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広告振り返り~2022年の広告を振り返りつつ広告最強ランキングを作りたい~

 2022年もたくさんの広告が出てきたが、思えば「YOUTUBE WORKS AWORD JAPAN」だの国際広告賞として有名な「世界三大広告賞」だのと光の広告は光の広告で賞をやっているのに対して、普段下々の人間が見て「クソ広告死ねよマジで!!」とキレているような広告は知らんぷりなのは全く変わりません。
 マーケターはそれで良いのかもしれないが、結局アート的に優れた広告、素晴らしいコピーなんてのはほんの一握りであり、ぶっちゃけ実情に合っていないのではという気がしてならなかったんですよね。普段見かける無料200連ガチャを無視して出来の良い映像作品を見て褒めるだけってのはどうなんだとずっと思っていました。
 そこでようやく2年分のデータが揃った今こそ、自分が2022年に見た広告を振り返り、個人的にランキングをつけてやる準備も整ったわけです。総文字数291,540字となった2022年広告振り返りをベースに、2022年の広告で真に目立った広告を決めて行こうじゃありませんか。

・2021年広告のあらすじ

 2022年の広告以前に、2021年の広告を知らない方の為に軽くあらすじを紹介しておきましょう。
 2021年の広告は『魔剣伝説』『おねがい社長』『エバーテイル』の3タイトル、通称「広告三英傑」が環境のトップを取っていた。2021年に広告をリリースしたタイトル自体は多数あったものの、ネットミームにまで上り詰めるほどの知名度を得られたのはこの3タイトルだけである。
 その下で「シャイニングニキ」「EVONY」「トップウォー」「パニシング:グレイレイヴン」「三国志真戦」「State of Survival」「荒野行動」の「広告七賢人」が2022年まで生き残ったような形になります。
 それ以外の広告に関してはマガジンを確認してください。

 広告三英傑側はそれぞれ無料200連ガチャと偽MMO、隠し10連ガチャからの星5スーパーカーを筆頭としたコメディ広告、ポケモンのホラーパロディという独自路線がハマってブームとなっていた印象。
 広告七賢人もそれぞれ芸風こそある物の、三英傑ほどの突出は出来なかったように見える。それだけ魔剣伝説、社長、エバーテイルの3タイトルが圧倒的な存在感を放っていたのが2021年の広告環境でした。
 とはいえ、度を超えた著作権違反や誇大広告の類は2021年には少なかったという点は抑えておくべきポイントです。

・2022年広告ダイジェスト

・2022年1月

 広告の数こそ多かったが、後まで残ったような広告という意味ではかなり少なかった月。
 今にして見ると2021年広告三英傑である魔剣伝説、おねがい社長、エバーテイルの勢いが弱まっている流れは1月から始まっていますね。

・2022年1月に初登場した広告
 水都百景録
 インフィニティキングダム -諸王の戦争-
 空の勇者たち
・準MVP
 金銭遊戯~一発逆転の復讐劇~
 モスバーガー
・MVP
 インフィニティキングダム-諸王の戦争-

・2022年2月

 ウクライナ・ロシア戦争が始まり、広告にも国連の支援依頼が並び始めたのがこの時期。
 EVONYが「もぉ~、また騙された! 広告は面白そうなのに、ダウンロードしたら全然違うゲームってありますよね!」から始まる実況風広告をやり始めたのが2月の最も大きな広告界隈のトピックスと言えるでしょう。この広告を超次元彼女などがパクっていく所から、2022年の広告が始まった。
 また、Pairsの肉体強子というキャラを登場させた筋肉広告も2022年の流行広告の走りだと捉えて良いだろう。なかやまきんに君が広告界隈で大流行する兆候は既に2月時点で現れていたんですねえ。

・2022年2月に初登場した広告
 ヘブンバーンズレッド
 Twitch Japan
・準MVP
 ザ・アンツ:アンダーグラウンドキングダム
 Pairs
 EVONY
・MVP
 インフィニティキングダム-諸王の戦争-

・2022年3月

 2022年ならではの新規タイトルが多数登場し、いよいよ2022年の広告戦線が始まったと感じられたのはここから。
 2021年までHero Warsをパクった偽ゲーム広告ばかりしていた超次元彼女が突然「棒人間ランニング大作戦」というサブタイトルをつけ始め、ミニゲーム面を全面に押し出した広告を始めたのが大きなトピックス。ここからゲーム内で遊べるミニゲームを積極的に告知する流れが始まったように思います。
 また2022年後半に一大ケツブームを巻き起こした勝利の女神:NIKKEは2月にオープンベータテスト、3月には広告を事前に打っていた事も注目すべきポイントです。
 かなり早い段階でユーザーにタイトルを露出しておき、本格的にダウンロードが始まる前にしっかりと口コミで話題を広げておく。もちろんゲーム本体の出来も良かったのだろうけども、この辺の広告戦略がバチッとハマったのがNIKKEの大ブームに一枚噛んでいるのではないでしょうか。

・2022年3月に初登場した広告
 レイジ・オブ・デスティニー
 勝利の女神:NIKKE
 スーパーウィザード
 ユグドラ・レゾナンス
 ベストイレブン
・準MVP
 エバーテイル
 極道のエデン
・MVP
 ザ・アンツ

