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<芸術鑑賞>ホールへ行く人生

劇団四季公演のお誘いをしていたところ
お申し込みくださった方と昔エビータを観た、という話題になりました。

私は当時、県境に近い場所で勤めていて
平日の夜公演だったので、午後から休暇を取って松山まで観にいきました。
当時は、よほどの体調不良か家事都合以外で休暇を取るということは
憚られる時代でしたので、上司に話したところ
休暇願いの理由は「家事都合」にするようにと言われ、こっそりと職場を出ました。

その公演を、高校生のときに同じ場所で観ていた人が
今では仕事のパートナーであり、さまざまな活動を共にして
私の香ist®クラブのメンバーでもいらっしゃる方だったのです。

ああ、偶然ね、とは思いませんでした。

30年以上前にミュージカルをホールへ観に行った私たちは
その後の人生の中で沢山の鑑賞のためにホールに通ったことでしょう。

私も、ミュージカルはもとより、来日したクラッシック演奏家やオーケストラ バレエ団、ベンチャーズやJ POPシンガー、歌舞伎や能、狂言 等々

ふとチケット代にいくら使ったんだろう?と思いました。
ホールなんかに行かない人と比べたら、30年間で大きな出費をしていると思います。

ただ、ホールへ行く人生だったからこそ、今の私なんだろうと思います。
そして、またあの日高校生だった彼女も、その後ホールへ行く人生を歩んで
こうして出会い、意気投合しているのでしょう。

そんなことを考えているうちに、すっかり忘れていたある出来事を思い出しました。

ベンチャーズの公演に行ったときのことです。
指定席なので並ぶ必要も無いのですが、早めに入ってレコードやグッズを見たいと思い並んでいました。
ちょうど後ろにも同年輩の男の子が並んでいました。
周りは大人ばかりで一人で来ている気楽さから、声をかけられました。
お互い制服を着ていたので、どこの高校かすぐわかり
その安心感もあったようです。
ベンチャーズは初めて?みたいな質問からコンサートは初めてだけど
レコードは結構持っている、というような話をしました。

会場に入って、自分の席を探して座ると、右隣がその高校生でした。
品のいい感じの人だったので、安心して開演まで話をしました。
その時に、部活は何をしているか、みたいな話題で
水泳部、というと、「え?S高校で水泳部って、新聞に出ていたあの・・・」と
どうやら、その上品な高校生は新聞をよく読んでいるようでした。

それ以外はベンチャーズのどの曲が好きかというような話をして
終わってからは、すぐに席を立ったので、話をしないまま別れましたが
ふと、あの高校生もきっとホールに行く人生を送ったのだろうな、
どんな大人になっているのかな、と思いました。

このことは、ご本人なら多分覚えていらっしゃると思います。
主婦なので、探して会いたい、などとは全く思いませんが
もしも、このnoteを目にされたら、きっと思い出されるだろうなと思います。

ベンチャーズ松山公演を、高校時代に制服で聴きに行った方、
その方もきっと、ホールへ行く人生を送っておられることと思います。
きっとチケット代以上の豊かなものを受け取った人生を送られていると思います。

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