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憧れを潰す

今日の1曲:Shooting Star - PAELLAS


突然ですが、「憧れている人って誰ですか」って質問に答えるの、すごく難しいなと思っていて。


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昔、小学校5年くらいの時に日韓W杯が開催されて、クラスでは毎日サッカーの話でもちきりだったのを覚えています。サッカークラブに入っていた自分よりも、ほかの同級生のほうが盛り上がっていたかもしれません。あの一年はバブルが起きたかのうような日本サッカー界での盛り上がりがありましたが、自分はなぜかJリーグを飛び越えていつの間にか海外サッカーにハマっていました。それもプレーを見るだけじゃなくインタビューの載った雑誌とか、写真集をお小遣いで買って読んでました。

デル・ピエロや、リバウド、ボルヘッティ。テレビで見る試合の中で超絶プレーをしていた選手たちは確かに憧れでしたが、インタビューを読んでいくとその選手たちの解像度が上がっていったのを覚えています。

家族を大切にする父親としての姿。
努力という犠牲なしには優勝カップは手に入れられなかったと語るエース。
ゴールの度に祈りを捧げる敬虔なクリスチャン。

そんな話を読んでいると、いつの間にかぼくは選手たちに対して憧れとは違った見方をするようになりました。

性格や、自分の特徴の表現の仕方、監督との相性、戦術の理解、チームメイトへのリスペクト、成し遂げたい目標。活字で語られていた言葉をそれぞれを総合して眺めてみるスター選手は、なんだかいつもよりも身近で、どうしてそのプレーを選択したのか、なんだか前よりもわかった気がしました。気のせいかもしれませんが。

「憧れは理解から程遠い行為」とは漫画のボスキャラの言葉ですが、「憧れ」はその人の一部にしか焦点に当てていない、全体の理解の一歩に過ぎないのではないかなと思います。


自分の中に取り込んでいくと、それは憧れではなくなる。だから「憧れの存在はないけど、いろんな人から学びたいと思っている」というのが自分のスタンスなんですよね。

そんな感覚的なことをPAELLASの音楽、そしてインタビューから感じました。

やっと本線に戻ってきた。笑


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Spotifyから。イントロで撃ち抜かれました。なんてDaft Punk感。

最初は同じアルバムの“fade”にハマったわけなんですが、全然知らなくて調べてみたらnever young beachギターの阿南くんのもう一個のバンドだったんですね。こういうのもやるんだ。

https://open.spotify.com/track/5TzjoTFdq4jsp9AhTG0Du6?si=NcnSubaV

東京出身の5人組。

クールでメロウ。

ヴィジュアルも含め、繊細で豊かなライフスタイルを感じさせます。
自分たちが好きなもの、リスペクトを何層も何層も重ねて、自分たちに取り込んで音が生まれているような。

あと、これすごく言いたかったことなんですけど、日本では「エモい」っていう言葉を、感情が爆発したときとか沸点に達した時によく使われますけど、僕は抑制されたミニマムなものの中の、マグマがフツフツとしている中での激しさというか、エモさを出していきたいと思ってて。
ギターソロがあって、サビ、大サビがあって、1曲の中で5回くらい展開がある曲よりも、ずっと5分間同じ静けさの中で演奏が繰り返される曲のエモさみたいなものの方が僕は良いと思ってて。だから日本で一番音数が少なくてかっこいいバンドになりたいですね。

―【interview】PAELLAS(パエリアズ)が語る、“抑制されたミニマムなものの中のエモさ”とは?

エモさって、本来突然飛び込んできた作者のバックグラウンドとか、ポリシーへの強い共感とか、その人の表現の解像度が高い現象に対して、表す言葉が見つからないような情動的な感情のことを指してると思ってるんですよね。

だから、様々なアーティストを知って、憧れを潰して、理解して自分に取り込む。そんな音楽を彼らは作っているんじゃないかと。


そんなのどのアーティストにも言えること?

でも本当思うんですけど、最近みんなエモいエモい、言い過ぎじゃない?
ただこの曲は、エモいと思う。

どんな続きの先に
どこまでを信じてる?
if it's a white lie
please as it is
いずれ星になるくらいなら

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