・2022年4月

 2022年4月の広告で欠かせないのは、やはりスーパーウィザードでしょう。淫夢にポケモン、マリオ、MEGALOVANIA、海外meme、ヴァンパイアサバイバーの画面の引用……重ねた罪の数が多過ぎる。もう広告では何やっても良いよね、という風潮を生みだした2022年最強の問題児です。
 超次元彼女は3月でミニゲームをメインにした広告を出して、4月にEVONYの「また騙された系広告」をパクるというレスポンスの早さに注目したい。3月時点でEVONYが話題になっているのを見て、早速パクっていった。
 しかもこのEVONYの「また騙された系広告」、少女ウォーズでも全く同じフォーマットが採用されている。ここから騙された系広告のブームが始まっていたのだ。
 また、4月頃からカードゲームの広告が増えてきたのも印象的。元々マジックザギャザリングは積極的にTwitterで広告していたのだが、それに加えてデュエルマスターズの広告や、カードスリーブの広告、ポケモンカードの広告など、カードゲーム関連の広告がぐっと増加した傾向がある。
 さらに言えば、4月は最強でんでんやザ・グランドマフィアなど、2022年の広告でトップクラスの力量を持つ新規タイトルが産声をあげた月だった。密度が濃すぎる。

・2022年4月に初登場した広告
 オリエント・アルカディア
 ソーセージマン
 少女ウォーズ
 スプライトファンタジア
 Dead by Daylight Mobile
 ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け
 ナッシュ
 戦国布武
 最強でんでん
 ザ・グランドマフィア
・準MVP
 レジェンド オブ ハーン ~蒼き狼の覇業
 パニシング:グレイレイヴン
 スーパーウィザード
・MVP
 ザ・グランドマフィア

・2022年5月

 最強でんでんが秋葉原をジャックし、ネットで見ない日は無いレベルで広告を放映していたのが5月。瞬間風速だけで言えば2021年広告三英傑に引けを取らない広告の密度を見せて来た。
 知らないゲームの知らない思い出話を無限に流すという新スタイルを持ち出したクレイジー酋長は5月のみの登場だったが、他に例を見ない広告スタイルだったので見たことが無いなら一度確認しておくべき広告。2022年11月に登場した三国極戦もこういう細かなエピソードを丁寧に描写して印象に残す広告だったので、丁寧系広告の走りだった可能性がある。
 モンハンの製作者に苦言を呈されるほどのパクリゲーム、ハンターズソウルもネットを賑わせた。とはいえ、振り返ると最強でんでんの方が話題性は上だったのではないだろうか。

・2022年5月に初登場した広告
 ハンターズソウル
 クレイジー酋長
 コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ
 神界奇伝~八百万神の幻想譚~
・準MVP
 クレイジー酋長
 ザ・グランドマフィア
・MVP
 最強でんでん

・2022年6月

 スシローのおとり広告が全国的な問題になった。でもスーパーウィザードは全国的な問題としてメディアは取り上げなかったね。この時期にスーパーウィザードが始めたASMR系広告は比較的パクりやすい内容だったので、後に他のゲームがパクり始める事になる。
 EVONYが5周年という事でトリンドル玲奈にピン抜きパズルをさせる広告をリリースしたのも見どころ。さらに実況風広告、「また騙された!」広告、いつものピン抜きパズルと四本柱で広告を叩きつけ、鮮烈な5周年を飾った。
 6月も依然スーパーウィザード、ザ・グランドマフィアの勢いは増すばかり。その上で2021年広告三英傑側もエバーテイルが原点回帰的な広告をリリースしたり、社長が相変わらず茶番をし続けたりと、激しい広告のぶつかり合いがあった月。

・2022年6月に初登場した広告
 キングダムガード
 新信長の野望
 暁の天刃録
 神獣伝説~エボリューション・ディバウア~
 ノフランド物語
 Tower of Fantasy
・準MVP
 暁の天刃録
 ザ・グランドマフィア
・MVP
 EVONY

・2022年7月

 戦国覇業、新信長の野望、三国・新たなる英雄、三国志真戦と、歴史系SLGが大流行した7月。どこを見ても兵種相性と地形を告知している中で、三国志真戦は一歩先を行って微課金をオススメする広告をリリースしていたのが強く印象に残った広告ウォッチャーも多いでしょう。
 それ以外は比較的堅調な月だったと言える。光の広告、闇の広告共に広告への不信感を抱くような告示が増えてしまったので、この辺りからチェックが厳しくなった説が濃厚だ。

・2022年7月に初登場した広告
 戦国覇業
 クァンタムマキ
 東方アルカディアレコード
 Weplay
・準MVP
 暁の天刃録
 キングダムガード
 三国志真戦
・MVP
 ザ・グランドマフィア

・2022年8月

 2022年8月は、広告冬の時代であった。スーパーウィザードや神獣伝説、くら寿司が残した傷跡は大きく、広告は急激な健全化を余儀なくされた。
 完全に嘘をついて告知する、露骨に著作権を無視するというムーブには赤信号が灯り、8月~10月までは比較的ゲームの内容をきちんと伝える広告や、ゲーム内で遊べるミニゲームを盛って紹介するような広告が増加していった傾向がある。11月から若干緩くはなった物の、それでも最盛期に比べると過激な広告は影をひそめた印象がある。
 その中で偽広告をしていたのは三国・新たなる英雄くらいだが、表向き健全化したように見えてもBGMに関しては無断利用が多かったのも今後の広告界の問題を露呈した事案だったと言える。とはいえ検閲が厳しくなったのは間違いないようで、新しい活路を各社探し始めたのが8月の広告と言えるでしょう。
 それ以外のトピックスとしてはおねがい社長が2周年。社長もババを助けて隠し10連ガチャをやってた時からもう2年も前線にいるんだから、相当に長命な広告である。

