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テクノロジーが人を支配する世界(データが人を評価する怖さ)

ティール組織」を読んでいます。読んでいるのですが、その分厚さも相まって、なかなか進んでいません…。

はじめの頃はスラスラ読み進めていたのですが、途中なかだるみ状態です。

ただ、最近、そもそも本が読めなくなってきたなと言う感触もあります。ここ2年くらいは貪るように次から次へと読み進めていたのですが、そこまで本を読むことに対するモチベーションが上がらないのです。少しインプット過多になっているのかもしれません。

さて、「ティール組織」に話を戻しますが、この本を読み進めていると、進化系の組織に共通するキーワードのひとつが「信頼関係」だとわかります。

会社と従業員、上司と部下、そして共に働く同僚同士。

思えば、組織の中でつくられる数々の制度や規則は、信頼することの出来ない社員を強制力で縛り付け、統制を図るための道具だと言うことに気づきます。

先日、こんな印象的な出来事がありました。

あるお客様の経営トップの方と、私の上司と共に会話をしていた時の話。

働き方改革の話題となり、その経営者の方が、「テレワークやリモートワークをしている社員の労働時間をきちんと把握をしたい」、と発言したのに対して、私の上司は、「そうですよね、どこでサボってるかわかりませんからね〜。」と軽く返答しました。

これに対し、その経営者はこう発言しました。

「いやいや違いますよ。サボる奴なんてどこで働いていてもサボります。私は、規定の労働時間を超えて働いてくれている社員をきちんと把握して、その働きに報いてあげたいんです。」

同じ「労働時間の管理」の切り口であっても、従業員をどう見ているか、そのスタンスの違い、そしてその人の器の違いがはっきりと表面化をしたやり取りでした。(そしてかなり恥ずかしい思いをしました…)

人(社員・従業員・部下)を信頼しているか否かの違いは、そのマネジメントの違いにも明確に現れてきます。

部下や従業員を信頼していない場合、どうしてもマネジメントスタイルは、管理統制のやり方に傾斜していきます。そしてどうしても、力づくでもコントロールしようというやり方になりがちです。

そしてその違いは、評価の仕方の違いにも繋がっていきます。

少し前に、日経新聞のトップに以下の記事が掲載されました、

ここで紹介されているウーバーのドライバーの評価のされ方は、ガチガチの管理統制型です。こんな仕組みのもとでは、息苦しさを生み、長く働いていられないだろうとな思わせるものでした。

ここで書かれているドライバー評価のシステムがどのいうなものか具体的には書かれていませんが、記事の趣旨と文脈から、過去のドライバーの接客実績データが元になって作られている評価軸であることは推測できます。

この評価軸が、ドライバーの給料の増減に影響し、時には契約解除にまで追い込まれるとあっては、戦々恐々とならざるを得ません。

そして、ドライバーが最も意識するのはこの評価軸(評価システム)となり、お客様の存在は二の次になってしまうことは想像に難くありません。

この記事は、データーに恣意性が入り込む事への警鐘を鳴らす記事ではありますが、それよりも、私はデーターが人を評価することの怖さを感じました。

仮に、本当に心のこもったおもてなしをお客様に実施し感謝されたとしても、その内容が評価軸にそぐわないものであれば、減点されかねないのです。

全ての行動にこの評価システム(データー)が優先されてしまう中、そこで働く人々の心境はどんなものでしょうか。

自分自身を押し殺し、評価軸に則った機械的な作業を繰り返すだけの労働者に成り下がってしまう可能性があります。そして結果的には、心のこもらない形だけのおもてなしとなります。

実際に米国では、ウーバーに対する抗議デモが行われているようで、会社と労働者(ドライバー)の間は決して信頼関係で結ばれているとは言い難い状況のようです。

※『Respect The Drivers!』のプラカードが見えます。

自分は立場上、AIやIoTをはじめとした最新のテクノロジーを用いた業務効率や生産性の向上をお客様に提案する立場ではありますが、それらテクノロジーの使い道が、最終的には働く人々の働きがいや、ひいてはその人間性まで奪ってしまうのであれば、そんなことに加担をする提案は私はすべきでは無いししたくないと考えます。

実際に、その表向き派手な報道の裏側で、巨大テクノロジー企業の現場で働く労働者がどのような状態に追い込まれているか、その実態はなかなか表に出る機会は少ないですが、効率を追い求めるあまり人が使い捨ての駒のような状態になってしまっているのではないか、気になります。

そんな中、以下の本を見つけてしまいました。

タイトルだけでも、その内容はある程度想像がつきますが、一度読んでみようかと思います。

人の為に開発されたはずの、そして人を幸せにする為に生み出されるはずのテクノロジーが、人を支配しコントロールする為に使われてしまうのは、なんとも嘆かわしいことです。

やはり私としては、以下の坂本光司さんの言葉を信じたいのです。

     “関係する人々が所属する幸せを実感し、働きがいが高い企業で、業績が低い企業は歴史上存在しない。一方、業績や勝ち負けを過度に追求し、企業経営の最大の目的・使命を疎か・蔑ろにしている企業で、長期にわたり繁栄した企業は、歴史上存在しない。”    (坂本光司   人を大切にする経営学会 会長)


※以下、参考記事です。上記書籍について、詳しく考察されています。


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