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原稿料20万円を踏み倒されかけてライターなんかやめようと思ったので担当者の上司宛に挨拶状まで送った日から広報・マーケティングコンサルタントになるまでのこと

10年ほど前、ライターとしての活動はやめて、ほかの働き方をしようと考えたことがありました。その経験が、後にマーケティング・広報コンサルタントとしての私には大いに役立つのですが、10年前の時点ではそんな将来を迎えることは分かりません。当時は「このままだったら、ご飯を食べられない」というくらいの危機的状況ではありました。

簡単な経緯1

当時、私はいくつかの事務所に、ライターとして登録をしていました。ライターは専属契約を結んでいる状況でなければ、複数の事務所に登録するのが普通でした。

今回の経緯に関係があるA社から
「ある士業事務所の販促物や書籍などの執筆の案件があり、継続して依頼したい」
というご相談がありました。A社は孫請けもしくは曽孫請けあたりの立ち位置で「こういう制作物を作るために、必要な人材を集めてほしい」という決定事項が、上流の会社からA社に伝えられるという状況だったようです。

当初、私はいただいたデータをもとに、依頼された形式で原稿を作成して納品する作業を、淡々と続けていました。

2年ほど同じ仕事を続けた後、制作する販促物の種類がだんだん増えて、私が依頼される内容のバリエーションも増えてきました。その中には
「このような販促物は、士業事務所という業務内容を考えた場合、有効だろうか?」
「イメージを損ねるのでは?」
と思えるようなものも増えてきました。とはいえ、こちらもご飯を食べなければいけないので、引き受けた仕事は続けていました。

やがて、あまりの種類の多さに、士業事務所の最終チェックが滞りがちになり、提出した原稿の確認を終えるまで3か月から半年かかることも出てきました。また、制作物が形にならずに頓挫するケースもあったようです。当然、原稿料も滞りがちになります。

そしてタイトルの通り、ある月に納品した原稿の対価20万円の支払いが半年たってもなされず、担当者に話しても「確認します」ばかりで、確認の結果も伝えてもらえない事態となりました。
当時の私は引っ越しをしたばかりでもあり、日用品を買い揃える必要があったので、かなり生活に困りました。

一方ではそのような振る舞いをしておきながら、他方ではどんどん仕事を依頼してくるA社のやり方に不信感を抱きました。私が
「士業事務所の件でかなりの仕事を抱えており、新規案件をお引き受けする余裕がないんです」
と伝えると
「今、朝5時に起きているのなら、朝4時に起きて書けばもう少しできるでしょう」
と返事される状況でした。

A社は、駆け出しのライターだった私に、様々な仕事を依頼してくださって、本当にお世話になった会社でもありました。でも、仕事を頑張っても頑張っても、支払いがなければ食べていけません。

私は、A社との初めての仕事でお世話になった編集者aさん(当時の担当者の上司にあたる人)に事情を説明するメールを書き
「こういう事情でライターをやめるつもりです。編集者aさんにはお世話になり感謝しておりますが、申し訳ありません」
と伝えました。
すると、編集者aさんから電話連絡があり、初めて編集者aさんをはじめとする上層部の方が事情を把握した旨と、なぜそのような事態になったのかの説明をいただきました。

そこには、
・編集部の内部事情・経営改革の影響
・士業事務所の案件がはらんでいた事情
の2つが大きく絡み合っていたことが分かりました。編集部の内部事情については、私はここでは書きません。

ただ、士業事務所の案件がはらんでいた事情については、
「士業事務所の類似業種や同業の他社と、制作会社との間でも起こりうることなんだろうな」
と考えられる内容であり、私が感じた違和感は正しかったのだなと思えました。

そのずっと後、弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所の経営破綻劇がありました。甘い汁を吸うことを画策した広告代理店の存在が劇中で大きな役割を果たしていたことが判明しています。この事件の報道に触れた時、私の中では士業事務所・A社・私の間に起こったことを鮮明に思い出しました。

先に書いた通り、A社は孫請けもしくは曽孫請けのような立場だったこともあり、A社だけに責任があるとは考えていません。
ただ、仮に、必要のない販促物の制作まで士業事務所にごり押しで持ち掛けるようなやり方が、どこかで採られていたのだとしたら、私はそのような仕事をしたくはないなと改めて思いました。

