パソコン使用、あり?なし?ディスレクシアっ子の高校入試5
「入試に、PCを使う?」
そんなことできるの?って思いますよね。
ほんとに、出来るの???
M先生は、「中学校で話し合って合理的と認められた配慮は、ほぼそのまま高校受験で認められる(べき)」と教えてくれた。
だけど、ほんとにやってくれるのかしら・・・
この「合理的配慮」を担保する法律は、「障害者差別禁止法」というものだそうです。調べてみると
「当事者で話し合い、合理的と認められる内容の配慮は、特別の困難がないかぎり実施する義務が、学校や教育委員会にはある」ということになるらしい。
特別な困難かあ・・・・・
PCを用意してもらうことは、たいした手間じゃないだろうけど、他の受験者に配慮して別室を用意してもらって、試験官もひとりつけてもらうのは、まあまあの手間と言えば手間、だけど、人ひとりの人生を活かすか殺すか、ということに比べたら、「特別の困難」と言えるほどではないのかも。
まずは、事前にしっかり話し合いだ。
そう思って中二の年から準備をしようと思うんだけど、まずは本人の身体の回復がとてもゆっくりです。深く深く傷ついて、壊死しかかった心の傷が、ゆっくりくっついていく時期に、高校どうする?なんて話はムリ。
出来ることからやっておこう
と思い、まずは医療機関の診断書が必要とのことで、県内でほぼ唯一ディスレクシアの子を診ることが出来るという、金沢医科大学病院に問い合わせ。
なんと「4か月待ち」と!!!!!!!
ちなみに、あとでわかったのですが、医療機関が出す診断書が必須、というのは、誰が言い出したことなのか知りませんが、法律を読む限り、それが必須とはなっていません。
誰かが言い出して、それが全国的にひろまって、親の負担を増やしていると思います。
私たちはラッキーなことに、受験生だからと順番を繰り上げてもらい、中3の春に受診できましたが、ていねいに診察してもらっているうちに、診断書をもらうころには夏になってました。ギリギリで読み書き障害がわかった場合には間に合わないと思います。
これから対応される方には、医療機関の診断書にこだわる県教委や学校に、ひとこと「必須ではないはず」と伝えてみてもいいかも。
さて本人ですが、幸い、中三になり、修学旅行のグループリーダーの役割を無事に果たしたりしたタイミングで、「高校生になりたい」と、未来に目を向けるようになってくれました。
高校生になって何をしたいかというと、「学校帰りに友達とカラオケいったりしたい」と 笑笑笑
なんでもいいや、楽しく生きてみたいと思ってくれるだけで、もうそれだけで十分です。
で、「商業高校にしてみようかな」と言い出しました。
毎年人気なので、点数が足りるか心配はしましたが、公立高校を受験することを前提の準備を開始。
市教委からも、学校の担当の先生からも、「配慮の申請は願書を出すタイミングで」と言われていました。
願書は、2月に出すのです。
試験のわずか1か月前に、「県内初のPC受験をお願いします!!」と申請して、すんなり通る気がしません。
いくらなんでも一か月では建設的な話し合いはムリじゃ??私が担当者だったら困り果てるはず。
なんか別ルートないかあ~?
いっちょ、直接、県教委に聞いてみていいですか?と、学校や市教委に聞いてみるのですが、「県教委へは私たちから情報を上げますので」と。
中学校・市教委 →県教委 というルートは、崩してはいけない雰囲気。
「正規のルート以外からの交渉は、心証を悪くするので、やめたほうがいい」という専門家のアドバイスもあり、たしかにそういうものだろうとも思ったのと、
「中学校でここまでちゃんと書類をつくっているのなら、たぶん大丈夫でしょう。お母さん、心配でしょうが、ここは任せましょう」という意見もあり、なにもせずじっと待つほうがいいのか、と、いったんは思った私。
そもそも、だれが決定するのか?
申請を通すか却下か、決めるのは誰なんだろう?
「中学校の学校長と、志望校の校長との話し合いで決まります」
じゃあ、せめて、志望校の雰囲気をあたってみようかな。
高校に電話して、面談をお願いする。そんなに難しいことじゃないと思うでしょ?これがそうでもなかった。
ひとつハードルになったのは、中学の担任の先生と中学校の「雰囲気」
実はすこし、もめたことがありました。
夏休み期間に県内高校見学の日があり、志望校ごとに締め切りがあるので、用紙の提出はぜったいに守りましょう、と学校内では先生から強めのアナウンスがあったようなのです。
うちの子は、ほぼ毎日午後からしか行けてなかったので、雰囲気をあまり把握しておらず、もともと提出物を期限までに出すことがとても苦手な特性もあり、うっかり締め切りを過ぎてしまった。
「どうしよう・・・」と迷っていたら、友達が「間に合うかもしれないから出してみたら」とすすめてくれて、ドキドキしながら提出してみたら担任の先生に「ダメだ」と却下されたとのこと。
大事な志望校の、大事な見学日の、大事な締め切りを、軽く見てはいけない。ここが厳しい社会への最初の一歩だ!ということらしいです。
親にしてみたら、マジで??????????です。
せっかく高校に行く気になったのに・・・・
ここで見学できるか出来ないか、は、うちにとっては、そうとう大きなことなんです!
