータをもとに、効率的にコンバージョンを獲得できるよう配信を最適化してくれています。

そこに葉酸サプリを購入したユーザーのデータが混ざると、マルチビタミンサプリに最適化されたキャンペーンの機械学習が崩れ、パフォーマンスを悪化させる大きな危険性が生まれます。

別商品を扱う場合は別キャンペーンでの配信を心がけましょう。

広告グループの分け方について

広告グループ階層で意識するポイントは「検索ニーズとペルソナ」「LPと広告文による訴求の出し分け」この2点です。

図の例では一般キーワードキャンペーンを「MV」「筋トレ」「肌荒れ」の、3つの広告グループを分けました。

なぜこの3つにしたかというと、マルチビタミンを利用する利用する意思が明確なキーワードを洗い出した時、この3つには異なった検索意図があり、大枠でユーザーを分類できると考えたからです。

キーワードから私が読み取った検索意図、広告グループで出し分けるべき訴求の違いをまとめます。


■筋トレ
筋力トレーニングに取り組んでおり、トレーニング効果を高める用途でマルチビタミンサプリの購入を検討しているユーザー割合の大きいキーワードをまとめた広告グループ。

トレーニー全体の平均と比較すれば、筋肥大を目的とした本格派の割合が大きいと推測できる。(健康美容目的で筋力トレーニングを行っているライトなユーザーよりもサプリメントを検討して効果を追求しているため)

ペルソナの条件はジムやプロテインを利用しているある程度マッチョな男性像となり、LPの訴求も「トレーニングに効果的な成分」「鍛えられた肉体のビジュアル」を男性向けトーンでなどを展開していくべき。


■肌荒れ
肌荒れに悩み、サプリメントでの改善を考えている層の検索割合が大きいキーワードをまとめた広告グループ。

肌荒れに悩むのは美容意識が高く、日頃のメイクで肌に負荷をかけている女性の割合が男性に比べて高いと見られる。

「肌荒れの改善効果」と合わせて「美容・健康効果」などを訴求し、女性向けのトーンで展開していくべき。


■MV(マルチビタミン)
マルチビタミンサプリの機能的価値を理解しようとしてる、また一定以上の商品理解があり、競合商品との比較検討を進めているユーザー割合の大きいキーワードをまとめた広告グループ。

「筋トレ」「肌荒れ」のペルソナも流入し、多彩な利用目的を持つ購入意欲の高いユーザーが集まるキーワード群と見られるため、個々のペルソナのニーズよりも商品の機能的価値にフォーカスしたLPを展開するべき。


このように、広告グループを分ける基準として私がおすすめするのは

  • ペルソナ、ユーザーニーズが異なる

  • LPを分けた訴求が効果的な可能性がある

といった場合です。

これらの点で大きな差異が見られない案件の場合は広告グループを一つにまとめ、機械学習を促進することを優先するべきでしょう。

リスティング広告配信前のリサーチ

新規のリスティング広告案件をスタートする時、ここまでお伝えしてきたキャンペーン•広告グループを設計することを目的として、

3Cリサーチ → キーワードの洗い出し

という工程を進めることになります。
十分な事前準備期間がない場合の最低限のものになりますが、私が実践する手順を共有します。

リスティング広告に限らず、マーケティングリサーチの目的とは以下に集約されるでしょう。

「どんな商品を、誰に向けて、どう訴求すれば売れるのか」

商品がない状態から始まるR&D(研究開発)であれば、「どんな商品を」が抜けるため、「誰に向けて」を把握するための消費者理解と競合把握から始まります。

しかし広告業は、基本的には商品がある状態から始まります。

なのでまずは、売らなければならない商品が何なのかを把握することから始めることになるでしょう。

リサーチの対象と順番は、最低限であればこの程度でOKです。

  1. 商品理解:自社LP•Webサイト、自然検索

  2. 顧客理解:自然検索、質問サイト、SNS、リサーチサイト

  3. 競合理解:自然検索、競合LP•Webサイト

※リサーチで自然検索を利用する際はシークレットモードを活用しましょう。

それでは△△マルチビタミンの例に沿って考えていきます。

リサーチ①:商品理解

商品理解の段階で何よりもまず把握しなければならないことは以下になります。

「誰の、どんな悩みを、どのように解決できる商品か」

今回は自社商品が無いので、Google検索で「マルチビタミンとは」と検索し、マルチビタミンサプリがどのような商材であるかをまとめていきます。

自然検索から商材の概要を理解する時は、素直に上位表示される記事内容から概要を把握する程度で問題ありません。

自然検索1位の記事と「他の人はこちらも質問」から以下の情報を得ました。

  • 主要なビタミンを一粒にまとめたサプリメント

  • ビタミンAやB1・B2など10種類以上のビタミンを配合

  • 日本人の多くは必要な栄養素を十分に摂取できてない

  • ビタミン不足による体の不調を防止する

  • 朝と夕方の食事中や食後に飲む

  • 美肌効果や毎日の健康維持を助ける

  • ニキビなど肌質の改善

  • 肌トラブルの防止

  • 疲労回復

  • 頭痛や肩こりの防止

  • シミやそばかすの防止

  • 筋トレにも効果がある

マルチビタミンサプリは、多くの人が多様な目的で利用している商材のようです。

「誰の、どんな悩みを、どのように解決できる商品か」に沿って整理すると以下のようになるでしょう。


  • 健康に気を遣っている人の、栄養不足の懸念を、食後の摂取で解消する

  • 肌トラブルを持つ人の、外見状の悩みを、食後の摂取で改善する

  • 疲れやすさを感じている人の、体力的な悩みを、食後の摂取で改善する

  • 頭痛などの不調を感じる人の、ストレスを、食後の摂取で改善する

  • 筋トレをする人の、効率を高めたい目的を、食後の摂取で後押しする


実際の案件であれば具体的な商品がありますので、これらの提供価値と合わせて4Pや4Cといったマーケティングミックスのフレームワークに沿って情報を整理していきます。

4Pとは製品•価格•流通•販促、4Cは4Pをユーザー視点で捉えた顧客価値•価格•利便性•コミュニケーションになります。

また自社のLPやWebサイトがあれば、販売実績や保証、取引条件(お試し割引販売など)、ユーザーレビューなどもチェックしましょう。

リサーチ②:顧客理解

次はユーザーの理解を進めます。

商品理解の段階で「誰の、どんな悩みを、どのように解決できる商品か」を大まかに把握したので、どんなユーザーが顧客になるかの見当はついています。

  • 健康に気を遣っている人

  • 肌トラブルを持つ人

  • 疲れやすさを感じている人

  • 筋トレをする人

こういった人たちについて理解を進める時に、以下のポイントに注目しながら情報に触れていくとよいでしょう。


  • 具体的にどんな人なのか

  • どんな悩みを抱えているか

  • 商品に何を期待しているか

  • どんな商品と比較しているか

  • 商品を選んだ人は何が決め手だったのか

  • 商品を選ばなかった人は何がネックだったのか


十分な準備期間がなくデスクリサーチのみを行う場合は自然検索、質問サイト、SNS、リサーチサイトなどが中心になります。

上記の全ての要素を把握することは難しくなりますが、できる限り集めていくことを心がけましょう。

デスクリサーチを進めていくと、筋トレをしている人にとってマルチビタミンサプリはどのようなものなのかをYouTubeで検索で検索した時にこのような動画がトップに出てきました。