・2022年8月に初登場した広告
 ラストフォート:サバイバル
 不思議な地下城
 ダダサバイバー
 モリノファンタジー
・MVP
 なし

・2022年9月

 Youtubeが飛ばせない広告を最大11連続で放映するシステムのテストを開始。いつから始めるのかは分からないが、実現すれば広告ウォッチャーにとっては大量の広告を一気に見られる神アップデートとして話題になる。
 8月からスタートしたラストフォートに加えて、パズル&サバイバルなどゾンビ系ゲームが新しい広告環境を攻略する糸口を見つけるべく動き出した。
 また広告界隈でも最古参であるフィッシュダムが突然浮上してきたのも印象的。マフィアシティの後継者であるザ・グランドマフィアと並ぶと最初期のゲーム広告を思い出してくる懐かしさがあった。
 数少ない不健全系広告としてアニマルレボルトバトルシミュレーターが登場していたが、あまりウケなかったように見える。
 この中で最も異彩を放っていたのは魔塔転生:タフガイへの挑戦状。「魔塔転生presents!天使レスラーVS悪魔グラドル!タフガイの7大挑戦!」に関しては今見てもメチャクチャ面白いので、見られるうちに見ておくべき広告です。

・2022年9月に初登場した広告
 マフィアコネクト
 無期冥途
 Echocalypse -緋紅の神約-
 魔塔転生:タフガイへの挑戦状
 アーチャーフォレスト
・準MVP
 ラストフォート:サバイバル
 アニマルレボルトバトルシミュレーター
 モリノファンタジー
・MVP
 魔塔転生:タフガイへの挑戦状

・2022年10月

 2022年8月という広告冬の時代を抜け、10月は新規タイトルが続々と登場。攻めた広告は減り、シンプルな広告を主軸とした硬派な広告のぶつかり合いが見どころとなる月になった。
 ブルアカで抜いた生徒を庇うヤンクミブームや口コミの影響、そして周年期が噛み合って復活したブルーアーカイブも広告を引き続きリリースしていたが、広告の内容としてはさして変わっていない。やはりヤンクミブームは電通の仕込んだ巧妙な広告だった……?

・2022年10月に初登場した広告
 始皇帝の道へ:七雄の争い
 三国極戦
 戦国再臨
 MARVEL SNAP
 キングオブキングダム
 メメントモリ
 ニューラルクラウド
 きらめきパラダイス
・準MVP
 始皇帝の道へ:七雄の争い
 MARVEL SNAP
・MVP
 無期冥途

・2022年11月

 Twitter社の新CEOにイーロン・マスクが就任。この影響がいつ出るか、と思われていたが、12月に入ってから広告関連の不具合や、正常に広告が閲覧出来ない現象が散見されるようになる。イーロン?
 また、Youtubeでは広告動画のシェアが解禁。これにより広告ウォッチャーはYoutubeの広告をより共有しやすくなった。
 Jmin GamesがAIイラストを活用したゲーム広告を先駆けてリリースし、未来の広告界隈を一足先に感じさせる内容であったことも覚えておきたいトピックス。将来AIイラスト広告ばかりになったら、2022年11月が全ての始まりだった事を知っているだけでかなり知っている感が出ます。
 それ以外は既存勢、マフィアシティや社長、荒野行動などの既存勢が広告のリリースを続けていた。大型タイトルは年末年始の広告に向けてか、力を蓄えていたんじゃないですかね。

・2022年11月に初登場した広告
 忍者マストダイ
 ベイラーレジェンド:Dog Rescue
 陰の実力者になりたくて! マスター・オブ・ガーデン
・準MVP
 クレブラック
・MVP
 三国極戦

・広告2021年組の経過観察

・広告三英傑の勢いが低下

 2021年の広告環境を支配していた魔剣伝説、おねがい社長、エバーテイルの3タイトルは、2022年に入って大きく勢いを落とした。
 魔剣伝説は最初に脱落し、2022年1月時点でTwitter上での広告がゼロに。エバーテイルは2022年8月を最後に広告が打たれなくなり、おねがい社長は2021年の毎月20本ほど広告をリリースしていた時期に比べると2021年8月以降は広告の数が月3本程度に減った。
 一応魔剣伝説に関しては主戦場をTwitterからゲーム内広告に移した事を2022年7月に確認しているが、それ以降の行方は杳として知らない。おそらく同社がリリースしたモリノファンタジーに広告リソースを割き、フェードアウトしていったのだろう。

 ただしおねがい社長に関しては2022年11月辺りから徐々に以前のスタイルの広告に戻り始めている。社長だけは2022年8月以降の広告健全化に対して行方を慎重に伺い、他タイトルが比較的健全な広告に戻ったタイミングで新世代向けのチューニングを施した広告に進化したのではないか。
 社長がスゴイのは以前まで彼らも何となくやっていたであろう不健全なBGM選定、ミーム使用を控えたモデルに切り替えた事。8月~9月は周年期のえなこコラボ広告などでお茶を濁し、10月は一旦広告を作成するインターバルとしてから、11月より広告を再開し始めた。この立ち回りの老獪さが社長の魅力なんだよなあ……

・2021年広告から勢いを伸ばした広告

 EVONYは2022年2月の広告で「また騙された系広告」を始め、これが大ヒットした事からピン抜きパズル広告に加えて実況風広告をスタートした。この方針転換により、EVONYは2021年よりもさらに勢いを増したタイトルになったと言えるだろう。
 ザ・アンツはアリがド派手なアクションをする広告に舵きり。パズル風広告や線を引くパズル広告など様々な新ジャンルに積極的にチャレンジし、2022年12月に至ってなお勢いを増し続けているのが特徴だ。
 トップウォーは出川哲郎を起用した広告に加えて、小芝風花起用広告、実況風広告のかじり、2021年から続けての島合体広告の三本柱で広告を継続。広告界のビッグネーム、ビビッドアーミーと同一タイトルである事を暴露しつつ、広告の勢いを伸ばしていった。

