膝枕外伝 実況!膝枕ダービー3【膝枕リレー1周年記念】

まえがき 

こちらは、脚本家・今井雅子先生の小説「膝枕」の2次創作です。お馬さん擬人化はアニメ入り(ほんの最近ゲームも始めました)、原作にわかなので間違っている箇所もあるかと思いますが許してください。今回は前2作に比べて長いので、『本編』の『本膝場入場』は省略いただいて差し支えありません。先に言っておきますが、ハリボテエレジーは出ません

今井先生のエピローグ
それからの膝枕(twitterの画像をご覧ください)

下間都代子さんによる朗読

Noteに投稿されたスピンオフ
下記のマガジンをご覧ください。

Note以外に投稿されたスピンオフ
藤崎まりさん作
(stand.fm)今井雅子作・膝枕 アレンジバージョン

やがら純子さん作
落語台本「膝枕」

下間都代子さん作
ナレーターが見た膝枕〜運ぶ男編〜
(Youtube)大人の朗読リレー「膝枕は重なり合う」(朗読:下間都代子さん、景浦大輔さん)

kana kaede(楓)さん作
「単身赴任夫の膝枕」

賢太郎さん作
「膝枕ップ」

松本ちえさんも「からくり膝枕」をお書きになりました。
(限定公開のようでしたので紹介に留めます)

登場人物

・実況
・解説……細江ヒサ子(女性) または 大川久次郎ひさじろう(男性) 
・リポーター……朝倉あさくら彪太ひょうた(男性) または 蒼状あおさま美姫みき(女性)
注1 別の名前でもいいですし、複数人での掛け合いの場合は全員本名でもかまいません。
注2 原稿上の呼びかけは左側の名前で書いていますので、適宜書き換えてください。

本編

実況!膝枕ダービー
〜クラハ賞・春、芝3200M〜

パドック〜コース紹介

地の果てまで駆けていく《トウクダテイオー》か、それとも天まで登る勢いの《ヒザゲリクイーン》なんでしょうか。令和の大一番が刻一刻と迫って参ります。第135回クラハ賞・春、《トウクダテイオー》勝ちますと無敗の8連勝。そして《ヒザゲリクイーン》勝ちますと、春のクラハ賞連覇となります。実況は〇〇〔ご自身のお名前〕、本日の解説は細江ヒサ子さんです。細江さん、よろしくお願い致します。

解説 よろしくお願い致します。

世紀の対決のムードがいやがうえにも盛り上がります、京都レース場です。135回目を迎えましたクラハ賞です。茄子紺なすこんに白い文字がくっきりと浮かぶ、各14膝でありますが。さあそれでは出走膝をお伝えしましょう。

京都第10レース、第135回クラハ賞・春(芝、3200メートル)の出走表

1いち枠1番《ナイショノヒトリヒザ》、捕まえるのが難しい。
2枠2番《ヒザユウサク》、あだ名は「課長」。
3枠3番《ホワイトピロー》、春の日差しに白い肌が映える。
3枠4番《ハイタツカンリョウ》、迅速かつ丁寧に荷物を運びます。
4枠5番は2番人気《ヒザゲリクイーン》、春のクラハ賞連覇がかかります。
4枠6番《ゴールデンジロー》、銅像の耳には赤鉛筆が挟まっていそうだ。
5枠7番《カミノカタリテ》、読み終えた後の鋭いツッコミもまた楽しい。
5枠8番《ジェイケイマイアグラ》、今日は草ではなく芝を生やす。
6枠9番《インフムラッパー》、「シングル勝った」と言いたいところ。
6枠10番《ゴレイジョウサン》、華麗なハードルさばきで鍛えた膝は平地でも通用するか。
7枠11番《ダンスオブワニ》、賞金より投げ銭の方が稼ぎがいいという噂。
7枠12じゅうに番《ヒザストリー》、今日も歴史の先頭を駆けていくのでしょうか。
8枠13番《イタミングローバル》、世界中のファンが聞き守ります。
最後に8枠14番《トウクダテイオー》、1番人気です。

さあ14膝なんですが、40本近い垂れ幕、応援の横断幕がかかっております。早速《ヒザゲリクイーン》と《トウクダテイオー》なんですが、細江さんいかがですか。

解説 《ヒザゲリクイーン》の方は今、お客さんが増えてきましたでしょう。ちょっとうるさいところを見せましたがね、それまでは堂々としていましたね。非常に落ち着きがあって、そしてベテランらしい、びしっとした感じを受けますね。それに対して、《トウクダテイオー》は前走よりはやはり締まりましたね。大きく今日は映りますね。

そうですね。さあそれではまず5番の《ヒザゲリクイーン》からじっくりと見てみたいと思います。

解説 肌艶がよくなったんじゃないですか。それから、前日追いまでしましたせいか、非常にハリというか、引き締まったという感じでしてね。非常にいい感じの落ち着きを見せてますよ。

いかにも長距離に適応しそうな柔らかみのある膝ですね。

解説 なかなか歩いている感じも落ち着きと柔らかみと両方兼ね備えている感じですね。

そうしますと前走に比べてだいぶ良くなっているなという感じはありますね。

解説 まあ2走目、3走目くらいの方が体調面いいんですよね。今日は最近では珍しいくらいどしっとした落ち着きを見せてますね。

さあそれから、番号飛びますけれども相対あいたいする14番《トウクダテイオー》です。

解説 オーラが出てきましたね。それで大きく見えていますが、シュッとしていますね。この膝は本当に柔軟性がありますね。非常に柔みがあるというか、バネが効きそうな感じを受けますね。