「筋トレ マルチビタミン」で表示される上位動画はどれもマルチビタミンサプリの重要性を伝えており、再生回数も多くなっています。

異論もあるものの、マルチビタミンサプリは筋トレをしている人の間で需要が大きく、必要性が認知されており、本格的に取り組む人ほど価格が高くとも質の高いものを求めていると判断できるでしょう。

また、質問サイトやTwitterで「肌荒れ」と検索してみると、以下のような情報が出てきました。

肌荒れに悩む人は女性の割合が圧倒的に大きそうです。
またビタミン配合の化粧品や医薬部外品など、マルチビタミンサプリ以外の方法が対策の主流でもあるようでした。

また必ずしも有用なデータがあるとは限りませんが、リサーチサイトにも消費者理解につながるよいデータがある場合もあります。

ミルトークというリサーチサイトで「マルチビタミン」と検索すると公開されている意識調査がありました。

疲労回復、肌荒れ、栄養バランスに気を遣うなど、自然検索で出たニーズを補強する内容になったと言えるでしょう。

調査予算がある、リサーチノウハウを持ったメンバーに依頼が可能といった場合には、リサーチ会社を活用したインターネットリサーチや高度な需要予測を活用することも可能です。

またデスクリサーチにさらに時間をかけられるなら、業界トップが上場企業であればそのIR資料、官公庁や大手広告代理店が公開している信頼性の高い調査結果などからも多くの情報を得られるでしょう。

限られた時間の中で少しでも、ユーザーが求めるものの本質に近づくことが大切です。

リサーチ③:競合理解

競合を調査を行う主な理由は2つあります。


  • 競合の「売れる訴求」を参考にさせてもらう

  • 競合に優る自社のUSPを発見する


今回はリスティング広告の配信を目的とした競合リサーチなので、ユーザーと同じように検索エンジンから触れられる情報が最もコアになります。

  • 広告文

  • LP

この2つを重点的に確認しましょう。

ここまでのリサーチで、見込みユーザーが検索するキーワードは大まかに見当がついています。

「マルチビタミン」「筋トレ マルチビタミン」「肌荒れ マルチビタミン」こういった検索クエリに対して出稿されている広告文とLPが直接的な競合になります。

Googleで「マルチビタミン」と検索してみましょう。
リスティング広告と合わてショッピング広告も表示されます。

リスティング広告の方が参考にしやすい点はありますが、目的は「売れる訴求」と自社と他社の差異から生まれる「USP」を把握することです。
リスティング広告だけでなく、ショッピング広告もぜひ参考にしましょう。

画像ではリスティング広告の最上位に表示されている商品を参考に、広告文を考えていきます。

  • 最大55%オフ

  • 送料無料

  • セール

  • 内容成分(ビタミンD、B、マグネシウム等)

  • 商品名

こういった訴求項目が並んでいます。
これらの訴求がユーザーとGoogle検索エンジンから評価されている可能性が高く、自分が広告文を作る際にも参考にしていきましょう。

広告の表示順位には広告ランクが関係しており、詳しい説明はこの記事では省きますが、上位にある広告文、頻繁に表示される広告文の方がより良いクリック率やコンバージョン率が高い可能性があります。

投じられている予算、設定されているクリック単価などの影響もあり得るので上位にあるものが絶対的に優良なわけではありません。

しかし参考にすべき広告文としては、総合的な優先度として上位にあるもの、実際に検索画面に表示されているものに比重を置くことは有効です。

更に広告文、LPに組み込むべき訴求を探すため、実際に広告をクリックし、飛び先のページをページを確認しましょう。

先ほど表示されたリスティング広告の最上位をクリックすると、商品の一覧ページに遷移しました。

こういったページは正直なところ、LPとして運用するのは効果的ではありません。

検索エンジンを利用しているユーザーは、情報や商品に対して明確なニーズを持った顕在ユーザーの利用割合が大きくなります。

そういったユーザーにはニーズに合致した一つの商品を提示し、その商品が自分のニーズに合致していることを伝えているLPの方が、ほとんどの場合でパフォーマンスが高くなります。

リスティング広告の競合調査を行なっている場合には、商品一覧のページよりもLPを参考にしましょう。

ショッピング広告の一番左の商品からは以下のページに遷移しました。

こちらのページは単一商品について訴求しているLP型のページだったので、参考にできそうな訴求をピックアップしてみます、

  • 〜円以上の購入で送料無料

  • 〜日以内なら返品可能

  • 1日に必要な〜種類の栄養素を凝縮

  • さらに〜の栄養素をプラス

こういった訴求の要素以外にも、競合のLPからは多くの情報が得られます。
ユーザーに関する情報は以下のものが参考になりそうでした。


■こんな人におすすめ
手軽に栄養補給をしたい、食べ物の好き嫌いが多い、毎日の食生活で栄養が不足しがち、仕事や家事に忙しい…

■ユーザーの声
好き嫌いが多かったが飲み始めて3ヶ月で良さを実感、一人暮らしで栄養素が偏りがちな私の味方、深夜残業が多く朝食を抜きがち、外食が多い夫の栄養バランスが心配、季節の変わり目でも丈夫に過ごせる…