・Twitter広告、歴戦の猛者の復活

 荒野行動、ザ・グランドマフィア(マフィアシティ)、フィッシュダムなど、Twitter広告最初期を彩った歴戦の猛者たちが再評価されたのも2022年の特徴だと言える。
 その理由として、広告古参勢は著作権関連のトラブルをケアした広告を出す為の手法を磨いてきた点があるだろう。荒野行動も最初期こそ著作権に問題のある広告をリリースした実績があるが、最近では公式コラボ広告と3DCG、実写での茶番広告を主体としており、他社の著作物を無許可利用するような広告は止めているのだ。
 マフィアシティ系列、フィッシュダムもあえて選択肢を間違う広告こそリリースはしたが、直接的に著作権侵害を行うようなラフプレイはしていない。周囲のモラルが低下した事による相対的な再評価ではあるが、それでも基本に沿った茶番系広告の強さを見せた結果となる。

・新タイトルへの転生を発表した作品

 シャイニングニキは2022年中旬程度から新作広告をリリースしなくなっていたが、その理由は思わぬサプライズ、ニキシリーズの新作である『インフィニティニキ』のリリースで答えてきた。
 ニキシリーズ10周年というタイミングでリリースした新星タイトルであり、本作が将来的にいつリリースされるかは不明。とはいえ、シャイニングニキの広告の頻度自体は減少していく事が予想される。実際に2022年12月は見かけた記憶があるが、2022年後半はシャイニングニキよりもきらめきパラダイスの方が多数の告知をリリースしていましたね。

 ちなみにシャイニングニキ自身も7月はなつめさんち、8月はいれいすという女性向けアイドルグループ、あるいはYoutuberを起用したコラボ広告を起用している。
 この辺りの適切なコラボ先を見つける能力に関しても要注目。

・引き続き手堅く広告を続けた作品

 パニシング:グレイレイヴンはショートアニメのリリース、また新宿クロスビジョンでの告知など、手堅い広告を継続したタイトル。悪事に手を染める事も無く、素直に広告のスケールを広げていった。
 パズル&サバイバルも一時は広告数を減らしはしたが、彼の持ち味であるパズル×ゾンビスタイルの広告を貫いている。他にゾンビ系のゲームとしてはStete of Survival、ラストフォート、ウォーキングデッド、Age of Zなどが2022年に広告をリリースしていた中で、パズル要素のあるゾンビゲームという立ち位置を明確に出来たのが良かった点と言える。
 このファンと放置少女は、コラボがあった際にのみ広告を打つスタイルに完全にシフト。放置少女に関しては偽広告をYoutubeで打つ程度の余裕があったが、Twitter上では芸能人を起用した広告だけに絞る方針は変えずに進めていた。

・2022年中盤まで活躍した作品

 超次元彼女、ファミリーファームの冒険、Age of Z、金銭遊戯はそれぞれ2022年中盤で一旦広告のリリースを無くした。
 予算感の問題もあるので、この判断に関しては外部がとやかく言うもんでも無いでしょう。スーパーウィザード以降はかなり広告の風潮が変化したので、2023年から再度Twitter向けの広告をリリースしに行く可能性もある。

・2022年に勢いが落ちた作品

 State of Survivalはゾンビ系広告が増える中、中々目立った広告をリリース出来なかった側に属する。というのも8月に登場した新作ゾンビ広告、ラストフォートが基地作成広告という新ジャンルで大攻勢をかけた結果、既存のゾンビゲームは新しい絵面を出しづらかったのがいまいち注目度を上げ切れなかった要因ではないだろうか。

・2022年に流行した広告スタイル

・違法広告

 2022年を彩ったのは、大規模な違法広告のラッシュである。
 スーパーウィザード、神獣伝説~エボリューション・ディバウア~、ハンターズソウル、Weplay、ザ・アンツ、アニマルレボルトバトルシミュレーター、大豪商(旧、極道大豪商)……広告で著作権を無視するのはエチケット、とまで言えるほどの無法ぶりに揺れる年となった。
 いずれにしろ悪事である点は間違いないのだが、結局違法であってもそのチェックが間に合っていないのか、あるいは儲かれば何でも良いという思想で放映されているのか、何にせよ違法広告の密度は非常に濃い。

 Youtube側の広告に関して詳しい「クソゲーパトロール猫」の方を見ていると、9月以降もTwitterには浮上してこないような怪物広告が登場していたようだ。
 各プラットフォームごとに傾向はあるだろうが、特に著作権関連がガバガバな印象を受けるのがYoutube。著作権を違反した広告には枚挙に暇が無い。
 Twitter側も広告のBGMに関しては監修が怪しい気がするが、さすがにアニメの映像を加工しただけとか、他社IPを無断利用したような広告は少ないように思う。そこで色々と無断利用を重ねたスーパーウィザードはヤベえって話になるんだけども……

 スマホゲームにこういう違法広告が多いのは、結局初期開発費を取り返せれば何でも良いという思想があるのではないか。
 稼働初期は著作権を破ってでも集客すれば良く、課金させて初期開発費を取り返したら適当に運用してサービスを閉じるというやり口によって、極めてローリスクハイリターンに著作権を侵害出来るバグ技を活用されてしまっているように見える。
 そのバグ技を最大限に活用するような広告が氾濫したのが2022年であり、早急に対策する必要があるように思う。
 ま、単に広告を見ているだけの自分はそう思う事と、悪質すぎる場合には通報する事しか出来ませんけどね。

・「また騙された!」

 EVONYが始めて超次元彼女と少女ウォーズが擦ったジャンル。改めて、この広告のセリフを見返してみましょう。

 もう、また騙された!
 広告は面白そうなのに、ダウンロードしたら全然違うゲームってありますよね。
 でも、やっと面白いゲームを見つけたんです!
 それが、(ゲームタイトル)。
 どれくらい面白いのか、早速わたしがやってみます。
 ~ゲーム画面に移る~
 結構、難しいですね。
 頭を使うステージもあります。
 あー、ここが難しいなあ。
 ~この辺で失敗する~
 もう、またこのステージがクリア出来ない!
 私がクリア出来なかったゲーム、(ゲームタイトル)
 是非、皆さんダウンロードしてみてね!

