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地名や人名を伏せる理由を意識しよう

ライフワークである「怖い話研究」について、自分の頭を整理するためにも、細論をあえて書かせていただきます。

これまで集めた資料の中では、
「人名や地名が、怖い話を構成するよほど重要な要素でない限り、固有名詞はあえて伏字にする」
というルールが徹底されていることが多かったです。

これは「そこで生活を営んでいる人への配慮」という面も、かなり大きいと思います。
もし、「あなたが住んでいる家は、呪われているんですよ」「あなたの家系は……」と、まったく知らない人から突然指摘されたとしたら、どんな気持ちがするでしょうか?
いい気分がしないだけでなく、興味本位の人が見物にきたりする不安や害とも闘わなければなりません。

話は飛びますが、ミュージカルで「ミス・サイゴン」という名作があり、中に「ブイ・ドイ」という有名な曲があります。
音楽としては非常にすばらしいものだと思うのですが、いっぽうで自分の生まれた場所を「地獄」と表現されたり、自分の生を「ごみくず」と呼ばれてしまう立場に、もし自分がなったら、どういう気分になるだろう、と考えてしまいます。

先日の「花魁に変身!」の記事でも触れたのですが、怖い話研究の中でも遊女が登場する話とはたくさん接してきました。
しかし「遊女=気の毒だ」という短絡的に見られた場合、その遊女たちはどのような気持ちになるんだろう、と最近考えることがあります。

日本の産業を支えてきた働き手として、紡績工場などで長時間にわたる労働に携わった女工さんなどが「気の毒だ」という立場で描かれることがありますが、ひとくくりに「気の毒ですね」と見られる側の立場にたつと、どのような気持ちになるのだろうと。

現代でも、何かの事件が起こったとき、関係者の身元を暴こうとする動きが起こることがあります。
でも、素人の調査で明らかにされた身元が間違っていて、何の関係もない人が巻き込まれるケースもあります。

ここで、初めの話に戻るのですが、
「人名や地名をいたずらに明らかにすることで、その人や土地が偏った見方をされ、思わぬ被害を受けるような事態はあってはならない」
という点を、怖い話研究の場でも、仕事でも、心にとめていきたいと思います。

少しまとまりがない話で、失礼しました。。。

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