『天気の子』の感想をば

昨日、新海誠『天気の子』を観てきた。(ネタバレ含みますのでご承知ください。)
見る前の時点でRADWIMPSとの再コラボって時点で、いいなぁと思っていたし、そのRADの曲名が「愛にできることはまだあるかい」で、なんか世相に対して(行き過ぎた資本主義なんて言葉が出てくる中に)問いかけているようなすごく印象深いタイトルだなぁと思いつつ見に行った。

シンプルに面白い映画だった。
予報の時点で冷静に見ていれば分かることであるけれど、いわゆるセカイ系に類する話であるように思う。セカイ系とか言ってみたけれど、セカイ系を語るには知識がないので放置。

この公開が近づくにつれて、新海作品のCMをいくつも見ることがあってそれに従って思ったのは、新海誠って都心部のリアリティを描いた「描写のきれいさ」を評価されているように思っていたけれど、作者本人はたぶんそんなリアリティじゃなくてもっとSFのようなことを書きたいんじゃないかなぁと勝手に思っていた。

実際、描かれていたのは都区内を中心とする非常に精密に描かれているように見える世界と、そこから異世界へとつながるような状況。一定両立してるよなぁと思った。時事性もあるCMも中にあったし、そんな曲とダンスを踊るシーンもあった。

『君の名は。』が大ヒット作品だとは思うけれど、個人的には新海誠の最高作は『言の葉の庭』であった。言の葉の庭は極端に言うと、雨の日の新宿御苑が舞台の作品である。「雨」という天気要素もあって、『天気の子』はその系譜にも来るんじゃないなぁと思った。言の葉の庭はあらゆる場面よりも、最後のセリフやりとりのためにある作品。そのインパクトが今作にもあった。今作では一番最後のシーンじゃないけれど、主人公が大人5人に囲まれているシーンでのセリフがかなりインパクトがあった。若者VS大人の構図で「若者が素直に言った言葉」に感じたからよかったのかもしれない。

作品全体としては、特別斬新ということはなかったと思う。前作が入れ替わりもの+時間軸のズレと表現されていたり、入れ替わり+タイムリープって表されているのを見て、そんな枠の斬新さを感じたりしたけれど、今作は構造的斬新さは感じない。
逆にあらゆる作品で、これは『君の名は。』っぽいなぁとか『言の葉の庭』っぽいとか、これはジブリっぽいなぁとかいろんなシーンで思った。いろんなアニメ表現がめちゃくちゃ詰め込まれているように感じた。冷蔵庫脇に新海さんのツイッターアイコンあるのはずるい。

この記事でも乗っているけれど、意図通り賛否は分かれるような話であるような気がする。その意味ではきちんと意図通りに作れているのだろう。
新海誠と言えば『秒速5センチメートル』だった。かなりさみしいような印象を残す作品である。『君の名は。』に至るまでは、新海誠は割とさみしいような、ある種”バットエンド”に類するような作品を出している印象であった。
その意味で、今回の作品の終わりはバットエンド的にも見えるしハッピーエンドにも見える。少なくとも、沈んだ東京について主人公が悩んでいるシーンを入れることで、単純なハッピーエンドには受け取らなかった。主体的な、選び取ったものではあるのだけれど、確かに迷いのある、ハッピーエンドである。
その揺らぐ感じがかなり心地良かった。

最後のシーンのヒロインの動きは、作中にでてくる「晴れること」を願うポーズと一緒であるが、ある種祈りをささげるようにも見えた。実際はどうなのかわからないが、同じ行為の意味が変わるってなんかめちゃくちゃ成長とか変化を表すものな気がする。

黒いバックに白い文字のエンドロールの前に、映像の一部としてのエンドロールみたいなものがあった。監督名新海誠が出てくる際の絵は宇宙から見た地球の絵だったように思う。新海誠っていう文字面からくる印象と、今回の作品の印象がぴったり合う絵であった。

なんか、誰目線かわからないけれど、新海誠はさらに面白い作品作ってくれると思いました。

〇余禄
『君の名は。』でもそうだったけれど、前作の登場人物も出てきていたし、今回も出てくるだろうなぁとは思っていたけれど、エンドロールを見て「え、てっしーも出てた?」と思った。
声優つながりって意味では、花澤香菜・佐倉綾音をそれぞれの名前で使うのはさすがの所業。面会の名前を書いているシーンで声優を連想させられてしまった。

映画が始まる直前の宣伝でエヴァが来たのかなり、印象深かった。新海作品の心の準備をしている中でエヴァが流れて一瞬心を持っていかれた。エヴァも見ねばならない作品。

〇何かあるっぽけれど、解釈つけられていないこと
・雨を一旦保持する膜のような存在。
・主人公に拳銃を持たせた意味。

〇読ませていただいたほかの方の感想



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?