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おじさんの心には誰にも奪えないTOKYO JAZZ plusがある★2020東京ジャズレビュー

東京の緊急事態宣言も解除されましたが、まだまだ気は抜けないですよね。
しばらくは「新しい生活様式」が続くことになると思いますが、コンサートやライブ活動も、以前のように普通に開催されるのはまだまだ先でしょう。

先日5月23日、24日は「TOKYO JAZZ FESTIVAL 2020」だったのですが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となり、オンラインで開催されました。

「TOKYO JAZZ +plus LIVE STREAM」としてYouTubeチャンネルで配信され、2日間タップリと堪能できました。今回はこの中から気になったもの、印象に残ったものをいくつかレビューしたいと思います。


Makoto Ozone featuring No Name Horses
♪No Strings Attached (Stay Home Version)


小曽根真のビッグバンド「No Name Horses」の演奏から始まりました。

もちろんリモート演奏なのですが、このクオリティがスゴい!

Youtubeにちょうどこのバンドの動画が上がってましたので貼りますね。


リモートなのにこんなにスウィング!


リモート感ゼロ!


というチャットでの感想が凄い勢いで流れてましたが、まさにそのとおり。

画面見なければリモート演奏だなんてわかりません。普通にいい演奏です。

もう司会のハリー杉山とセレイナ・アンも大興奮。

まあ皆超一流のプロばっかですし、上手いのは当たり前。

一人ひとり別々に録音してるので、ホールでのライブ録音より細かいところも聞こえるしそりゃあ一つの良い作品としてまとまりのあるものができるでしょう。

多分事前に打ち合わせ、リハーサルは重ねてると思います。

ただ各々が違う場所でしょうし、使う機材もそれぞれでしょうし、そのあたりのセッティングなど、これだけの大所帯になると合わせるの無茶苦茶大変そうです。

そのへんは小曽根真から言及はなかったですが、ハリー杉山からの「どうしてリモートでこんな素晴らしい演奏ができるんですか?」との問いに、


「みんなのおかげ」

「They Loved Swing!」

「2 Important Things are Swing and Blues.」

と途中からなぜか英語で、興奮気味で話してました。

その他に


一番大切なことは「リスニング」 

イマジネーション使って イマジネーションに向かって100%吹いていく
どれだけ音楽を聴いてきたかというバックグラウンドがないとできない

カンに頼ってやった音楽

その瞬間瞬間命かけて精一杯楽しむのが大事

ということでしたが、やはり「カン」でやってる部分もあるんですね。

他が見えない聞こえない中では当たり前だと思いますが、そこは百戦錬磨のプロだけに、全員で演奏してるイメージで演奏するというのは難なくできそう・・・でもそうでもないのかな。素人が思う以上に難しいのかもしれません。

いずれにしても大変良い演奏でした。1曲じゃ物足らないくらい。通常のコンサートならもう何曲かやるでしょうし、小曽根さんも言ってたロックも聴きたかった。

ちなみにこのバンドのCD「Back at the Club in Tribute」は私が参加してるビッグバンドのレパートリーがかなりダブっており、一時良く聴いてました。

Back at the Club in Tribute

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Miho Hazama m_unit surprising guest Lionel Loueke 
♪Maiden Voyage Medley ( Maiden Voyage, The Eye Of The Hurricane, Dolphin Dance)

1日目でもう一つ印象に残ったのが、狭間美帆のラージアンサンブルのユニットの演奏。
こちらももちろんリモートでした。

曲は狭間美帆の憧れ、多大すぎる影響を受けてきたというハービー・ハンコックの「処女航海」のメドレー。

Maiden Voyage→The Eye Of The Hurricane→Dolphin Dance

でした。

こちらのアルバムですね。超名盤。

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狭間さんにとってハービーは「憧れて会いたいけれど実際に会ったら号泣してしまうかも」というくらいのアーティスト。

わかる気がする。

でも共演するのもすぐ実現すると思うけどな~。狭間さんほどの実力者であれば。近いうちに見たい気がします。


さて、この演奏も超リモート。いやリモートに超付けたってなんのこっちゃわかりませんが、これもリモート演奏とは思えない素晴らしい演奏でした。

弦が入ってるのでなんともドラマティックというか、管ばっかりのビッグバンドとは一味違いますね。重厚で演奏に艶があります。

アレンジもとても分かりやすくシンプル。おなじみの曲ばかりなので聞きやすいです。

The Eye Of The HurricaneはどうしてもVSOPの豪雨の田園コロシアムを思い出してしまいますが、いまだにこれどんな譜割になってんだろうと思いますね。

Maiden VoyageDolphin Danceはセッションでやったことはありますが、さすがにThe Eye Of The Hurricaneはやろうという人もいないし^^;

