【教育歳時記】虫食い形式のノート

本日もよろしくお願いいたします。
この記事は一度書きたいと思っていたものの、なかなかうまくまとめることができなかったものです。ですが、新課程学習でこの形式の参考書を使う方を正しく使えないと、効果はあまりありません(この形式は要点整理のコンパクト本でも使い方はほぼ同じ)。
本日はこちらの話をしたいと思います。用途は理科や社会を中心に話します。教育歳時記ですが無料公開とします。よろしくお願いいたします。

■虫食い形式の参考書

僕が知っている虫食い形式の問題集といえば、「テスト前にまとめるノート」(Gakken)、「ルーズリーフ参考書」(Gakken)、「自分でつくれるまとめノート」(旺文社)があります。これらはあくまでもノート形式のもので、問題集ではありません。あくまでもノートまとめの一助となるもの、という使い方です。

もし、要点整理で問題も解けるとなるなら、「3ステップ式問題集」(受験研究社)、「教科書ワーク」(文理など)が当てはまります。
それらを知ったうえで、使用する問題集・ノートなどを決めてください。

実際にこの参考書は購入した方がいいか、といわれると、どうしても社会の学習が苦手な人(定期テストで50点取れない人)にはあまり向いていないと思います(これを使うならそれよりも「ひとつひとつわかりやすく」などの方がいい)。ノートをしっかりとまとめていきたいのであれば、この形式の参考書は使えると思います。

■虫食い形式の問題集の活用法

では、虫食い形式の問題集・プリントなどはどのように活用しなければならないのでしょうか。実は、この使い方を知らない人がほとんどなのです

虫食いの箇所は重要語句になることが多いです。教科書でいうなら太字で書かれるところです。「虫食いのところ=重要な箇所」、と思う人がほとんどです。実際その考えは間違いではありません。が、この先の学習に踏み込めていない人がほとんどです。
それは、虫食い部分を赤字もしくはオレンジで書いて赤セルを被せて覚えていく方式をする人がほとんどですが、その時に間違った学習をしている人は虫食い部分のみに気を取られすぎているのです。実は虫食い部分の周辺(僕はこれを周辺知識といっている)とつなげて覚えなければならないのです。それを知らずに使っている人が多いのです。

そして、それは現場などでもその指導ができていない講師がいるのも現状です。確かに虫食い部分の学習が悪いとは言いませんが、活用法を間違えないでほしい、と言いたいのです。

さらにこの学習法のもう一つの問題点は、この学習だけで学習ができている、と勘違いする人です。そう、実戦演習ができていないのです。つまり、このような学習はインプット学習ですが、蓄積した知識などを活用するための学習であるアウトプット学習ができていないのです。インプット学習をするにはいいのですが、アウトプット学習にはほとんど向いていません。そのため、これとは別に問題集を1冊用意しないといけないのです。

■知識の蓄積のために

ノート形式の参考書を使う場合、ノートに書かれているものだけを覚えてもあまり意味がありません。高校入試では、記述式に対応するための知識を活用できるノートにしなければなりません。そのためには、ノートなどに書いていないことでもメモする、周辺知識として加えるなど工夫するノートを作ってほしいと思うのです。

ここで勘違いする人が、きれいなノートにしようとする人です(女子によく見られる傾向)。自分が使えるノートにすればいいのに、わざわざデコレートしたりカラフルにしたりと、本来の目的とかけ離れた学習をしている人もいます。そういう人に限って、デコレートしたノートをまとめて、学習した気になっているのです。が、実際に模試形式の問題を解いたら点数が思ったほどとれていないことが多いのです(定期テストレベルであればこれでも十分ですが)。

知識の蓄積に使えるのが、「中学社会用語集」(旺文社)、「詳説用語&資料集社会」(受験研究社)などの用語集で、これらと併用するのがいいでしょう。

その後、一通りの知識が確認できる問題集を1冊用意しましょう。例えば、「実力アップ問題集」(文英堂)、「ニューコース問題集」(Gakken、5月下旬発売)などの基本的な問題集で仕上げていきましょう。そこで問題を解いたもので新たな知識を手に入れたものをノートに書き加えていきましょう。

■授業中の姿勢も大事

ノートづくりで最も大事なのは、普段の授業の姿勢が大事になります。学校の先生が板書したものだけを写すのではなく、先生が発した言葉をメモする習慣をつけておくといいでしょう。この説明が周辺知識や関連知識につながることが多いからです。そして、メモを取る習慣については、日頃からつけておくとその先の学習でも役立ちます

授業中で疑問に感じたところは授業終了後に担当の先生に必ず聞くようにしてください。何かに疑問を持ちながら授業を受ける姿勢も今後は大事な要素になります。そして、授業などで身に付けた基本的な知識をもとに様々な知識へ応用を利かせるように活用できるノートづくりをしていくといいでしょう。

学校の先生のノート評価ですが、僕がノート(ファイル)提出をした時の最低基準(学校ではなく専門学校の講師としてやっていた時)として、➀授業の板書通り書けている(下線を施している)か、②板書以外での工夫がみられているか、③自分なりのまとめをしているかどうか、などを評価対象としていました。その中で僕がより評価に重点を置いているのが、②や③です。➀はできて当然なので、この部分についてはあまり評価対象としていません。
もし、僕が学校の先生の立場なら、➀のためのノート提出は課しません。②や③ができていなければ評価してしません。その理由として、指示通りのことしかできない人になってほしくない、という思いがあるからです。指示を受けてそこから自分なりに考えられるのか、工夫できているのか、その部分ができているかを見るためにファイル提出をしているのです。

既存のノート参考書もそうです。虫食い部分の穴埋めだけをするなら誰でもできます。それ以外にどのような工夫をして自分なりのノートにすることができるのか、が重要です。ノートづくり一つにしても使えるものになっているのか否か、は重要な要素です。
現在は、色々な学習支援書(「勉強のトリセツ」など)でノートのつくりからなどを明示しているものがあります。そのため、ここでは敢えてノートのつくり方は話しません。

ノートづくりは大事な要素です。それは3年間の蓄積となって高校入試のときの最大の武器になります。しかし、作り方や活用法を間違えたら途端に効果が半減してしまいます。これは、大学生になっても、社会人になっても大事なものとなります。この一つ一つの積み重ねこそ、自分が学習してきた証でもあるからです。その時に学んだことを様々な場面に応用していかないといけません。

なぜ、孫氏の兵法が今でも重用されているのか。それは、孫氏の兵法の一つ一つが様々な場面で応用が利くからです。歴史の学習のきっかけとしてもいいくらいの優良な教材だと思います(僕も以前は孫氏の兵法を活用していました。再び読みたいと思っている本の一つです)。
このことからも、先生が発する一言は何気ないかもしれないが、もしかしたら将来に役立つものになるかもしれません。その気持ちをもって授業に臨んでほしいと思います。

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