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私がいつも安全靴を履いている理由

単に「買ってみたら、意外に履き心地が良かったから」がその理由だ。

しかし、「なぜ『買ってみた』んだ?」と言われることも多いので、安全靴と私の出会いについて書いてみようと思う。


ある日、知り合いの造園業者の人が、数多くの道具を並べていた。私はかねてからの疑問をぶつけてみた。

「造園業の親方につくときには、このような道具は使えるようになっていないといけないの? それとも、入ってから習うの?」

職人Aさん「うーん、僕は入ってからおぼえていった感じやけど」

職人Bさん「親が造園業で、若いうちから手伝いをしてるうちにおぼえるとかもあるわな」

職人Aさん「昔はそれでいけたんやけど……」

「え? ダメなんですか?」

職人Aさん「仕事でチェーンソーとか使ったり、僕らは場合によっては高所作業、高いところで高所作業車っていう、籠みたいなんついてる車わかるかな? あれで作業するときがあるんやけど、そういう場合は教習を受けんとあかんねん」

「教習ってあるんですか?」

職人Aさん「そうやねん。ここの地域やったら、同じ市内にあるで。そういう教習受けられるところが」

「そうなんですか? チェーンソーとかもそこへ行くの?」

職人Aさん「うん。刈払機っていうのも、教えてもらえるで」

こういう会話があり、資格マニアの血が騒ぎ始めた。


職人Aさんが教えてくれたのは「労働安全衛生法による特別教育」というものらしい。私が初めに探し出せたのは次の3つの教習所だった。



コベルコ教習所 https://www.kobelco-kyoshu.com/


日程や希望の教習内容をもとに、私は「コマツ教習所 奈良センタ」で教習を受けることに決めた。受講の注意事項の中に「長袖の作業服」「安全靴(スニーカーなどでもよい)」を着用することとあった。

教習に備えて、アマゾンで購入したファースト作業服とファースト安全靴が下記のもの。

赤色が入っているほうが女性らしいと思って選んだのだが、思ったより派手な印象に、初めは驚いた。しかし、教習さえ乗り切ったらいいだけの話。まずは履いてみよう。

紐を少し緩めて、足を入れると

「おぉっ! 意外にフィット感が良い感じだ」

「思ったより軽くて、歩きやすく安定感がある」

というのが第一印象だ。

ただし、地面の細かい感覚(砂利や凹凸などの感じ)はあまり感じられないと気づいた。山歩きなど、、地面から伝わってくる感覚が大事な場面には適さないだろう。


無事に奈良県での教習が終わり、免許を取得した。


2日間の教習でずっとはいていた安全靴は、履き心地が良かったので、奈良県から大阪の自宅までそのまま履いて帰った。


この教習の数か月前から、私は大阪北港ディンギークラブに入会し、ヨットに乗るようになっていた。

自分がヨットに乗るのも楽しいが、レースの日に運営要員としてボートに乗るのもまた楽しかった。ボートではアンカー(錨)をつけたマークを海面に投下したり、逆に引き上げたりと色々な作業がある。

「安全靴を履いていれば、何かがぶつかってもいたくない」

と思いつき、マリーナに行く時も安全靴を履くようになった。

ディンギークラブの先輩方に「これ安全靴なんです」と言うと

「え? こんなおしゃれなのが、安全靴なの?」

と驚かれることが多かった。それほど、普通の靴と変わらない外観なのだ。中には「つま先を蹴ってみてもいい?」という先輩もいて、実際に蹴ってもらったこともある。


私は、足にしっかりなじんで、一般的なスニーカーのようにも見える安全靴を、日常的に愛用するようになった。

ファースト安全靴は2年ほどで靴底のゴムが剥がれてしまったが、次も迷わず安全靴を確保した。


私にとっては「普段に履く靴」ではあるけれど、飛行機に乗ろうと保安検査を受けたときには、「ピコーンピコーンピコーン」と鳴られてしまったことがある。安全靴なのに危険という判定を受けたわけだ。

このことは、飛行機に乗って到着した先での講演の仕事で、まっさきにネタとして話した。

この出来事より後、保安検査場では自分から「安全靴を履いている」と申告して、仮の履物を借りて検査用のゲートを通るようにしている。


また、ブラウスにスカートという清楚な服を選んだ日に限って、パンプスが壊れてしまい、足元だけ安全靴で出かけた経験もある。友人は私の姿を見て

「色的にはおかしくないんやけど、こっちは安全靴ってことを知ってるからさぁ。。。」

と笑っていた。


安全靴エピソードをFacebookやブログなどで語るにつれて「なんか難しい名前で、いつも安全靴を履いているライター」として、人の記憶に残るようになった。

フリーランスは「人の記憶に残るような人間になること」も大きな仕事だけれど、安全靴のおかげでそのことが果たせるようになったのだ。


ところで、コマツ教習所奈良センタで、伐木等の業務の教習を受けたことをきっかけに、私は同種の資格取得にはまっていった。すでに安全靴も作業服も持っているので、教習前に大げさな準備は必要ない。「資格を取りたい」「教習を受けたい」と思い立ったら、すぐに行動に移すことができるようになったのだ。

「高いお金を出して作業服2着と安全靴を買ったのだから、着つぶす・履きつぶすまで活用したい」

「教習を受けると申し出ておけばクライアントも配慮してくれるので、仕事からも解放されて、資格も取れて一石二鳥」

という思いもあって、遠くで行われる教習にも興味がわくようになった。

「酸素欠乏・硫化水素危険作業」「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者」のように座学を中心とした教習で取得できる資格だけでなく、試験に合格して取得するタイプの「エックス線作業主任者」、学科試験と実技講習を受けなければならない「発破技士」などを取得することになった。

「発破技士」資格があることを名刺にはもちろん書いているのだが、とてもインパクトがあるようで「ヨットに乗っている発破技士の先生」として、おぼえてもらえるようにもなってきた。


資格取得のためには、兵庫県加古川市の試験会場に出向いたり、発破技士の実技教習を東京の八王子で受講したりしなければならない。そのとき、足元に履きなれた感触があるのは、とても安心できることだ。

初めて安全靴を買ったのは必要に迫られてのことだったけれど、安全靴や作業服が手元にあるからこそ、次々と資格を取得する行動を起こせたという面は確実にある。今、履いている安全靴もそろそろ寿命が来るかもしれないが、また私は安全靴を買って、資格を取って、ボートに乗る時もきっと安全靴で乗り込むのだろう。

保有資格
・一級小型船舶操縦士
・応用情報技術者
・初級システムアドミニストレータ
・情報セキュリティマネジメント
・ITパスポート
・医療情報技師
・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種(ラインケアコース)
・普通救命講習修了
・労働安全衛生法による特別教育
(伐木等の業務、酸素欠乏・硫化水素危険作業)
・エックス線作業主任者
・発破技士
・特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
・.comMaster★
・工事担任者(デジタル第3種)
・危険物取扱者(乙種 全類)
・消防設備士(乙種 7類)
・第4級アマチュア無線技士
・日商簿記検定3級
・3級ファイナンシャルプランニング技能士
・不動産実務検定1級合格者
・一ツ星タマリエ
・遺品整理士


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