EVONY -王の帰還- 2022年2月24日

 以上の文章をベースに、少しアレンジすればすぐに出来る広告。この汎用性の高さから、超次元彼女と少女ウォーズは広告に出演する女優を使いまわすという荒業をやってのけていた。
 結局この広告が流行したのは、2021年にしばしば言われていた「実際には遊べないゲーム広告に対する不満」を汲み取った結果であると言える。

 「広告でやっている偽ゲーム」問題は昨年偽広告を出しまくっていた張本人である魔剣伝説ですら思う所があったようで、広告と異なるゲーム内容に憤るプレイヤーに対して「偽物の魔剣伝説じゃないか!」という名言で論破するような映像をリリースしてはいた。
 しかし、結局偽ゲーム広告の目的とは何でも良いからダウンロードさせる事。広告を真実にするべく大掛かりな別モードを実装するのはコストも開発費もかかる点からコスパの悪い施策である事は間違いない。

 だが、ヴァンパイアサバイバー系のゲームやカジュアルゲーム、ピン抜きパズルなど、軽度のミニゲームであれば実装する事が出来た。そして、それをダシに偽物のゲーム広告を真実にする事も可能になったのだ。
 元々EVONY自体2021年からゲーム中のミニゲームであるピン抜きパズルを広告にしていたのだが、それを改めて「騙された系広告」に改造しようという発想に至ったのは結構スゴイと思う。
 騙された系広告はゲーム本編にミニゲームを実装するのが条件に見えるが、別に少女ウォーズは偽ゲームでも「また騙された!」と言う広告をリリースしていたので、どんな映像でも「また騙された!」と言えばこの広告になれます。多分旬は過ぎているが、使おうと思えば使えるアイデアでしょう。

・筋肉広告

 筋肉広告、ひいてはなかやまきんに君は2022年の広告を語る上で外せないキーマンだろう。
 なかやまきんに君はアイリスオーヤマ、デカビタC、NURO光、キングオブキングダム、ecforce等に出演し、2022年12月にはDMM冬のタワーディフェンスキャンペーン、BOOK OFFでも広告に出演した。
 これに関してはなかやまきんに君自身の人気もあるだろうが、それにしても筋肉広告は2022年で過剰なほどに擦られた広告だと言えるだろう。

 筋肉は二種のイメージを顧客に植え付ける事が出来る。1つは「パワーのあるサービス」という安心と信頼感を与える筋肉。もう1つは「パワーだけではどうしようも無い」という愚かさによって賢いBプランを引き立てる筋肉。
 特になかやまきんに君はコメディアンとして、彼自身の芸を活かしたコミカルな役回りも可能であった点が大きかった。筋肉だけなら誰でも良いだろうが、なかやまきんに君は独自のパワー芸によって存在感を強く出せる点も大きな強みだ。
 かくして、なかやまきんに君は広告界におけるワイルドカードとしての立ち位置を盤石にした一年だと言えるだろう。

 筋肉の広告効果は、なかやまきんに君を採用せずとも発揮される。その証拠に2022年7月にはinゼリーが筋肉広告をリリースし、Pairsは肉体強子から始まる美少女筋肉広告が話題になった。
 筋肉を出せばウケる、話題になるという流れは、おそらく昨今の健康志向、コロナ情勢における室内運動ブームによって加速したものと思われる。
 もちろん現在はなかやまきんに君を採用するのがベストな選択になるが、もしきんに君を採用出来ない場合でも筋肉のある存在を広告に出せるのであれば筋肉広告は有効に働くだろう。

 現状筋肉広告のデメリットとして挙げられるのは、サービス自体の評判が悪くなった際に広告が筋肉負けしてしまう点が大きい。
 「パワー」の代名詞である筋肉を採用しておきながら、回線の調子が悪いなどの不具合を多発させてしまうと商品の訴求力、広告の説得力はガクンと落ちる。
 タイミングの問題もあるがNURO光の公式ツイッターも、例の回線不調問題のタイミングでなかやまきんに君のヘッダーを外してしまった。行き過ぎた筋肉は身を滅ぼす。これを念頭において、筋肉広告をリリースする必要があるだろう。

・マニアック掘り下げ広告

 クレイジー酋長が開拓し、三国極戦がリスペクトした新ジャンル。元ネタとなるゲームの内容をナレーション、あるいは映像で細かに再現し、見る者に郷愁を感じさせる広告スタイルです。
 単純にパクるだけでは偽ゲーム広告と一緒なので、ゲーム画面以外の訴求要素が重要になってくる。稼動当時のエピソードやゲーム内の細かな仕様の再現を丁寧にこなした上位のパクリだけが到達出来る領域です。
 逆に言えば細かすぎて伝わらないモノマネレベルの作り込みが必要になってくるので、作る大変さに反して注目度はそれほど高まらない可能性も高い。でも元ネタを分かって見ている方としては「いや、分かってんな~~~!!」とちょっと感動できるジャンルでもあります。

・ASMR広告

 スーパーウィザードが始めて、EVONYがパクったジャンル。広告の内容に関わらず、とりあえず最初に良い感じの音が鳴る映像を挿入する。
 それだけの内容だが、簡単な内容だからこそパクりやすくはあるし、一応人目も引くのだろう。300RT程度は稼いでいる辺り、手間に対して得られる効果が大きいように思う。

 ちなみに、ド直球にASMRを広告でやるパターンもブルーアーカイブやモンスター娘TDが行っている。
 「ASMRを聴いている途中に楽天カードマンが出て来たんだけど!!」と怒っているオタクも、これなら安心ですね。