ユーザーの声はそのまま訴求に使えるものや、ユーザー理解を促進するためにも活用できます。

自社・顧客・競合の3Cはあくまで、情報を整理するための大まかなフレームワークです。

自社リサーチの中でも顧客・競合の理解、競合リサーチの中でも顧客・自社理解、顧客リサーチの中で自社と競合を顧客目線で比較するといった視点を常に持つとよいでしょう。

近年はWebから多くの情報が得られます。

ご紹介した簡単なデスクリサーチに基づいてリスティング広告の配信を進める場合はありますが、それだけでリサーチが十分ということはありません。

例えば店舗型ビジネスであれば、

  • 店舗へのアクセス

  • 入店時から実際にサービスを受ける体験

  • 追加オプションに購買する価値を感じられるか

  • リピートするだけの満足得られるか

など、ユーザー体験に基づいたカスタマージャーニーの視点が非常に重要です。

商品から作るR&Dでは、コンセプトテストの実施やプロトタイプをユーザーに実際に利用してもらい、フィードバックを得てブラッシュアップしていく過程が欠かせません。

Web広告においても、リスティング広告とFacebook広告、YouTube広告、その他さまざまな媒体でユーザーの情報接触態度は全く違います。

DSP広告では特に、媒体がリーチできるユーザー属性も大きく異なっています。

ビジネスの集客を達成するために必要なマーケティングリサーチは、時間や予算を始めとするリソースの許す範囲で、できる限り深く実施するべきでしょう。

キーワードの初期設定

リサーチを実施して3Cの理解を行った後に、実際に設定するKWを洗い出します。

キーワードを洗い出す際に必要な視点は、


  • 「そのLPから商品を買う人」はどんなキーワードで検索するか

  • 「そのキーワードを検索する人」にはどんな人々がいるのか

  • 集客のボリュームを期待できるのか


この3つだと言えるでしょう。

事前のリサーチから、マルチビタミンサプリで悩みを解決したり願望を達成できる可能性があるのは以下のような人々であることが分かります。

  • 美肌効果や健康維持を求める人

  • ニキビなど肌質を改善したい人

  • シミやそばかすを気にしている人

  • 疲労感を感じている人

  • 頭痛や肩こりに悩む人

  • 筋トレをしている人

しかしこの人々が、そのまま「そのLPから商品を買う人」になるとは限りません。

マルチビタミンサプリ以外にも悩みを解決できる方法が多くあったり、他の方法で対処するのが一般的と考えられている場合は多くあります。


商品の利用を考えている人が検索するキーワードであっても、他の方法での解決を考えている人の方がずっと多く検索しているキーワードなら、パフォーマンスは上がってきません。

商品の購入を考える人の割合が大きいのキーワードであっても、検索ボリュームが小さければ、そのキーワードを重点的に改善したり、広告文やLPを作成する工数をかけるのは非効率になります。


これらの点を見極めながらキーワードを選別するために役に立つのが、キーワードプランナーと自然検索です。

まずキーワードプランナーで「マルチビタミン」の候補キーワードを検索してみましょう。

最初に見るべきポイントは「検索ボリューム」です。
ボリュームがあるキーワードが同時にCVにつながるキーワードでもあった場合、外すことはできません。

「マルチビタミン」「マルチビタミン おすすめ」「マルチビタミン サプリ」の3つをピックアップしたら、次はそれぞれをシークレットモードで実際に検索してみます。

シークレットモードの検索結果で重要なのは、「競合の広告が出稿されているかどうか」になります。

競合の広告が出稿されていないキーワードは「CPAの合わないハズレキーワード」「まだ競合が見つけていないお宝キーワード」のどちらかになりますが、実際のところほぼハズレキーワードです。

ユーザーの検索意図を理解し、検索行動のカスタマージャーニーマップを整理し、マーケティングの視点から「この競合キーワードには可能性がある」と判断できた場合のみ、競合の出稿していないキーワードに出稿するのがよいでしょう。

さらに自然検索結果もチェックします。

自然検索結果の上位には、競合商品サイトや通販サイトが表示されています。

つまりGoogle検索エンジンからも、このキーワードで検索するユーザーの検索意図と合致するのは、マルチビタミンの商品や購入ページだと判断されているということです。

「マルチビタミン」というキーワードは検索ボリュームもあり、競合の広告も多く出稿され、検索エンジンからも購買意欲を認められている外せないキーワードだと判断できるでしょう。

「マルチビタミン おすすめ」「マルチビタミン サプリ」も同様に期待値の高いキーワードだと判断できました。

ここで「マルチビタミン」というキーワードについて一度考えてみます。

正確には「マルチ」と「ビタミン」の合わさった2語の複合キーワードであり、マルチビタミンという名前自体が商品名として広く認知されています。

なので商品名の「マルチビタミン」で検索しているユーザーは商品の購入を検討している可能性が高く、非常に期待値の高いキーワードになります。

では、健康志向のユーザーにとって興味がありそうな「ビタミン」というキーワードはどうでしょうか。

Googleで「ビタミン」と検索すると、こちらにも多くの広告が出稿されています。

コンバージョンが入らないキーワードでは決してないでしょう。
配信してもよいキーワードではあるはずです。
しかし、広告だけでなく自然検索の結果も見てみましょう。

検索上位に表示されるのは、ビタミンとはどんなものか、どんな働きをするのか、と言った疑問に答えるページになっています。

さらに他の人はこちらも質問に目を向けてみると、「ビタミン 何を食べる?」「ビタミンEの多い食品は何ですか?」といった、サプリメントでない一般的な食品からビタミンをとりたいという検索意図が見えます。

これらの要素は、そのキーワードを検索する人」にはどんな人々がいるのかというキーワード選定の要素で、マルチビタミンサプリを求めている人以外が多く流入しているキーワードだと言えるでしょう。

なので私であれば、「マルチビタミン」と一緒に検索されているキーワードを主軸に配信します。

予算が消化しきれない場合に備える、お宝キーワードを探すといった場合は「ビタミン」など、マルチビタミンサプリからは少し離れたキーワードと一緒に検索されているものにも出向してみようという判断をします。

このような基準で選定を進め、「マルチビタミン」「マルチビタミン おすすめ」「マルチビタミン サプリ」さらには競合指名キーワードに配信する場合はそれを含めて、<MV>という広告グループを作成しました。

広告グループを分ける基準は「検索ニーズとペルソナをまとめ、訴求を出し分ける」ことでした。

この<MV>という広告グループに登録するキーワード群の特徴は、


マルチビタミンサプリの購買意欲は高いものの、健康促進、筋トレ、肌トラブル解消、疲労感解消といったさまざまなニーズを持ったユーザーが流入する。


ということです。

なので特定のペルソナの悩みを解決する訴求よりも、自社のマルチビタミンサプリが持つ機能性、費用対効果、入手の手軽さなどを訴求する方がパフォーマンスが高くなる可能性が高いでしょう。

なので広告グループとしてひとつにまとめて配信し、LPと広告文の方向性を統一します。

広告グループ<MV>の内容は決まりましたが、マルチビタミンサプリに関わるキーワードには特定の悩みを解消したいユーザーが集まっていると考えられるキーワードも多くあります。

