4年も経ったなら、もはや自分のせい
2009年になり、祖母の介護が終わって、落ち着いて仕事に取り組むことができるようになった。そのころは、リーマンショックが起こり、世界的な不況の波がやってきた時期で、私も、お付き合いのある編集部には「復帰しました」と連絡したものの「すぐには仕事がないだろう」と思っていた。
不況のときに需要が伸びる分野もある
金融や経済、保険などに関する記事を執筆してきた自分にとって「介護が忙しかったので、リーマンショックのことを、リアルタイムで見つめられずにいた」ことは、なんとかして穴埋めをしなければならない部分だった。どうせ、すぐには仕事がないだろうから、読めなかった新聞を読み返したり、復帰の道を探りながらも、できることをやっていこうと考えていた。
しかし、当時、投資経験が浅いか全くない人の間でも話題に上るようになったFX(外国為替証拠金取引)と、保険の見直しに関する記事の需要は、非常に高まっていた。
不況のために「今以上に長時間働いてお金を得る」ことが難しくなり、また「目いっぱい働いても収入が伸びていかない」となると、
・限られた時間でできる資産運用
・毎月支払っている固定費の削減
などに注目が集まるのは当然の動きだ。
それにしても「原稿執筆の需要が、ここまであるとは」と驚くほどで、12時間、13時間働いても、依頼がさばききれないような状況だった。
原稿が書ける喜びと将来への戸惑い
執筆の仕事から、少し離れていた自分にも、これほどの仕事があるのはありがたく、嬉しかった。
でも、どこかで「これが自分の書きたかったことか?」「これが自分のやりたかった仕事か?」という不安もわくようになった。
それまでのWEB原稿は、原稿料は紙媒体に比べて安く、個性や独創性を求められることが少なく、執筆者の署名を入れてもらえる機会も少なかった。しかし、同じような作業を淡々と繰り返していける、そのような仕事が私の性格や、漠然と思い描いていた将来像にはあっていた。
何よりも「原稿は自分がめだつためにかくのではなく、依頼してくれた人の満足のために書く」という認識が強く、自分の主張や個性を出すのは、自分のブログやHPでやればいいこと、という思いから抜け出せなかったのだ。
しかし、3級とはいえFP資格を持っていて、FXと保険の見直しの原稿を書くことができるというだけで、名前を覚えてもらえるようになり、署名を入れる原稿も頼まれるようになると、「仕事で個性を出すこと」への自分の中での違和感が育ってしまった。
ともかく原稿を書いては提出し、終わらない依頼の山に取り組む中で、
「リーマンショックのせいで、こうなったんだ」
という恨みの言葉を、毎日のように唱えていた。
ある日「もう4年も経ったのか」と気づいて
恨み言をつぶやき続けて、ふと気づくと2013年になっていた。
「4年の間には、自分でなんとかするチャンスがあったはずなのに、状況に流されて、何もしてこなかったのは自分だなぁ」
とようやく気がついた。FP資格を取った人ならだれでも、もちろん私も「ライフプランニング」について知っているはずだが、自分のライフプランやキャリアプランは何も立ててこなかったと。
自分がどういう仕事をしたいのか?
どういう仕事が向いているのか?
生活のためにしなければいけない仕事と、将来につながる仕事の違いを考えたことがあるか?
ようやく、考えるようになった。
その後も、忙しさに押しつぶされそうになったり、逆に取引先ともめて関係を断絶させそうになったり、いろんなことがあった。そのような時、自分を見失わずにいられたのは「どうしたいのか?」をきちんと考えた経験があったからだろう。
セミナーでも必ず、「今だけではなく、将来の自分の姿も考えて」とお伝えするようになったのは、このときの経験があるからだ。恨み言ばかりつぶやいていた日々はつらかったので、受講生の皆さんには、そのような思いをして欲しくないと思う。
セミナー情報
ライターになるには?-人脈0、実績0からプロになるまでの道のり-
大阪心斎橋 8月26日(月)18:30-21:30
大阪本町 9月7日(土)13:15-15:45
いただいたサポートは、ライター志望、フリーランス志望、地方在住で起業を考える皆さんに向けたセミナー運営費用などに使わせていただきます。