・・・と思って調べてみたら、わかりました。途中すごい変拍子入ってんのかと思ってたら、4分の4が4分の6になるだけなんですね。

とわかっても実際演奏するとなると難しそう。これなかなか合わないと思います。


いやしかし、このバンドも1曲だけというのは物足りない。あ、ギターのリオーネル・ルエケは、すみません、ほとんどノーマークで印象に残ってなくてコメントできません。、今の所Youtubeで後から見返せないので(5月25日現在)もう1回見たいんですけどね。


Ayaka Hirahara ♪A Night In Tunisia

2日目のトップバッター、平原綾香です。

お父さんはサックスの平原まこと。リモートで父娘共演となりました。

歌は父のサックスがお手本だったそうで、歌い方や高い声の出し方がわからない時はお父さんに聞いたりして喉の使い方、呼吸法など学んだそうですね。

歌を特に習いに行ってはいないとか。これはビックリです。

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以前BSでいつかのコンサートの映像見たことあったので知ってたのですが、この人ジャズもやるし、でもジャズだけに留まらないコンテンポラリーなボーカリストで、歌は当たり前だけど超上手い。

音域広すぎ。今回のNight In Tunisiaではボイパまで披露。コメントでもビックリしてる人多かった。

大ヒットした「ジュピター」くらいしか知らない人多いんでしょうね。もったいない。YouTubeで改めて動画チェックしてほしいです。

アレンジは誰かわかりませんが、非常に今風でタイト。コンサートでも盛り上がる曲だというのも良くわかります。

私はドラムやるのでドラマーが気になるのですが、このバンドのドラムは則竹裕之。髪薄くなったな~と思って調べたら、なんだ、私より一つ下だったのか。いやしかしやっぱ上手い。短いドラムソロも決まってましたね。

でもこのリモートの時はどうやって演奏しているのか。クリックだけ?それとも音源聴きながらでしょうか。どっちにしろズレちゃマズイですからね。他の音が鳴ってない中ドラムを叩いてリズムを作っていくのはかなり大変な気がする。
音がリモートの場合は粒立ちがよく、細かいところまで聞こえるのは嬉しいですけどね。

しかし他のリモート演奏もそうなのですが、ヘッドフォンやイヤホンしてる人もいればまったく何も付けてない人もいたりで、本当にどうやって演奏してるのかナゾですね。
スピーカーから出してたら録音に入っちゃうでしょうしね。

Dimash Kudaibergen


カザフスタン出身のディマシュ・クダイベルゲン

今年の東京ジャズでのハイライトといってもいい歌手で、配信が始まってすぐ、流れるコメントの中に早くも登場を期待するファンのメッセージがあふれ、すげえ人気なんだなとは思ってましたが、実は知りませんでした。

トリとして登場。動画が始まりましたが、もう最初から鳥肌モノの歌声。

6オクターブの音域と世界一ともいわれる歌声、甘いマスク。長身の25歳。これは人気あるのわかりますね。

Youtubeの東京ジャズのチャンネルに動画が上がってましたので見てください。


1つ目の動画、バックの2人が奏でてるのはカザフスタンの伝統的な楽器らしく、いい味出してます。

しかし彼の歌の世界にアッという間に引き込まれますね。曲は知らなくても聴き入ってしまいます。ハリー杉山が言ってたけど「凄まじい」が全然大げさじゃない。こんなスケールの大きな歌手は他にはいないんじゃないでしょうか。

動画がまた見れて良かった。

あとこの日24日はちょうどディマシュの誕生日だったそうで、祝福のメーセージを寄せた人達の写真を使ったアートがスゴかった。

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ぜひ生で見てみたい。他にどんな曲があるのか気になります。


SENRI KAWAGUCHI ♪See You Much Later

この他にもたくさんの素晴らしいミュージシャンが出演しました。個人的には2日目はドラマーの出演が多かったのが嬉しかったですが、その中でも川口千里ちゃん。

後で調べたら97年生まれというからもう23歳。ちゃんというには失礼かもですが、ビックリしました。上手すぎて。

動画のアングルがドラムセットの横からというのが良いです。足元も良く分かるようになっててドラマーにとってはむっちゃ勉強になる動画でした。

普通ライブではドラムは奥に引っ込んでて正面からしか見えないから、実は手元が見えない。足元なんて全くです。

その点Youtubeで見るような教則ビデオみたいで良かったです。

しかし今ドラムの上手い女の子多いですよね。最近はよよかちゃんが有名ですが、プロで活躍する女性ドラマー本当に多いです。

そのうち女性ドラマー特集やってみようかな^^;


小田朋美×中山晃子 ♪Blanca

シンガーソングライターの小田朋美とアライブペインティングのアーティスト中山晃子のコラボ。

2人のリモート上での何気ない会話から始まり、最近見た映画の話になり徐々に歌に入ります。歌というかヴォイスですね。ヴォイスがいくつも重なり合わされる中、色のついた液体、泡が絡みます。

アンビエントな雰囲気。幻想的な声に、流れる液体、色水、泡が重なり、見るものを異次元に迷い込ませました。

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あらかじめ撮った映像にリアルタイムでエフェクトをかけつつやったということですが、いったい何をどうやっているのか、不思議な映像でしたね。