改めてキーワードプランナーを確認していきましょう。

マルチビタミンと一緒に検索されるキーワードとして「筋トレ」が一定量あることが分かります。

キーワードプランナー上でボリュームが表示されるほどに一緒に検索されているということは、一定以上の需要があると言えるでしょう。

先ほどと同じく、それぞれのキーワードをシークレットモードで実際に検索します。

「マルチビタミン おすすめ 筋トレ」ではショッピング広告が多く表示されており、購買意欲の高いユーザーが多く流入している可能性が高いと判断できます。

また自然検索1位の内容を見ても、マルチビタミンサプリを飲むことを前提とした文言が並んでいます。

検索結果だけでなく、上位の数記事は実際に記事内容を確認して、どんなユーザーに向けた記事内容になっているかを確認するとよいでしょう。

続いて「筋トレ ビタミン」を検索します。

こちらもショッピング広告は多く表示されています。

しかしその一方で、自然検索に表示される内容はビタミンに関する知識や、ビタミンを摂取できる一般食品についての色合いが強くなります。

コンバージョンが入らないキーワードではないですが、私の場合はパフォーマンスが低くなる可能性を見込んで設定するキーワードリストには入れませんでした。

このような判断を経て、広告グループ<筋トレ>に初期で設定するキーワードとして「マルチビタミン おすすめ 筋トレ」「マルチビタミン 筋トレ 」としています。

さらにキーワードプランナーを確認していくと、「マルチビタミン 肌荒れ」というキーワードがありました。

検索ボリュームでは<MV><筋トレ>といった広告グループには及びませんが、

「マルチビタミン」という主軸になる商品名と一緒に検索されていて、なおかつキーワードプランナーに表示される程度の最低限のボリュームはある

という点で私は一定以上の可能性があると判断しました。
シークレットモードで「マルチビタミン 肌荒れ」を確認します。

競合の広告は出稿されていないものの検索上位には、肌荒れにはマルチビタミンがおすすめ、マルチビタミンはいつ飲むのが効果的?といった文言があります。

さらにキーワードプランナーで「肌荒れ」の評価を確認していきましょう。

「肌荒れ ビタミン剤」というマルチビタミンに近しいキーワードが発見できました。
これをシークレットモードで確認していきます。

こちらにも競合の広告は見られず、「マルチビタミン 肌荒れ」ほど明確ではないとしても、複数のビタミンを摂取するという意図が見られ、顕在ニーズ寄りのユーザーが検索していると言えます。

こういったキーワードを見つけた場合、私は競合があまり出稿していないお宝キーワードの可能性があると判断し、広告グループを分けて作成し、肌荒れに悩む人にとって魅力的なマルチビタミンサプリの訴求を広告文で展開します。

<筋トレ>の広告グループほどのボリュームや確度は見込めないので、LPは<MV>と同じものでしばらくパフォーマンスを確認しても問題ないでしょう。

まずは広告グループを分けて肌荒れに悩む人に向けた広告文を作成し、パフォーマンスが高いと判断できれば専用のLPを作成していく形をおすすめします。

一般キャンペーンとその他キャンペーンの違い

検索エンジンは、目的を達成するための手段を明確に探しているユーザー、つまり顕在ニーズを持つユーザーが多い媒体です。

自分の問題を明確に認識して解決手段を探しているユーザーに広告を出した方が、パフォーマンスは高くなります。

顕在ニーズと潜在ニーズの線を引くための一つの方法として、「マルチビタミン」という主軸のキーワードと同時に検索されているかという判断基準を今回は用いました。

ただ、「マルチビタミン」というキーワードと一緒に検索されていないキーワードにも、成果につながるものもあるはずです。

他のキーワードが、顕在ニーズと判断したキーワード群よりも確実にパフォーマンスが低いとも限りません。

そんなキーワードをテストするためのキャンペーンとして、(MV)その他というキャンペーンを作成します。

その他キャンペーンのキーワード設定

筋トレ、肌荒れといったマルチビタミンと一緒に検索されているキーワード以外にも、以下のような悩みに対してマルチビタミンサプリが効果が見込めることがリサーチから分かっています。

美肌効果、健康維持、ニキビ、肌トラブル、疲労回復、頭痛•肩こり、シミ•そばかす

こういったニーズを持つユーザーのキーワードをキーワードプランナーとシークレットモード検索にかけ、マルチビタミンサプリを購入してくれる可能性がありそうかどうかを見極めていきましょう。

例えば疲労感を感じていて解消したいと思っているユーザーは、どんなキーワードで検索するでしょうか?

例えば「疲労回復」というキーワードをキーワードプランナーに入力したところ、表示される検索結果からは食べものや飲みものへの需要が高いと見られました。

シークレットモードで検索してみても、かろうじでビタミンB1が疲労回復に効果があるという記載は見つけられたものの、マルチビタミンサプリからは距離のあるキーワードだと考えらえるでしょう。

近しいものとして、「倦怠感」「疲れやすい」なども確認してみましたが、同じような内容でした。

続いては「美肌」です。

こちらのキーワードでも、サプリでビタミンをとるというよりもスキンケアや食べもの、飲みものへのニーズが高いとみられます。

「美肌効果」と入力した時はビタミン剤などの近しいワードも出てきましたが、検索ボリュームも決して大きくはなく、「美肌」というキーワードとマルチビタミンサプリにも距離があると判断しました。

こういった手順でそれぞれのキーワードを確認していく中で、私が配信の余地ありと判断したのが「ニキビ」「シミ」「肩こり」です。

ニキビに悩むユーザーが真っ先に検索するであろう「ニキビ 治し方」といったキーワードでは、マルチビタミンサプリ以外の方法が主流です。

ただ、「ニキビ ビタミン」というキーワードに一定の検索ボリュームがあります。

シークレットモードでも確認しました。

マルチビタミンサプリが対処法の主流とまでは言えないかもしれませんが、ビタミンBやCを中心に関心があり、上位の検索結果で「ビタミン剤でニキビを治す」というものもあります。

「ニキビ」というキーワード自体はマルチビタミンサプリとは一定距離があります。

なので、フレーズ一致を用いた"ニキビ ビタミン"というキーワードを活用し、「ニキビ」と「ビタミン」を同時に検索している人に絞って配信するのがよいでしょう。

一般キーワードのキャンペーンに入れるほど期待値はなくとも、コンバージョンが入る可能性自体は低くないと判断し、その他キーワードのキャンペーンに<ニキビ>の広告グループを作成することにしました。

このような判断を繰り返し、最終的にその他キーワードキャンペーンには、<ニキビ><肩こり><シミ>の3つの広告グループを入れています。

中心的なキーワードについては、運用開始時からフレーズ一致、完全一致を利用して配信配信を強めていく場合もあるでしょう。

ただ私の場合は、運用開始時には各広告グループのキーワードの多くを部分一致で登録しておくことをおすすめしています。

中心的なキーワードの完全一致、フレーズ一致は競合とバッティングしている可能性も高く、必ずしもパフォーマンスが高いとは限らないからです。

最初から完全一致、フレーズ一致に絞り込んだキーワードだけで配信するのではなく、アカウントのパフォーマンスを高められるキーワードを見つけにいくことも同時に行うとよいでしょう。

最初は部分一致でコンバージョンの入るキーワードを拾い、データを見ながらパフォーマンスが最適化されるフレーズ一致、完全一致に絞り込んでいくのが効果的なキーワードの運用だと私は考えています。

