けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二…

けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二次利用については、出典を明記していただければご自由にしてくださって構いません。報告は必須ではないですが、してもらえると喜びます。アイコンはシンガーでイラストも描いているNeneNoneさん。

マガジン

  • Radiotalkお題で創作

    音声配信アプリRadiotalkで、週一回お題を決めて創作して朗読した作品のテキスト版です。随時更新。

  • 毎週ショートショートnote参加作品

    たらはかにさんの企画 #毎週ショートショートnote に参加した作品たちです

  • 企画等不参加ショートショート

    特に企画等に参加したわけではないものや、単発の企画に参加したものなどなど

最近の記事

  • 固定された記事

もくじ(題字・NeneNone)

短い小説をメインに発表しているけいりんのページですが、それらを種別にまとめてインデックスを作ることにしました。 どの種別もジャンルは多種多様で、基本的には互いに関連もないので、発表順、或いは気の向いたところからテキトーに読んでいただいても問題はありませんが。 ついでに作品ページにはない、それぞれのお題の記載もしておきます。 マメにはやらないと思うけど時々追加していきます。 毎週ショートショートnote参加作品(たらはかにさんの企画 #毎週ショートショートnote に参

    • はかない響き

       枯葉の散る音が聞こえる。  秋風が吹いたほんの一瞬、木漏れ日が目を刺し、思わず瞼を閉じた。その闇の中で、儚げな音は耳の奥をくすぐり、心を疼かせた。  目を開ける。舞い散る落ち葉。弱々しいけれども硬質で透明な光。午後の公園。 「どうしたの?」  彼女は言う。僕は答える。 「いや。ただ、木漏れ日が眩しくて」 「止まらなくてもいいじゃん」 「危ないでしょ、見えないまま進んだら」 「手、繋いでるでしょ。大丈夫だよ」 「そんな、子供や年寄りじゃないんだから」 「若者だって手を引いて

      • 【声劇台本】雪景

        登場人物  順也♂  琴美♀ ※年齢は「成人、同年代」という制限内で自由に解釈可。 上演時間  10分弱 【本編】 順也:琴美……? 琴美:あっちゃー。見つかったか。 順也:お前、なんでこんなところに。 琴美:ちょっとね、雪が、見たくなって。 順也:雪、って。 琴美:すごいよねー、改めて見ると。 琴美:真っ白でさ。すっごい綺麗。 琴美:何年ぶりだろ。 順也:嫌いだ、って言ってたじゃん。 順也:寒いのも、雪も。 琴美:うん。そうなんだよね。 琴美:そうなんだ

        • 牛フィレのパリ風メーテルドテルバター添え

          「テキトー言ってやがるんじゃねえだろうなあのジジイ」  三度目の正直とはならず、車で屋敷の門を出た俺は吐き捨てるように言った。  となりで助手のマイト君が首を傾げる。 「だったら端っからありもしないテキトーな料理名言えばいいと思うんですよね」  俺は舌打ちする。 「テキトーに言ったのかもしれんぞ。その、なんちゃらバターが」 「メーテルドテルバター」 「そう、それが実在したのだって、偶然かもしれないじゃないか」 「代表的な合わせバターですよ? フランス料理だって食べ慣れてるでし

        • 固定された記事

        もくじ(題字・NeneNone)

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        • Radiotalkお題で創作
          56本
        • 毎週ショートショートnote参加作品
          17本
        • 企画等不参加ショートショート
          5本

        記事

          晴れた日のきなこ

          「お昼、お餅焼くだけでいい?」 「いいよ。海苔、あったっけ」 「あるある。あとごまと、欲しかったら大根おろしも」 「いいね」 「それときなこ」 「あー」 「あれ? 嫌い?」 「うん、食べられない」 「そうだっけ。前は食べてなかった?」 「そうなんだよね。去年から、急に、受け付けなくなって」 「アレルギー?」 「って感じじゃないな。他の大豆製品平気だし。ただ、ちょっとだけ、鼻がむず痒いような気はするかも」 「鼻。やっぱアレルギーじゃないの?」 「ううん。でも食べる前なんだよね」

          晴れた日のきなこ

          モテる部活

          「部活決まった?」 「いや、まだ」 「全員入れって言われても困るよな。正直やりてえこともないし」 「だよな。中学も帰宅部だったし」 「あ、俺も俺も」 「あー。ぽいわ(笑)」 「わかる?(笑)」 「見学にはいった?」 「うん。まずサッカー部だろ」 「なんだよ、やる気ない割には気合の入ったとこ見に行くじゃん」 「それな(笑) いや、どうせ入るならさ、モテる部活がいいなと思って」 「わかる(笑)それ重要」 「な。でもさ、やっぱきつそうだし」 「だろうな。結構強いんでしょ、うちのサッ

          モテる部活

          昨夜公開した声劇台本『夏祭りの待ち合わせ』ですが、テキストをコピペしたら場面転換部分の改行が消えちゃってたのに気が付いて、修正しました。

          昨夜公開した声劇台本『夏祭りの待ち合わせ』ですが、テキストをコピペしたら場面転換部分の改行が消えちゃってたのに気が付いて、修正しました。

          【声劇台本】夏祭りの待ち合わせ

          登場人物  雄平(18)♂  礼子(16)♀  礼子(28)♀ ※礼子(16)と礼子(28)は同一キャストでOK 上演時間:50分程度 ※()内の状況説明は演者がイメージしやすいように付加したもので、必ずしも音を補う必要はありません。 ※※フリー台本です。上演はご自由に。上演後であってもご連絡いただけると踊って喜びます。 【本編】 雄平・礼子(タイトルコール):「夏祭りの待ち合わせ」 雄平:(ナレーション)夏祭りの夕方。鳥居の下に、その女の子は、浴衣姿で、一人、佇