・レトロ風広告

 ふるなびなどがリリースしていたレトロ映像風広告も大人気だったように思う。こういう映像が得意なクリエイターであるかねひさ和哉などを採用して作成したのだろうか。
 2022年は昭和系の映像をあえて現代の技術で作るような映像が流行した年だと言える。絵面が面白い上に、ストレートに告知文句を出しても比較的反感を買いづらく、スムーズに告知出来る点も大きなメリット。

 マイナビバイトがリリースしている映像もレトロな要素をピンポイントに採用しており、この映像をスマホで見ているというギャップが楽しい広告になっている。
 実際に少し前から流行していたvaporwaveジャンルもレトロさを楽しむようなジャンルであるし、その先端的な流行がだんだんと広告に降りて来たような形になるだろう。
 レトロな要素を取り入れて新しい広告にするという試みは2023年も引き続き行われていくと思われる。

・短スパンカルーセル広告

 動画や画像をスライドショー形式で閲覧できるカルーセル広告だが、これを5秒~10秒という短時間で流す事でさながら少し趣向の異なる動画広告のように見せる広告スタイルをVジャンプが開拓した。
 この形式は自分の見たい情報から見始める事が出来る点が優れており、機能的にもよく出来た広告だ。遊戯王の情報だけ見たければ遊戯王のページまで飛ばせば良いし、逆にダイの大冒険の情報だけで良ければそこで閲覧をやめれば良い。
 単なる40秒の動画広告とするよりも、コンテンツごとに細かく動画を区切る事によって見やすくする。情報の多い現代に向いたグッドアイデア。

・Youtuberパロディ広告

 れじぇくろ! がリリースした岡野タケシパロディの広告など、有名Youtuber、Tiktokerのパロディ広告は比較的セーフなラインを突いた面白広告としての立ち位置を保った。
 大体この広告に関してはコラボしたVtuberが別のYoutuberをパクって特定のコンテンツを広告しているんだから、もうどういう構造か分からない。
 あくまでもパロディの域に留まるような内容であればお目こぼしを頂けるだろうが、あまり変な事をすれば当然本家からの文句が入るだろう。適切な範囲で適切なパロディをしようね!

 パロディ先の広告は、対象の顧客層に合わせて変える事で無限の可能性があるのもYoutuberパロディ広告の強み。
 借金減額診断の場合はひろゆき&中田敦彦のYoutube大学をパロディする事で話題性を高めている。
 広告のテーマとパロディ先をカスタマイズして君だけの最強のパロディ広告を作ろう!

・合成音声の採用

 softalkを筆頭に、ナレーションが人間ではなく合成音声に代替され始めた広告がリリースされ始めたのも2022年の特徴だと言える。
 合成音声ソフトの質もよくなってきたので、適当な広告をサクッと作って短期間流す分にはナレーターを雇うよりも安上がりなのだろう。
 これでイラストまでAIに任せ始めたらもう広告から人間いなくなりますよ。別にいなくなっても困りはしないと思うけど。

・広告最強ランキング~2022年最新版~

 ここまでが2022年の広告環境の概観である。
 以上を参考に、2022年を彩った広告をランク分けしていこう。自分の観測範囲上、Twitter>>>Youtube>テレビ=ゲーム内広告=現実での広告くらいの優先度になると思われます。ご了承ください。

・ランクS~2022年広告四天王~

・ザ・グランドマフィア&マフィアシティ

 2022年はマフィアシティの後継者、ザ・グランドマフィアが多数の広告をリリースし、不健全な広告が取り締まられる中で年末まで様々な広告で我々を楽しませてくれた。前身となるマフィアシティ自身も広告を出していたので、今年のゲーム広告のトップはグランドマフィアであると自分は思っている。
 もちろん著作権を破壊するとか、突然ヤリ始めるとか、そういう過激なやり口の広告は他にもたくさんありますよ。しかし、結局は大真面目に変な広告をやり続ける継続力と、その継続しつつもどれだけ新しい広告を出したかで自分は評価したくなります。
 誰だって広告は毎日見ているモノなので、どんなに過激な広告を出したって半年もしたら忘れてしまう。その中で印象に残る広告とは、面白い内容を継続的にやり続ける他にありません。Youtuberの飯のタネとするには一時的な違法広告の方がありがたいと思うだろうけども、毎日見たくなる広告という意味では間違いなくグランドマフィアがトップTierです。

・EVONY -王の帰還-

 2022年はEVONY躍進の年であった。5周年のタイミングでトリンドル玲奈にピン抜きパズルをやらせた時点で相当な力技であったが、その上で騙された広告、ASMR広告、しかもピン抜きパズルまで並行して広告を出した力たるや他の追随を許さない。
 グランドマフィアは定番パターンを手堅く擦り続ける事に定評があるとするならば、EVONYは新しいチャレンジを成功させつつも定番パターンも上手く活用しているのが素晴らしい。
 EVONYはこのチャレンジ能力があれば2023年も広告のトップを走り続けられる。そう考えると実はEVONYは未来のトップランナーかもしれない、という期待もあります。

・ザ・アンツ

 グランドマフィア、EVONYと比べると若干落ちるが、それでも他のタイトルよりも積極的に広告をしており、かつまだ紹介出来ていない12月にはゴジラコラボも開催した。これからさらに勢いを増す枠としてアンツも入れるべきだろう。
 アンツはアリが主役であるため他の広告に比べて独自性が強く、かつ人間主体の広告では考えられないような未開拓パターンを残しているのが一番の強みである。実際アンツは先述した2022年の流行広告スタイルの中で採用したのは違法広告くらいで、それ以外の定型をほぼ使わずに広告界隈を走り抜けたのは偉業だ。
 しかもライジングオブアンツというパクリゲームまで出て来たので、アリ広告が2023年のTwitterを支配する可能性もゼロでは無い。古き2ちゃんの如く、「Twitter広告をアリのゲームだらけにしてオタクと政治厨泣かそうぜwwwww」という流れが起こる夢を見ても良いのではないか。