掛け合わせでキーワードを増やす

今回はキーワードプランナーで表示されたキーワードを部分一致で登録することを中心にお伝えしていますが、実際にはもっと多くのキーワードを登録します。

自社商品に関わるキーワード、自社商品の強みが出せるキーワードと掛け合わせも有効な手段です。

価格優位性がある商品なら「安い」、店舗ビジネスはじめ地域性があるものであれば、都道府県名などもよく使われるキーワードでしょう。

扱う商材特性のユーザーが年代に合ったものを求める場合には「20代」「30代」といったものもキーワードになり得ます。

掛け合わせで生み出したキーワードも、キーワードプランナーとシークレットモードで確認して、設定するかどうか判断していきましょう。

広告グループ間でのカニバりを防ぐ除外設定

ここまで複数の広告グループを作成し、それぞれに設定するキーワードを選定してきました。

しかしこのまま配信すると問題が起こります。

異なる広告グループから同じ検索オークションに出稿してしまうと、1つのアカウントの広告グループ同士が競合してお互いの入札単価を引き上げてしまうという現象が起こります。

これを防ぐためには、広告グループごとに他の広告グループで設定しているキーワードに対して除外設定をかけなければなりません。

設定キーワードと除外キーワードのマッチタイプの違いを理解した上で、極力出稿先のカニバりを防ぐことが重要ですが、今回の場合であれば、私は最初に以下のように登録します。


<広告グループ:MV>
▼設定キーワード
「マルチビタミン」「マルチビタミン おすすめ」「マルチビタミン サプリ」
▼除外キーワード
「"筋トレ"」「"肌荒れ"」「"△△マルチビタミン"」「"〇〇製薬"」「"シミ"」「"ニキビ"」「"肩こり"」


<広告グループ:筋トレ>
▼設定キーワード
「マルチビタミン 筋トレ」「マルチビタミン 筋トレ おすすめ」「マルチビタミン 筋トレ サプリ」
▼除外キーワード
「[マルチビタミン]」「[マルチビタミン おすすめ]」「[マルチビタミン サプリ]」「"肌荒れ"」「"△△マルチビタミン"」「"〇〇製薬"」「"シミ"」「"ニキビ"」「"肩こり"」


<広告グループ:肌荒れ>
▼設定キーワード
「肌荒れ マルチビタミン 」「マルチビタミン ミネラル 肌荒れ 」「肌荒れ サプリ マルチビタミン」
▼除外キーワード
「[マルチビタミン]」「[マルチビタミン おすすめ]」「[マルチビタミン サプリ]」「"筋トレ"」「"△△マルチビタミン"」「"〇〇製薬"」「"シミ"」「"ニキビ"」「"肩こり"」


<広告グループ:指名KW>
▼設定キーワード
「"△△マルチビタミン" 」「"△△マルチビタミン 口コミ"」「"〇〇製薬 △△マルチビタミン"」
▼除外キーワード
「[マルチビタミン]」「[マルチビタミン おすすめ]」「[マルチビタミン サプリ]」「"筋トレ"」「"肌荒れ"」「"シミ"」「"ニキビ"」「"肩こり"」


<広告グループ:シミ>
▼設定キーワード
「シミ サプリ 」「シミ ビタミン」「そばかす サプリ」
▼除外キーワード
「[マルチビタミン]」「[マルチビタミン おすすめ]」「[マルチビタミン サプリ]」「"筋トレ"」「"肌荒れ"」「"△△マルチビタミン"」「"〇〇製薬"」「"ニキビ"」「"肩こり"」


<広告グループ:ニキビ>
▼設定キーワード
「ニキビ ビタミン 」「ニキビ サプリ」「ニキビ ビタミン剤 おすすめ」
▼除外キーワード
「[マルチビタミン]」「[マルチビタミン おすすめ]」「[マルチビタミン サプリ]」「"筋トレ"」「"肌荒れ"」「"△△マルチビタミン"」「"〇〇製薬"」「"シミ"」「"肩こり"」


<広告グループ:ニキビ>
▼設定キーワード
「ニキビ ビタミン 」「ニキビ サプリ」「ニキビ ビタミン剤 おすすめ」
▼除外キーワード
「[マルチビタミン]」「[マルチビタミン おすすめ]」「[マルチビタミン サプリ]」「"筋トレ"」「"肌荒れ"」「"△△マルチビタミン"」「"〇〇製薬"」「"シミ"」「"肩こり"」


<広告グループ:肩こり>
▼設定キーワード
「肩こり ビタミン 」「肩こり サプリ」
▼除外キーワード
「[マルチビタミン]」「[マルチビタミン おすすめ]」「[マルチビタミン サプリ]」「"筋トレ"」「"肌荒れ"」「"△△マルチビタミン"」「"〇〇製薬"」「"シミ"」「"ニキビ"」


広告グループ間のカニバりを防ぐための除外設定は広告グループ単位で行いますが、パフォーマンスが低く全体で除外したいキーワードの除外設定は各キャンペーンにそれぞれ共通のものを設定していきます。

2023年からはアカウントに対する除外キーワード設定が可能になりました。
これまで各キャンペーン共通で除外していたキーワードは今後、アカウント単位で除外をかけていくことになるでしょう。

キーワードの改善方法

※実際の運用データではなく仮定の数値です

実際に運用を開始すると、それぞれのキーワードの実績が蓄積されていきます。

ここからは蓄積されたデータを見ながらどのようにキーワードを改善していくかという点についての私の手法をお伝えします。

クリック率やコンバージョン率、インプレッションシェアなど、参考になり得る数値は多数ありますが、今回はシンプルに費用、コンバージョン数、CPAに基づいて改善を進めましょう。

実際にマルチビタミンサプリを運用したデータではありませんので、仮定値での例になる点はご了承ください。

一定期間運用して上の図のようなデータが得られたとして、目標CPAが¥4,000だとします。

キーワード精査でまず重要な点は、
「全体パフォーマンスへの影響の大きいものから順に精査する」
ということです。

影響が大きいキーワードの基準として活用しやすい指標が、今回見ていく

  • 費用

  • コンバージョン数

  • CPA

の3つになります。

まずコンバージョン数、予算消化の大きい「マルチビタミン」から確認していきましょう。

※実際の運用データではなく仮定の数値です

精査を行う時は登録キーワードを個別に選択して、1つずつの配信先クエリを確認するようにしましょう。

登録したキーワードのパフォーマンスを個別に見極め、適切な対応を選択するためです。

「マルチビタミン」の配信先クエリを確認すると、以下のような状態になっていたとします。

※実際の運用データではなく仮定の数値です

この場合、完全一致の[マルチビタミン]、[マルチビタミン dhc]の2つはパフォーマンスがよくコンバージョンのボリュームもあり、更に配信を強めたいクエリになります。