いわゆる抽象画も好きなのでこういうのも嫌いではないです。

中山さんのツイッターによると思いもかけぬ現象が起きるみたいで、そういう偶然性も含めたアートは色々な可能性が考えられますね。これからもどんなアイデアが生まれるか、期待したいです。

お二人は今回が初めての共演だったということですが、今回のコラボに可能性を感じたようで、また別の機会に見れるかもしれません。楽しみです。


その他にも新世代&ビッグなアーティスト


あとビデオだけでの出演だったアーティスト。チック・コリア、渡辺貞夫、上原ひろみ、ハービー・ハンコック、日野皓正、やのとあがつま(矢野顕子&上妻宏光)…etc
あと日本、世界の新世代のアーティストも多数出てました。東京ジャズのホームページYoutubeで見てください。Youtubeのページは随時動画がアップされてるようです。

あと過去の東京ジャズの名場面や、1日目には新型コロナウィルスで亡くなったジャズ・レジェンドの映像も流れました。ウォレス・ルーニー(tp)、エリス・マルサリス(p)、リー・コニッツ(as)・・本当に残念です。

小曽根真にとってエリス・マルサリスは本当に父親のような存在だったらしく、思い出を語ってましたが、エリス・マルサリスを偲んで弾いていた曲が「エミリー」

これ私のビッグバンドで2017年にやったライブで取り上げた曲で、そうかエリス・マルサリスの曲だったのかと、今頃気づきました。ちゃんと譜面の作曲者のとこ見てなかったです。う~ん、いや、書いてあったかな~?書いてなかったような気がするんだけど。。^^;

セットリスト リモートも楽しいけど・・・


ということで、2日間、夜はジャズをたっぷり楽しみました。オンラインも良いけど本当は実際に会場で、生で聴きたいし、この眼で見て、そしてこのグルーヴを感じたいですね。

段階的に通常に戻っていくことになると思いますが、私達に少しづつ音楽が帰ってくることを信じてます。


最後に2日間のセットリストです。


Set List (May 23rd Day1)

Makoto Ozone featuring No Name Horses 
♪No Strings Attached (Stay Home Version)

Chick Corea ♪Mirror Mirror

Sadao Watanabe ♪Hana Wa Saku

The Manhattan Transfer ♪Route 66

Fourplay with Larry Carlton, Lee Ritenour ♪Silverado

Still Dreaming with Joshua Redman, Ron Miles, Scott Colley, Dave King 
♪Blues for Charlie

Hiromi ♪Kaleidoscope

Hiromi&Joshua Redman ♪What a Wonderful World

Larry Carlton ♪High Steppin’

Tigran Hamasyan ♪Someday My Prince Will Come

JAZZ100 year's project directed by Miho Hazama with The Danish Radio Big Band featuring Lee Konitz ♪Boplicity

Sadao Watanabe BEBOP NIGHT featuring Wallace Roney, Billy Childs, Jeff "Tain" Watts, Ben Williams ♪Solitude

Makoto Ozone Jazz Journey with Ellis Marsalis,Christian McBride, Jeff"Tain"Watts Photo by Kishin Shinoyama 
♪Do You Know What It Means To Miss New Orleans

Michel Camilo ♪Piece Of Cake

H ZETTRIO ♪みんなのチカラ

Bob James ♪BULGOGI ♪IL BOCCALONE

Lee Ritenour GUITAR SUMMIT with Pat Martino, Dave Grusin, Dave Weckl, Tom Kennedy ♪4 on 6

Herbie Hancock's Headhunters'05 ♪Actual Proof

Miho Hazama m_unit surprising guest Lionel Loueke 
♪Maiden Voyage Medley ( Maiden Voyage, The Eye Of The Hurricane, Dolphin Dance)

SUPER UNIT-Meet the Future- ♪Super Unit Special Session


Set List (May 24th Day2)

Ayaka Hirahara ♪A Night In Tunisia

Ayaka Hirahara ♪Feels Like Home

fox capture plan ♪Greatest Blue

Meshell Ndegeocello ♪Waterfalls

Terumasa Hino ♪TKNYO2

Ruri Matsumura ♪SWIPE feat. Ovall

Gotch ♪Stay Inside feat. Ovall

TRI4TH feat. China Moses ♪Love Theme From Spartacus

Yano et Agatsuma ♪Kokiriko Bushi’

H ZETTRIO ♪Ashitano Waltz

Snarky Puppy ♪Palermo

Tomomi Oda ☓ Akiko Nakayama ♪Blanca

BartolomeyBittmann ♪Neptun

SENRI KAWAGUCHI ♪See You Much Later

Roberto Fonseca feat. Danay Suárez ♪La Gracia Divina

GoGo Penguin ♪All Res

Dimash Kudaibergen ♪Samal Tau

Dimash Kudaibergen ♪S.O.S. d’un terrien en détresse

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