・なかやまきんに君

 なかやまきんに君の生み出した筋肉ブーム、そして筋肉広告という新ジャンルはさすがに看過できない物となってきたのは間違いない。
 この男一人で生み出した広告の数は尋常では無く、その上いずれも注目度が異様に高くなる。たった一人であらゆるジャンルの広告に立ち向かい、全てを筋肉で解決した偉業は2022年を代表出来る。
 普段変な広告だけを評価している人間がさすがにこれは評価しないとウソって書いてるんだから本物ですよ。2023年もなかやまきんに君の姿を見ることになるでしょう。

・ランクA~広告九星~

・スーパーウィザード

 2022年の大問題児。というか将来的にもここまでの問題児は中々出てこないと思います。Youtubeとかいう広告スラム街ならまだしも、Twitterでまで同じような違法広告ラッシュを続けているのはヤバいって。
 神獣伝説だってTwitterでは猫被って錦鯉の広告しかやらなかったんだし、ハンターズソウルも言うてエビルデビルだけの一発屋よ。その中でスーパーウィザードは違法広告を垂れ流した挙句、途中から健全ヅラした広告を再開してるんだから面の皮が厚すぎるでしょ。日本刀も通りそうにない。
 広告とはどうあるべきかを改めて問うた2022年の大嵐です。こういう広告が増えすぎると広告自体の信頼性が落ちるので、マジで対策して欲しいなと思います。かと言って、自分はグランドマフィアやEVONYを喜んで見ているんだからどうしようも無いのだが……

・最強でんでん

 2022年の広告で、最強でんでんほど広告のスタートダッシュに賭けた広告は無い。お笑い芸人を多数招聘し、秋葉原駅や山手線内は最強でんでんの広告が溢れ、Twitter、Youtube両方を広告でジャックする。これだけの大規模なラッシュを叩き込んだタイトルとして記憶に残るタイトルだ。
 ただ、2022年全体で振り返ってみると所詮は一過性のブームだったなと思わざるを得ない。そこは広告戦略の違いもあるので一概にブームで終わった事を批判は出来ないが、広告リリース後は広告自体が小さくまとまってしまった印象を受けたのももったいないと感じてしまう。
 この広告ラッシュが成功だったか否かは結局初期開発費と広告費を回収できたかにかかってくるのだが、どうなのだろうか。すごい広告の物量だったけども、それに見合った効果を得られたかは怪しい気がします。

・荒野行動

 荒野行動は広告界の長老として、コラボと茶番、王道のゲーム紹介の三本槍で丁寧な広告を続けた。
 もうYoutube広告を荒らしまわったのも昔の話ではあるが、そんな荒野行動が今ではコラボを多数取り、茶番広告やゲーム紹介も忘れずに行い続けるマメさは多くのタイトルが見習うべきところがあるでしょう。
 2023年も最前線とまではいかないけども、着実に「よく見かける広告」の立ち位置を維持すると思われる。頑張って欲しい。

・シャイニングニキ

 2022年後半に広告を見かけなくなったタイトルは数あるが、その代わりにド派手な新作オープンワールドゲームのPVで答えてくれるタイトルは中々ありませんよ。
 実際広告を出していた時期も女性向けに調整されたコラボ広告や、見やすく無難にまとまった不快感の薄い広告をリリースし続けたのも偉い。広告界の優等生として2023年も活躍してくれるでしょう。
 それにしても、インフィニティニキは着せ替えゲームじゃなくて謎の神殿を走り回る広告になってるのは本当に面白すぎる。次世代の原神はインフィニティニキかもしれない。

・おねがい社長

 2021年広告のトップランナーであったおねがい社長はここに着地。とはいえ他の三英傑である魔剣伝説は今回選外としているし、エバーテイルも昨年の勢いはすっかり衰えてしまったので、そう考えると随分良い立ち位置をキープしている物である。
 おねがい社長も金銭遊戯等のパクリゲーム、社長のパクリ広告が多数登場するくらいには話題性と人気を兼ね備えたタイトルではあるが、結局それらのパクリゲーム、パクリ広告勢は姿を消してしまった。やっぱりオリジナルである社長ってのはすげえんだなあと思います。

・パズル&サバイバル

 パズル&サバイバルは今日び珍しいパズルを間違えるだけで面白い広告。大体パズル広告の中でもパズサバは群を抜いてバカだし、導入部分もバカ。風呂の中でションベンをしたら周りの人がゾンビになっちゃったって、そんな話中々無いよ。
 これくらいはっちゃけた失敗広告の方が見ている方も笑って見られる感じはあります。今後も期待。

・魔塔転生:タフガイへの挑戦状

 魔塔転生は一番はっちゃけてた頃の魔剣伝説を真似てきた感じが好きなんですよね。最近の4399作品はすっかりパターンにハマった物を無難にやる広告になってしまったので、すごい芸能人を呼んで変な事をさせるという王道パターンをしっかりやってくれたのが好印象。
 単にワクワクさせるだけの画面のスライドショー広告もオリジナリティがあったけど、個人的には大体「真タフガイのうた」と「天使レスラーVS悪魔グラドル」で魔塔転生の評価はうなぎのぼりでした。

・モリノファンタジー

 魔剣伝説の正統後継者であるモリノファンタジーはYoutuberを主体とした広告のラインナップが魅力。
 とはいえ変化自体はspotlightに社名を変えたくらいで、結局やっている事は大体一緒なので変わり映えはしねえなあ、というのが正直な感想です。
 テンプレが決まってこなれた感を出すのは良いけども、やっぱり新しい広告スタイルを見せて欲しいなあと思います。茶番広告にしても社長やマフィアシティよりパターンが少ないのよ。