そういった優良なクエリは配信キーワードとして登録することで、配信の優先度を高めることができます。

また、他のクエリも目標CPAを上回ってはいるものの、全体のCPAを大幅に引き上げることなくコンバージョンを獲得してくれているクエリが散在しているといえるでしょう。

こういった場合は優良なクエリをキーワード設定しつつ、既存の部分一致キーワード自体も引き続き配信を行います。

では次のキーワードを見ていきましょう。

※実際の運用データではなく仮定の数値です

「マルチビタミン おすすめ」の配信クエリを確認すると、以下のような状態だったとします。

※実際の運用データではなく仮定の数値です

このキーワードではそれぞれの配信クエリで満遍なくコンバージョンが入っていて、CPAでも取り立てて高いもの、低いものがありません。

このような場合、私は部分一致のまま配信を継続するという判断をします。

フレーズ一致の"マルチビタミン おすすめ"に関しては切り出してキーワード設定する判断もあり得るかもしれません。

しかし他の部分一致キーワードは部分一致で切り出したとしても、現在のパフォーマンスが可もなく不可もないため、さらに精査してパフォーマンスを上げられる可能性はそれほど高くありません。

部分一致のキーワードをどんどん増やしていくと管理工数が膨大になり、次第に手が回らなくなって放置されるキーワードも増えます。

  • 多くのコンバージョンが入る部分一致

  • 一定のコンバージョンが入ってCPAがよい部分一致

そんな期待値の高い配信クエリは部分一致であってもキーワード設定で切り出す価値がありますが、それ以外の部分一致は無闇に設定キーワードを増やさず、現在の設定キーワードのままで運用する場合が多くなります。

もうひとつキーワード精査でよくあるパターンをご紹介しましょう。

※実際の運用データではなく仮定の数値です

設定キーワード「マルチビタミン 安い」の配信先クエリを確認すると、以下のようになっていたとします。

※実際の運用データではなく仮定の数値です

設定キーワードによっては特定のクエリにコンバージョンが偏り、その他のクエリへの配信からほとんどコンバージョンが入らないというものが少なからずあります。

こういった場合はコンバージョンが入っているクエリをキーワード設定して切り出し、元のキーワードは停止して見込みの低いクエリへの配信を削減するという対応を取ります。

設定キーワードは広告文やLPとの関連性、インプレッションシェア、クリック率など、多くの指標を参考に最終的には運用者の仮説と判断に基づいて管理するものです。

ただ私がこれまで携わった案件でのキーワード精査は、今回ご紹介した内容だけでほとんどの判断が可能でした。

これが全てではないものの、ひとつの引き出しとしてご活用いただけると嬉しいです。

続いては広告文の作成について、私の手法をお伝えしていきます。

広告文の作り方

効果的なキャンペーン作成、キーワード設定を行ったとしても、表示された広告文がクリックされ、LPからコンバージョンが上がらなければコンバージョンは上がってきません。

LPは変更にクライアントの合意が必要だったり、工数自体もかかることが多いですが、広告文なら運用者の判断だけでスピード感を持ってテストを回せる場合は少なくないでしょう。

まず必要なのは景品表示法をはじめ、商材に関わる規制を踏まえることです。

その上でパフォーマンスを高めるために、私は以下のポイントに沿って広告文を作成しています。

  • コンバージョン率を高める

  • クリック率を高める

  • 表示機会を増やす

それぞれを実現するために、私が実施している方法についてまとめました。

コンバージョン率を高める

最初にコンバージョン率を高める広告文に必要な条件について整理します。

  • コンバージョンの見込みの高いユーザーを集めること

  • キーワード、LPと一貫性があること

  • 商品の魅力を高めるライティングができていること

「コンバージョン率を高めるにはLPを改善する必要がある。広告文で大事なのはクリック率だ」

という意見も多いと思いますが、私が広告文を作成する時にまず気をつけることは、コンバージョン率の高い広告文を作ることです。

ここの認識のずれを解消することで、パフォーマンスを改善できた案件は少なくありません。

1つめのコンバージョンの見込みの高いユーザーを集めることについて、「マルチビタミン」というキーワードで検索するユーザーにはどんな人々がいるかを考えてみましょう。

  • マルチビタミンサプリを探している人

  • マルチビタミンという言葉の意味を知りたい人

  • マルチビタミンの効果を調べている人

この中で一番コンバージョンする可能性が高い人は、マルチビタミンサプリを探している人だと言えるでしょう。

それぞれのユーザーに向けた広告文を考えてみます。


マルチビタミンサプリを探している人

24種の栄養素配合マルチビタミン|体づくり・美容健康をサポート


マルチビタミンという言葉の意味を知りたい人

マルチビタミンとは?成分を解説|栄養学の専門サイト


マルチビタミンの効果を調べている人

マルチビタミンは何に効く?|取るべき人や効果について


マルチビタミンという言葉の意味を調べている人に向けた広告文では、サプリメントを買いたいわけではない人が多くクリックしてしまいます。

効果について知りたい人も、将来的に買う可能性はあってもいますぐ買おうと考えている訳ではない人が多いでしょう。

この2つのような情報収集目的のユーザーに向けたタイトルは、アクセスを集めて検索順位を上げたいSEO記事のタイトルには効果的な場合もあります。

しかしリスティング広告が集めたいユーザーは、購入を始めとするコンバージョンの見込みの高いユーザーです。

広告文を作成する時は、そのキーワードを検索しているのはどんな目的を持ったユーザーなのか、コンバージョンする見込みが高いのはどのユーザーなのかを把握しましょう。

キーワードの初期設定を行った時の要領で、

  • キーワードに対する競合広告の出稿状況

  • 自然検索から読み取るユーザーの検索意図

これらの内容から検索ユーザーの目的、コンバージョンの見込みの大きさを読み解くことができます。

広告文はぜひ、コンバージョンする見込みの高いユーザーに向けたものを作成してください。

次に、コンバージョン率を高めるために必要な条件の2つめであるキーワード、LPと一貫性があることについてです。

図のように「マルチビタミン 肌荒れ」と検索したユーザーは、

まず自分のニーズに合致した広告文をクリックし、遷移したLPで提示された商品が自分に合ったものだと感じられてコンバージョンに至ります。

広告グループをユーザーのニーズ沿って分けたのは、このミスマッチを防ぐためです。

広告文の訴求が、

  • キーワードを検索したユーザーのニーズと一致するか

  • LPの訴求と一致するか

この2つの点でズレないように注意しましょう。

次に3つめの条件である商品の魅力を高めるライティングができていることについてです。

コピーライティング関しては多くの書籍が出版されており、とても一朝一夕では身につけられない奥深いものです。

私はコピーライティングの専門家と言えるほどのものではありませんが、今回はリスティング広告の広告文作成で使いやすい4つの要素について紹介します。


ユーザーのベネフィットを伝える
ユーザーが商品から得られるものを、機能→メリット→ベネフィットと分けて考えていくと、例えばこのようになります。

機能:
マルチビタミンサプリにはビタミンB群、ビタミンC、亜鉛が含まれている

メリット:
これらの栄養素は肌荒れに効果がある

ベネフィット:
自分の肌に自信をもってコンプレックスから解放される


数字を使って具体性を持たせる
具体的な数字で示されることで信憑性が増し、訴求力が高まります。

ほとんどのユーザーが使用感に満足

顧客満足率97%

今売れている商品です

10秒に1本売れています


独自性のある強みを訴求する
他と同じような商品だと思われるとユーザーの目に留まりにくく、他とは違う何か、競合が伝えていないユーザーにとって魅力ある訴求が含まれていることで選ばれやすくなります。