          【声劇台本】夏祭りの待ち合わせ

          水ー族ー館

           水族館が嫌いだ。  別に嫌な思い出があるわけではない。というより水族館に行ったという記憶そのものがない。  正確には、幼い頃の記憶だろうか、朧げに、巨大な水槽の中をさまざまな魚が泳ぐ映像が脳裏に浮かぶことはあるのだが、いかにも曖昧で、テレビかなにかで見た記憶だと言われればそうかもしれないと頷くしかない程度のものだ。  そんな記憶でさえ、ざわざわと肌が泡立つような生理的嫌悪を俺の中に引き起こす。まして映像や写真などを見てしまおうものなら、思わず声が漏れるほどの恐怖に見舞われ、

          水ー族ー館

          産みの苦しみ

           チェーンのスーパーマーケットやファストフード店に混じって個人経営のお好み焼き屋やラーメン屋、雑貨屋などが立ち並ぶ郊外の商店街を抜けた先、小さな公園の脇にいささか唐突に、そのマンションは立っていた。タワーマンションというほどの高さがあるわけではないが、他に目立つ建物のないこの場所では十分塔のようである。私はエントランスに入り、インターホンを操作した。  程なく、低い声が聞こえる。 「はい」 「あ、佐栁先生。近藤です」 「……どうぞ」  いうとほぼ同時に自動ドアが開き、私はマン

          産みの苦しみ

          あの日渡せなかった言葉

           シャワーから出て部屋着を着ると、ちょうどスマホが通知音をならした。見るとあゆかからメッセージが届いている。 『家、帰ったよー』  俺は早速返信した。 『おかえり』 『なにそれ』 『だって帰ってきたんでしょ』 『ここにいない人が言うのおかしいでしょ』  最近お気に入りのアニメキャラが驚愕しているスタンプを挟み、さらに返信。 『いや、でも俺の家なんだし』 『それでも。今いないじゃん』 『そこ重要?』 『重要って言うか、いないのに変』 『じゃあなんて言えばいいの?』 『お疲れ様、

          あの日渡せなかった言葉

          TRICK? OR TREAT?

          「トリック・オア・トリート!」  あたしが開口一番そう言うと、ユウキは笑った。 「なんだよ、挨拶みてえに」 「なんだよノリ悪いなあ。雰囲気でしょ」 「いや、わかるけど」  なんて言いながらなにかをこちらに差し出す。あたしはほとんど反射的にそれを受け取った。ハロウィン風の包み紙にくるまった、飴玉か何か。 「なにこれ」  思わずクスッと笑う。 「なんだかんだ言って準備してるし」 「ねだられそうだなって思ったからね。まさか第一声で来るとは思わなかったけど」  行こ、とうながされ、あ

          TRICK? OR TREAT?

          やっと涼しくなった

           海沿いを走る列車の窓からぼんやりと外を眺める。高い空につられたように明るい硬質な光を放つ海は、夏の間のギラギラした輝きとはまるで違って見える。  もっとも、今年の夏は、海なんか少しも見ていないんだけどな。  俺はあいつのことを思い出す。 「ね、明日どっか行こうよ。海とか」  クーラーの効いた部屋のベッドで思いきり汗をかいた後の気だるい闇の中、あいつは言った。 「え? 海?」  気乗りしない気持ちが声に滲んだのだろうかあいつはちょっと残念そうに言う。 「海じゃなくてもいいよ

          やっと涼しくなった

          大好きなあなたへ 〜声のお便り〜

          あなたには、とびっきり素敵なお手紙を書いた人を知っていて。 そうでなくても、たくさんの人があなたに気持ちを届けているのも、間違いないだろうし。 だから、僕なんかがこうしてお手紙を綴るのは、ひょっとしたら、余計なことかもしれません。 でも、やっぱり一度は、書いておきたい、伝えておきたいって思ったんです。 あなたとは本当に長い付き合いになります。 いつ出会ったのか正確なことはわからないけど、ひょっとしたら、生まれる前から知っていたんじゃないか、そんなことを考えてしまうほど、あな

          大好きなあなたへ 〜声のお便り〜

          よく会うあなたへ 〜声のお便り〜

          こんにちは。 あなたとは、いつ頃知り合ったんだったか、正確なところは思い出せません。 でも、気がつくと、あなたはいつも、私が行く先々にいて、楽しそうにお話ししていました。 そんな人いくらだっているけど、あなたとは、なんだかギャグ(オヤジギャグ?)のセンスや、好きなコンテンツが近く、出会う場所から考えると人の、いえ、はっきり言うと女の人の好みも近いような気がして、他人とは思えないというか、親近感を感じるようになっていたんです。 けれども、長いこと接しているうちに、色々とわかっ

          よく会うあなたへ 〜声のお便り〜

          長い付き合いのあなたへ 〜声のお便り〜

          こんにちは。 あなたとは、もうずいぶん長い付き合いになりますね。 初めて会ったのは子供の頃で、僕はまだほんの小さな世界しか知りませんでした。そのくせ、それが世界の全てだなんて感じていたんです。 あなたは、そんな僕に、優しく、この世界は見かけよりももっと大きいんだということを教えてくれましたね。 どこまでいっても、その先には、わくわくするような、それでいてちょっぴり怖いような、「未知」が広がっているんだと、小さい頃に教えてもらうことができたのは、本当に幸運なことだったと、今にし

          長い付き合いのあなたへ 〜声のお便り〜