・超次元彼女

 もう、また騙された! で一つブームを作ったのはすごいよ。そりゃ最初にこの形式をやったのはEVONYなんだけども、騙されたから始まる広告を形にしたのは超次元彼女だと思います。
 実際にミニゲームを実装した上で広告にするという新スタイルを見せてくれたのも良かったが、さすがに2023年も新しいミニゲームを作ってまた騙される訳にもいかんでしょう。新しい広告を2023年でも流行らせたらさすがにホンモノだけども、はたしてどうでしょうね。
 今後の動向も要注目。

・ランクB~広告八王子~

・三国極戦

 細かな三国無双コラボが光る傑作広告。個人的にはここまで細かくやってくれるか、という驚きがありましたね。
 三国無双パロディだけでどこまでやっていけるのかは未知数だけども、むしろ手札としてはまだ三国無双パロディしか切っていないので将来性は無限大ですよ。
 2022年11月初登場なので、2023年1月からの活躍も期待出来る。

・クレイジー酋長

 ひたすらストーンエイジというマニアックなネトゲを語り続けて一ヶ月、独自の世界観を構築し伝えようとしたタイトルとしておそろしく印象に残る広告だった。
 広告効果としてはそんなに高くないかもしれないけども、これこそ記録より記憶に残る広告だったと思います。あとはこの広告で結果さえ出ていれば……と言った所。

・Echocalypse -緋紅の神約-

 放置少女の後継を思わせる広告スタイルで話題になったのがエコカリプス。
 とはいえ放置少女はいつまで経っても後進に道を譲らないのがすごいよね。少女廻戦、超次元彼女、少女ウォーズ……様々なタイトルが登場しているのに、放置少女はずっと広告してるじゃん。
 もはやHero Warsやビビッドアーミーとかと同じ生きる化石枠になりつつある放置少女。わざわざランキングに入れてもいないけども、この3タイトルが広告を止めた時は相当広告界隈も様変わりしているんじゃないですか。

・パニシング:グレイレイヴン

 きっちりゲーム画面を見せる王道のカッコいい広告と言えばパニグレです。
 この調子で行ける所まで頑張ってほしいですね。何だかんだ新宿クロスビジョンに出稿するくらいの余裕はあるようだし、今後も姿を見かけると思います。

・エバーテイル

 さすがにネタ切れか、はたまたポケモンから本当に怒られが発生したのか。これはこれで何故継続出来ているのか分からんタイプの広告だったので、この辺が引き際でしょう。個人的に2022年のエバーテイルでトップの広告は、6月にリリースされた「タップして骨を砕こう」だと思います。
 インスタグラムではチェーンソーマンをパクったホラー広告を発見したという報告もあったが、果たしてTwitterやYoutubeに帰ってくるのでしょうか。新作を気長に待つしかありません。

・暁の天刃録

 オンラインMMOの広告という意味では他に空の勇者たちもあったんだけど、暁の天刃録はテーマソングが良かったよね。
 eyougameは新作MMOをリリースする度にカッコいいテーマソングをつけてくるが、それが印象に残る一因になっていると思う。タイトル一つごとにテーマソングをつけて、それを軸に広告するってスタイルをやってるのは意外と珍しい気がするんだよな。

・ラストフォート:サバイバル

 基地作成広告は最初こそ目を見張るものがあったが、意外と基地作成広告のバリエーションは少ないように見える。というのも毎回成功パターンで終わってしまうので、失敗パターンよりも数を作りづらそうに見えるんですよね。
 失敗して「君は出来るかな?」形式は確かにクソ広告に見えるかもしれないが、9割9分の視聴者からすると広告というだけでクソ扱いだから安心して欲しい。広告内で成功したか失敗したかではなく、失敗しても良いから印象に残る広告をリリースした方が結果としては良いんじゃないかなと思います。

・インフィニティキングダム

 1月~2月の広告という意味ではかなり秀逸な内容が目立った。芸能人コラボもそうだし、既存の定型をパロディした広告も面白かったです。
 印象こそ薄かったけど、結果として見れば1月~2月で広告を切り上げたのは正解だったかもしれません。

・総評

 2022年広告を見る焼きそばエンディングテーマ『暁の夢』

 2022年は、広告不作の年と思われていた。
 特に違法広告が増えた後、目だったTwitter広告が少なくなってしまった8月。このままおねがい社長もエバーテイルもいなくなってゲーム広告は無くなるのではないか、なんか意識の高い投機商材みたいな広告ばかりになるのではないかという危惧もあった。
 しかし、2022年はグランドマフィアの復活、EVONYの隆盛に加えて、筋肉広告という光の広告からの使者、クレイジー酋長のような1ヶ月だけながら目立ったタイトルの登場、一時的に全国を支配した最強でんでん、独自路線を貫き続けたザ・アンツなど、様々なタイトルが躍動した年だったと言える。しかもYoutubeは飛ばせない広告を10連発するテストをしたという広告界隈にとって大きなニュースに加えて、広告のリンクを得てシェアも出来るようになったので、より多くの人が広告を楽しめるようになった。
 2021年はおねがい社長、魔剣伝説、エバーテイルによって広告の裾野が広がった年だとしたら、2022年は彼らの生み出した広告を乗り越えて新しい広告に進化していった一年だったと言えるだろう。2022年は全国的な不況や政治不安、戦争が勃発し、コロナ禍は今も顔を出す。現代に救いの一つも無いと思われるかもしれないが、そんな闇の中でも広告は立派に育ち、新しい映像を生みながら前進を続けていたのである。広告が栄える限り、人類もまた繁栄を続けるのだ。
 2023年はより優れた広告、より変な広告が登場するだろう。その時、我々はどうその広告を受け取るのか? そんな命題を、今年の広告四天王は突き付けている。その答えを、2023年の広告に探しに行こうではないか。

おわり

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