不足しがちな栄養素であるビタミンB群•ビタミンC•ビタミンE•亜鉛が1日分含まれています。

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特典要素を加える
コンバージョンのハードルをユーザーが超えるためには、お金を払う、個人情報を提供するといったコストを上回るだけの価値を感じる必要であり、特典はユーザーの背中を押す有効な手段です。

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これらの要素を踏まえて、「肌荒れ マルチビタミン」と検索したユーザーに向けた広告文を作成してみましょう。

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クリック率を高める

私が広告文を作成する時は、まずコンバージョン率を高めることを意識し、その上でクリック率を高めていきます。

コンバージョン率を高める方法の中で、アクセスを集めて検索順位を上げることを目的としたSEO記事的な広告文は効果的なものが必ずしもコンバージョン率を高めるものではないとお伝えしました。

一方でSEO記事とリスティング広告には異なる面もある一方で、同じ検索エンジンを利用するユーザーに向けたコンテンツとしての共通点もあります。

  • 検索されたキーワードをタイトルインする

  • できるだけタイトルの左側にキーワードを配置する

この2点は、SEO記事のタイトルにも広告文にも共通して必要なクリック率を高めるための要素です。

検索エンジンで「SEO タイトル」と検索してみました。

自然検索結果のどのタイトルにも「SEO」「タイトル」というキーワードが左側に配置されており、ねらったキーワードを左側にタイトルインすることを意識していると見られます。

自分の求める情報の手がかりとして頭に浮かんだキーワードを検索エンジンに入力している検索ユーザーは、入力したキーワードが頭の中で顕在化しています。

そして文字を読む時は始まりである左側が目につきやすいことが、ねらったキーワードを左側に配置したタイトルが効果を上げやすくなる理由と言えるでしょう。

表示機会を増やす

コンバージョン率、クリック率が高い広告文がパフォーマンスを最大限に発揮してコンバージョンをたくさん獲得してくれるためには、表示回数をコスパ良く獲得することも重要になります。

そのために私がおすすめするのが、「その他の候補」の活用です。

Google検索広告の管理画面から、レスポンシブ検索広告の新規作成もしくは編集を開いてみてください。

少し下にスクロールすると、その他の候補が確認できます。

これを活用すれば、同じ予算、同じキーワードで運用していても表示回数が増える可能性が高まるのです。

リスティング広告で成果を上げる広告文のポイントとして

  • キーワードのタイトルイン

  • キーワード、広告文、LPの一貫性

といった内容をお伝えしてきました。

こういった広告文が成果を上げやすいことは検索エンジン側も把握しており、運用者側がよい広告文を作成してくれるヒントを用意してくれており、その他の候補もそのひとつになります。

さらに詳しく見ていきましょう。

ここに表示されているキーワードは、広告グループ内に登録されているキーワードです。

3つのキーワードに緑色のチェックマークが入っているのが確認できます。

チェックが入っているキーワードは広告文とキーワードの一致性が認められており、広告文の関連性が高く評価され、検索結果に表示される可能性が高くなり、同時にクリック単価も安くなる傾向があります。

詳しくは広告ランクと表示順位の仕組みが関係しているのですが、今回は割愛させてください。

つまりこの緑のチェックマークの割合が増えるほど、登録しているキーワードへの出稿が有利になるということです。

緑のチェックマークを入れるための条件がこちらです。


レスポンシブ検索広告のアセットから見出し1と見出し2を合わせた時、登録キーワードが全て含まれた組み合わせが作れること


例を上げてみましょう。


キーワード:「マルチビタミン 人気」

◯:20代女子に人気のマルチビタミン|食事で不足するビタミンB2が豊富

◯:【肌荒れ対策】マルチビタミン|20代女子から人気

✖️:【肌荒れ対策】マルチビタミン(見出し1固定)
  20代女子から人気(見出し1固定)


キーワードの選定と改善によってパフォーマンスの高いキーワードに配信を集約し、集約したキーワードと広告文の関連性を高め、配信を強化していくことでパフォーマンスを高める。

というのが私が実践しているBEのパフォーマンスを最大化するためのリスティング広告運用法です。

もちろん広告運用に正解はなく、10人いれば10通りの運用法があり、私も日々の情報収集、情報交換の中でアップデートを続けています。

今回お伝えした内容に「取り入れてみよう」と思えるものがあれば、ぜひ実践してみてください。

そして得られた経験や知見を、情報交換やSNSなど、何らかの形で周囲の方に共有していただけるととても嬉しいです。

そんな情報共有が広がることで全体のマーケティングが底上げされ、多くの事業が活性化され、市場が潤うことになると私は思っているので、今回このような長いブログを書きました。

リスティング広告運用のその他要素

今回はリスティング運用の攻略ポイントとして、以下の3つの要素に絞ってお伝えしてきました。

  • キャンペーン構成

  • キーワード設定

  • 広告文作成

もちろんですが、運用上でパフォーマンスを左右するのはこれだけではありません。

入札戦略、広告表示オプション、オーディエンスターゲティング、地域ターゲティング、広告のスケジュール設定…

などなど、改善の余地は管理画面の中だけでもたくさんあります。

より大きな成果を求めるなら、こういった要素についても理解を深め、実際に活用していくことをぜひおすすめします。

Yahoo!検索広告への応用

Google広告と合わせてYahoo!検索広告(YSA)への出稿を行う場合もとても多いと思います。

多くの形式でGoogle検索広告と共通するものの、気を付けておくべきポイントもありますので簡単にまとめてみます。

  • それぞれのマッチタイプが関連性の低いキーワードに広がりやすい

  • レスポンシブ検索広告の最適化精度が低い

Google広告と同じキーワード、広告文で運用すると、この2つの点に差が出やすいというのが私の所感です。

それぞれのマッチタイプがが関連性の低いキーワードに広がりやすい

フレーズ一致や完全一致もGoogle広告と比較すれば幅広いクエリに出稿されやすい傾向がありますが、特にYSAの部分一致は設定キーワードと関連性の低いクエリに広がりやすくなっています。