やっとこさ、「高校いきたい」って言ったんです。
モチベーションをかき集めて、前を向けるようになったんです。
気持ちをしぼませないで!ここまでどれほど大変だったか。
一日過ぎただけで、ほんとに、ダメ?
不登校の家庭がどれほど苦しい思いをしてるか、先生ぜんぜん知らないんだな・・
でもしかたない。中学校が通してくれないなら、高校に直接聞いてみよう。
で、高校に電話したら、
「えーーーーっ???笑笑笑
締め切り、まだまだですよ???
〇〇中学校ですよね?まだ書類とどいてないし~~~
ダメって言われた???なんででしょうね まだまだ先なのにね 笑笑
ぜんぜん大丈夫だから、お母さん、中学校に申し込みしておいてください。
うちが第一志望?うれしいわあ~~~~
それなら、ぜひ見学来てほしいわあ~~~」
と、あかる~~~~~~いノリで言われました。
おおーーー
助かる
この感じ、ほんと助かる。
で・・・・・
私がこれを、中学に電話すればよかったんですが、息子に自分で伝えさせることも教育か、と思い、自分で先生に伝えるように、としたんです。
そしたら・・・・
「先生と、ヘンな感じになってしまった」と、しょんぼりして帰ってきました。
「ディスレクシアだからって許されると思うなよ、というようなことを言われた」と。
息子はめったなことで他人に関してネガティブなことを言わない子で、いままでの人生でほんの数回しかなかったくらいです。こうやって話してくるときは、かなりショックだったときのはず。
あわてて、学校に電話したら、先生はお怒りでした。勝手に高校に電話したことがダメだったようです。
「見学の申し込みを締め切りまでに出す」という大切な教育の機会を、ちゃんと生かさずに、勝手に高校に連絡して、なんたることか、みたいな話。
「他の子の手前もありますから!」
えっと、締め切りに遅れた他の子たちは、どうしてるんですか?
「見学には行けません」
えーーーーーっ
ワンチャン、ないんや・・・・・
この一件で、「この子の将来をひらくには、中学校にだけお願いしておくのでは難しい」と思いました。
この件、「ディスレクシアだからって許されると思うな」的な発言は見過ごせないと思い。担任の先生だけでなく、特別支援担当の先生とも、教頭先生とも、お話をさせてもらったのですが、みなさん、「締め切りは、守らせましょう、というのが、学校のスタンスです」と岩盤な感じでした。
常日頃、学校からは、あらゆる機会で、「その子その子に合わせた、多様性のある学校、教育を」と、耳タコで聞かされるけれど、現実は、一人一人の背景にまで思いを至らせてもらうことは至難の業。
先生たち超絶お忙しいですからね。
規則を守る子に育てたい気持ちはよくわかる。ありがたいことです。ただ、
小学校での、教育虐待ともいえる待遇で、心身に傷を負い、それをひきずって人生を台無しにする直前で、ようやく、いろんな人(学校関係者をたくさん含む)の助けで、ここまで回復してきた息子。
ちょっと気を抜くと、すぐまた、「ふつうにできない」ことを理由に、扉が閉まろうとする。
こんなこともあったので、担任の先生には頼まずに、正規のルートではないことにドキドキしながら高校に連絡し、見学の日に親の面談をお願いしました。
非常に明るい高校で・・・
(すれ違う先生や生徒の雰囲気からわかる。うちも4人めなので。)
「うちにはいろんな子が来ますから。
入学さえしてくれたら、出来る配慮は、させてもらいますよ。
ただ、入試の配慮に関しては、公立高校なので、県教委の判断に従います」
とのことでした。
そうか。「校長間で決める」という建前だけど、やっぱり県教委で決まるのかな???
よぉ、わからん・・・
わからんことばっかりで、相談する先もなくて。
県教委に直接聞いてみたいけど「正規のルートじゃない」からダメなんでしょ?
正規のルートの入り口は、中学校の担任だけど、「中学校の配慮の内容がそのまま入試で通るなんて、誰がそんなこといったんですか?」と、春からこんな感じの先生なので、頼ることは出来ない。
支援担当の先生は、できること全てを丁寧にやってくださっているけど、それ以上のことをお願いできる雰囲気でもない。
校長先生にお手紙を書いてみましたがお返事はなく、行事の時にご挨拶してみたけどなんだか目を合わせてもらえない感じで、お手紙の内容ダメだったのかな?失礼だったのかも?と、そのルートも終了。
どうすればいい?
知人を頼って、教育センターの先生を紹介してもらい、電話してみたら、
「やはり2月になってから、ということになります」
「今の段階で出来ることは、ないです」と。
やっぱりそうなの?
そんなの、おかしくない?お互いに準備できないやんね。
そしてその不安はやはり現実に。(続く)
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