簡単な経緯2

話をシンプルにするために、ここまではA社と私の関係に焦点を当てて流れを書きました。ただ、私はライターとして複数の事務所に登録しており、B社からも執筆の仕事をいただいている状況でした。

B社から、ある個人経営に近い会社・乙社のウェブサイトを見直し、リニューアルする案件をいただきました。乙社の経営者様もまた、先生と呼ばれる立場の方でした。

WEBサイトのページ数がかなり多かったので、数か月かけての仕事でしたが、既存のページの見直しが完了しました。しかし、乙社の経営者様も本業が忙しいため、書き直した内容のチェックに半年かかるという状況でした。納品した内容のチェックすら終わっていないのに、乙社のための執筆を続けて依頼されるようになりました。

B社から私への支払いに問題はなかったのですが、
「こんなに大量に納品しても、活用できない状況の乙社の利益になるのかな?」
と不安に感じるようになり、B社に本当に大丈夫なのかをご相談したのですが「上流の会社が依頼してきているから」という答えが続く状態でした。

やがて、乙社からの依頼がストップしたのか、この案件は終了となりました。支払いなどに問題はありませんでしたが、
「本当に乙社の利益になる仕事なのか?」
という思いが残った仕事でした。

ライターからコンサルタント・講師としての活動へ

私はA社の上層部の方と話し合いを持った時点で、ライターをやめる気持ちがいったん固まりかけていました。どこかに就職したり、職業訓練を受けたりする覚悟もしていました。

そこで、自分が持っている知識をノートに書きだし、これからどのような仕事ができるかを考えました。
・広報やマーケティングの知識
・メールマガジンやニュースレターによる集客テクニック
・SEO
・事業計画書や企画書の書き方、サポートの仕方
・電子書籍の制作・企画など

また、ライターとして、それまで関わってきた様々な業界や、取材などで対応した様々な立場の方のことも思い出してみました。

・士業
・FP
・建築業、リフォーム業
・建設業
・製造業
・経営者、広報担当者

書き出した内容をもとに「どのような人に、どのような知識やスキルを提供できるか」を考えて、その内容を自分自身のウェブサイトやスキルシェアサイトなどで公開し、ライター・コピーライター以外の仕事にも取り組むようになりました。

今後、経営者や広報担当者の方のご相談に乗るとしたら、自分自身でも事業計画書や企画書などを書いて、人からどう評価されるかを身をもって体験したほうが良いと思うようになり、セミナーの企画書を書いて公開することも始めました。

そして、私自身も海事代理士試験に合格しました。

士業・FPの方のコンサルティングについて思うこと

私は現在でも、士業やFPの方から広報・マーケティングのご相談を受け付けています。自分自身の経験を踏まえて「先生のためにならないと分かっている施策は提案しない」ことは心掛けています。
また、忙しい先生方の本業を妨げるようなやり方ではなく、先生のペースで広報やマーケティングに取り組んでいただくことも重要と考えております。そのために、広報・マーケティング顧問として契約し、幅広いご相談を受け付けるようにもしています。

先生からたくさんのご依頼をいただくほうが、私としては嬉しいのですが、一時的な利益のために、必要以上にたくさんのご提案をしても、私自身にもずっと後悔が残ることを経験しています。

これからも「先生のためになること」を意識して、提案していくと決めています。

河野陽炎へのご相談

私は現在、8種類の仕事を手掛けるフリーランスです。
1.コラム執筆を手掛けるライター
2.企業や商品の広告・宣伝のための文章を書くコピーライター
3.プレスリリース制作やニュースレター配信、SNS運用など広報業務全般をお手伝いするフリーランス広報
4.マーケティング、広報、採用活動などのご相談に対応するコンサルタント
5. 企業研修講師
6.ビジネスセミナー企画・運営・登壇
7.資格試験やビジネススキルの個人教授
8.子ども、受験生のための家庭学習相談

生徒が集まるダンス教室・バレエ教室づくり
「売らない本」で構築するお客様との信頼関係
士業・FPの方のニュースレター・メールマガジン制作

ご相談は公式サイトから https://www.kagerou-prod.com/
サービス内容のページも設けました


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