広がりすぎたクエリが管理画面のコンバージョンに繋がりにくなっているケースも少なくありません。

なのでYSAでは、フレーズ一致、完全一致を中心として配信キーワードを絞り込んむ運用がおすすめです。

コンバージョンのボリュームよりもCPAの改善を主軸に置いた運用が効果を発揮する場面が多いと言えるでしょう。

レスポンシブ検索広告の最適化精度が低い

Google検索広告とYSAの両方を運用している案件では、同じ見出し15個、説明文4個を固定なしのレスポンシブ広告で両方の媒体に入稿することを私はよくやっています。

YSAの成果はあまり良くないなと感じ、Google検索広告で多く表示されている見出し3個、説明文2個のみでYSAのレスポンシブ検索広告を作成して運用したところ、パフォーマンスが改善した事例も少なからずありました。

一方で、最初からGoogle検索の成果のよいものだけを選抜してYSAでレスポンシブ検索広告を作成して運用した場合に、成果が今ひとつな時もあります。

その際はGoogle検索広告のレスポンシブ広告に登録しているアセットを全て入れたものをYSAで運用するとパフォーマンスが改善したケースもあります。

YSAのレスポンシブ検索広告は、一度最適化がかかったからと結論を出すのではなく、組み合わせを変えながら色々と試してみるのがよいでしょう。

管理画面の後ろの成果を計測する

管理画面のコンバージョンを増やすことはもちろん重要ですが、そこがビジネスのゴールではありません。

冒頭でお伝えしたように、コンバージョンが無料問い合わせであれば、その後ろの成約が上がって初めて売上が立つという案件は非常に多いでしょう。
初回お試しであれば、重要なのはLTVになります。

管理画面で獲得したコンバージョンが、ビジネスの目標につながる質の良いコンバージョンと言えるのかどうかを確認することは欠かせません。

検索広告からの獲得がどれだけ売上につながっているかを計測する仕組みは、できる限り整えることをお勧めします。

最低限、媒体ごとのコンバージョンがどれだけ売上に繋がっているのかを確認できるよう、媒体ごとにURLのパラメータやフリーダイヤルを分け、成果を紐づけて確認できることが望ましいです。

可能であれば、検索広告では広告グループごとに成果を紐づけて確認できる体制を構築できるとよいでしょう。

Googleアナリティクスや各種ツールを連携し、獲得したコンバージョンと顧客情報を紐付けて成果管理を行なっているビジネスは確実に増えてきてます。

成果までの各段階を追うことのできる詳細なデータは、Web広告だけでなくあらゆるプロモーションの成果を高められる大きな価値を持っています。

P-MAXの扱いについて

2022年に登場したP-MAXに関しても、簡単に所感をお伝えしたいと思います。

結論から言えば、私は現状ではP-MAXを積極的に活用はしていません。
アップデートは続いていますので、今後積極的に利用するようになる可能性はあります。

現状でのメリット、デメリットをまとめてみましょう。

P-MAXのメリット

  • 検索広告・ディスプレイ広告・動画広告を跨いだ機械学習データの活用

  • キャンペーンを横断した予算アロケーションの自動化

  • 工数の削減

P-MAXのデメリット

  • 配信先の調整が効きにくい

  • 分析、改善の余地が小さい

  • 管理画面の後ろへの最適化が難しい

ひと言にまとめれば、「管理工数は大幅に削減できるものの、パフォーマンスが下がる危険性が小さくない」ということになります。

活用する場合は、まずは案件のKPIとなる指標に対して手動で最適化を行い、十分なパフォーマンスが出せる機械学習データを蓄積できた状態で工数削減のためにP-MAXに移行するのが私のおすすめです。

実際に活用されている方の声として、

「指名系キーワードと一般キーワードでキャンペーンを分けた検索キャンペーンをP-MAX運用に切り替えたところ、一般キーワードキャンペーンの成果が上がった!

と思ってよくよく精査したところ、
一般系キーワードキャンペーンからパフォーマンスの高い指名系キーワードに配信され、指名キーワードキャンペーンのコンバージョンを横取りしていた」

という話も少なからず聞いています。

パフォーマンスにシビアな案件であれば、現状ではできるだけ手動運用を行う方がよいというのが私の見解です。

ChatGPTでリスティング広告はどうなる?

現在Web界隈をにぎわせているChatGPTですが、

「会話型AIでリスティング広告は今後どう変わるのか?」というテーマについて、2023年3月時点での私の予測も書かせていただきたいと思います。

結論から言えば、

リスティング広告にも多少の影響は出るものの、会話型AIによって成果が全く変わってしまうような大きな変動にはならない

というのが私の見解です。

会話型AIはWeb上での情報収集には大きな変化を起こすでしょう。

近いうちに検索エンジンの検索結果の横にAIとのチャット画面が表示される形式が一般的になり、Knowクエリと呼ばれる情報収集キーワードで検索上位に上がってくるWebサイトは流入が減少する可能性があります。

しかし、リスティング広告で成果につながるキーワードの多くはこのKnowクエリには属していません。

成果につながるキーワード群はDoクエリ、Buyクエリと呼ばれるものであり、これらのキーワードにおけるユーザー行動の特徴は「比較検討を行う」ということです。

時間、労力、費用といった何らかの対価を払うことを前提として目的に合った情報を探しているユーザーにとっては、会話型AIが提示する内容も比較検討のテーブルに乗る選択肢のひとつになります。

リスティング広告で掲載される広告もその選択肢の中に入ることのになるでしょう。

多少の影響はあったとしても、これからも多くのビジネスにとってリスティング広告は有効な集客手段であり続けると考えています。

ただ、部分一致で拾いに行くような周辺キーワードからのコンバージョンは減る可能性が大きいのではないでしょうか。

比較検討をあまりせずにコンバージョン至る一部のユーザーの獲得に注力していく場合は、会話型AIにいかにおすすめしてもらうか、というのも重要になってくるでしょう。

ユーザーの反応だけでなく、運用面にも影響はあるはずです。

会話型AIに「この商材の広告文を作って」と伝えれば、すでにそれらしい広告文は大量に作ってくれるはずです。

LPのテキストも、それほど違和感のないものを作れる日は遠くないでしょう。

その中で成果を上げるためには、顧客のニーズをより深く、まだ満たされていない新しい部分を捉えていくことが必要になるはずです。

ずいぶん長いブログになってしまいました。

ここまで読んでくださった方は本当にありがとうございます。
今回お伝えしてきた内容で、もしインスピレーションを受けた内容があればぜひ試してみていただけると嬉しいです。

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