コックリさん

海を渡ってきたコックリさん?

ゆるりと不思議な話をひとつ。

コックリさんを知っていますか?
紙に鳥居と「はい、いいえ」と五十音を書く。全員が指で十円玉に手をおいて、コックリさんを呼びだして聞きたいことを質問する儀式ですな。
では、なぜコックリさんと呼ぶのでしょうな?
ではでは、なぜ紙に鳥居を書くのでしょうな?

それを紐解くには、コックリさんの起源まで遡りましょうか。

時代は明治16年の頃。
アメリカ留学から帰国した理学士・益田英作が、持ち帰った交霊術の器具「プランシェット」がコックリさんの始まりだそうです。
テーブルを竹三本を組んで置き、このテーブルが傾く方向などによって心霊からのメッセージを解読するそうな。
この器具の名称を尋ねられた益田は、「問えば告げる」という意味で「告理(こくり)」と名づけた。
これが全国へ広まるうちに、発音が訛って「コックリ」となり、誰かがこれに「狐狗狸」という漢字を当てた。
これがコックリさんと呼ぶ理由だとか……。

ところがどっこい、真相はほかにあるのですぞ。
コックリさんを日本に紹介した益田英作。実は益田孝の弟なのです。
益田孝とは、旧三井物産の初代社長。三井物産の社長を退任した後も、三井財閥の重鎮として財閥を主催していた人物です。
益田英作も「三越」を興し、三井物産の役員も努めた人物なのですな。

事程左様に、益田は三井財閥と深い関係。そして三井家は「三囲神社(みめぐりじんじゃ)」を祀っている。日本橋の三越デパートにも三囲神社の分霊が祭祀されているのです。
この三囲神社には三柱鳥居というのがある。三柱鳥居というのは三本の柱があって、三つの鳥居を組み合わせたものですな。
三囲神社の起源が一説には、文和年間に近江の三井寺の源慶が土の中から白狐にまたがる老翁の像を発見した。その像の周りをひょいと現れた白狐が三度回って消えたという縁起から、「三囲」の名がつけられたといわれているそうな。

ねっきりはっきりこれっきり。
コックリさんの「狐狗狸」は、この白狐にまたがる老翁です。
さらに紙に書く鳥居は、三本鳥居が本当でございますな。

さらにさらに、三囲神社の祭神は「宇迦御魂之命(ウカノミタマ)」で、実は狐を使役する日本神話の保食神(ウケモチノカミ)が正体だと……。
おっと、これ以上は三井財閥を敵に回すようですな。物書きは奇をもって良しとすべし。

今宵はここまでにしとうございます。
おあとがよろしくないようで。

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