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生産性を上げるも下げるも、そこで働く「人」の意識次第である。

「働き方改革」の掛け声のもと、各社各様で様々な取り組みをされているかと思いますが、生産性の向上、そして社員の働く姿勢の向上と言う観点でとてもインパクトのある記事を見つけました。

詳しくは記事中身をご覧いただければと思いますが、指示命令型のリーダーの元、指示待ちで受け身の姿勢だった現場社員が、自発的に仕事に取り組むよう意識が変わり、生産性が劇的に向上した経緯が書かれています。

その要因を整理すると、

▼ リーダーを、それまでの熟練社員から、若手社員にすげ替えた。
▼ 新しく据えた若手リーダーに、短期集中のマネジメント教育を受けさせた。

の2点に要約できるかと思います。

まとめてしまえばたった2点ではありますが、よく決断と実行が出来たなと思いました。

特に人事面でこんなドラスティックな辞令がよく発令出来たなという点。

今の大企業は、年功序列で働いてきた年数によってポジションが上がっていく傾向がまだまだ強いものです。

ある特定の若手社員を抜擢するだけでもかなりの社内の反発や抵抗感を示されるはずですが、ここまでごっそり変えてしまうと言う例は聞いた事がありません。

この体制変更によって、給与体系はどうなるのかとか、それまでリーダーを張っていた熟練社員からの抵抗が無かったのかとか、または熟練社員のモチベーション低下に繋がらなかったのか等々、色んな抵抗や軋轢が生まれたはずで、それらをどう乗り越えていったのか。記事は比較的あっさりと書かれていますが、恐らく相当の社内調整や様々な創意工夫がなされていたはずです。

そして何よりも、既存の組織のヒエラルキーに大混乱を招きかねない大胆な施策を、勇気と信念と覚悟を持って決断し、実行に移した強いトップマネジメントの存在があったんだろうな推測します。

既得権益をぶっ壊すこれだけ大胆な策は、経営トップにしか下せない決断です。

世間では、工場の生産性向上をうたい、AIやIoT、RPAやロボットと言った最新の技術を様々なベンダーがしのぎを削って商品化し売り込みに躍起になってきますが、これら最新のテクノロジーを駆使しても、ここまで(2.5倍)劇的に生産性を向上する事は到底無理でしょう。

テクノロジーの導入よりも、マネジメントが機能し、そこで働く人の本来持っている能力を最大限に引き出すことができれば、凄まじい効果を発揮できるという事を正に証明した事例かと思います。

逆の言い方をすれば、人の能力を発揮させられない原因は(働き方改革が進ず生産性が上がらない原因は)それを引き出せないマネジメントのまずさにある、とも言えるでしょう。

ここまで書き進めてきて、「カイゼン」で有名なトヨタの現場を取り仕切る河合副社長のインタビュー記事を思い出しました。

本エントリーの締めくくりに、河合副社長の以下のメッセージをご紹介します。本質的には同じ事を仰っていると感じました。

   “こないだもウチの役員が、働き方改革の話をしているとき、「今まで人間が十数時間かかってやっていた処理を、コンピュータを導入したら3時間でできます」と言う。それを聞いたほかの部署でも「ウチもやるか、ウチもやるか」って言うんです。
    ボクは言ったんですよ。「何が働き方改革だ。そんなのはカイゼンじゃない。それはカネに置き換えただけだ。コンピュータを入れて3時間になったものを、人の工夫で2時間、1時間にしてこそ働き方改革だ。早い計算機を買ったから早くできますなんてのは、カネを使っただけじゃないか。仕組みを変えて、必要なものと不必要なものに分けてさらに短縮してこそ働き方改革だ」と。”

こういう確固たる信念と思いを持ったトップマネジメントがいる会社は強いです。

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