スナップがきくんですよね。

解説 先ほどから見てましてね、ぐーっと気合いが入っているような感じが出てきましたね。

白い肌が非常に美しい《トウクダテイオー》なんですが。それ以外と言っては他の膝に失礼なんですが、2番のグランプリ膝《ヒザユウサク》、ちょっと一言お願いします。

解説 はい、課長なんですからもうちょっとえばっていい膝ですよね。最近は振る舞いがかなり肩書きに近づいてきたんですけれども。このあたりは返し膝を見てみましょう。5枠の2膝、《カミノカタリテ》が落ち着いてますね7番の膝。

7番の《カミノカタリテ》、8番の《ジェイケイマイアグラ》。この5枠の2膝ですね。

解説 はい、《カミノカタリテ》は入ってきた時から今日落ち着きを見せていますね。ですからリラックスして移動できたのではないでしょうか。

かなり土気つちけの多い膝場ひざばですから、意外と好走も期待できるかもしれないですね。

解説 ダートに近い面もちょっと膝場ひざば状態がありますからね。

そうですね。それから8番の《ジェイケイマイアグラ》も気合が乗ってきていますね。

解説 前走あたりまではいかに存在感を大きく作るかということで専念したんですが、この膝はむしろギリギリ絞った方がいいんでしょうね。

ありがとうございます。ここで、今回のコースを紹介しましょう。右回り芝コース3200メートル。トラックほぼ1周半です。実況席は地図の下側、ゴール前にあります。スタート地点は向正面むこうじょうめんの直線途中から。第4コーナーにかけて坂道を登りきると続く第3コーナーは下り坂。一旦ゴールを通り過ぎまして、平坦な第2、第1コーナーを回って再び向正面の直線に入ります。2度の坂越えの先、直線を抜けた先にゴールです。

京都レース場芝コース平面図。内側のダート・障害コースは省略。

本膝場入場(省略可)

まもなく、14膝がこの本膝場ほんひざばに姿を表します。緊張の一瞬でありますが、思い出せば第113回クラハ賞、あの史上最強の膝と言われている《アイアムヒッザヒザ》が勝ってからこのクラハ賞実況しているんですが、こんな雰囲気は初めてですね。

解説 そうですね。本当に、私もちょっと今日は珍しく興奮するような、巻き込まれそうな感じがありますね。

京都レース場の名物白象はくぞうも固唾を飲むといったところでありますが。さあ14膝が本膝場ほんひざばに姿を見せました。もう一度1番から順を追って紹介しましょう。大歓声があがろうとも歴戦の強者、それほど入れ込む膝はいないでしょう。1番が《ナイショノヒトリヒザ》です。2番《ヒザユウサク》、グランプリ膝であります。そして3番が《ホワイトピロー》です。4番は《ハイタツカンリョウ》。そしてご覧ください、5番《ヒザゲリクイーン》です。ご存知、昨年春のクラハ賞膝。勝てば史上初の春のクラハ賞の連覇となります。6番が《ゴールデンジロー》です。そして7番が《カミノカタリテ》であります。8番は《ジェイケイマイアグラ》。果たして、闘志をどこまで貯めてくるか。それから9番が《インフムラッパー》。どっとあがる大歓声、10番は《ゴレイジョウサン》です。11番の《ダンスオブワニ》であります。それから12番《ヒザストリー》です。13番《イタミングローバル》であります。そして最後にどっしりと控えしは14番《トウクダテイオー》。勝てば父《マクラハカイオー》に並びます。さあ《トウクダテイオー》がキャンターにおろして、場内が騒然とした京都レース場であります。私の声が皆様のお耳に達しますでしょうか。14膝が思い思いの方向に散って参ります。緑の絨毯とは言えませんが、緑の芝生の上を《ヒザゲリクイーン》が、そして《トウクダテイオー》が返し膝に入りました。細江さんが立ち上がって身を乗り出して見てますけれども、細江さんいかがですか。

解説 えぇ、最初の《ヒザゲリクイーン》の歓声と最後の《トウクダテイオー》の時の歓声、わずかに《トウクダテイオー》勝りましたけどね。これは出走全膝に対する声援でもあるでしょう。とにかく両膝に対しての声援はすごいですね。

そうですね。しかし流石に歴戦の強者と言いましょうか14膝、それほどいれこむ膝はいませんよね。

解説 若膝のレースとは違いますからね、たくさん場数をふんでますからね。

それぞれが自分が主役だというような感じで。細江さんどうですか、特に変わってきた膝というのはありますでしょうか。

解説 やはり、《ヒザゲリクイーン》は気合いがぐっと乗った感じですね。《ヒザユウサク》の方はまだ気合い乗りがちょっと遅いような気もしますが。《ジェイケイマイアグラ》腿のあたりが非常に絞れて、どういう結果に結びつくのか興味ありますね。

1番人気を集めた14番の《トウクダテイオー》、果たして未知の道のり。800メートルを細江さんどうこなすか。

解説 楽しみですね。

そして《ヒザゲリクイーン》。大方おおかた一騎打ちムードなんですがね、細江さん。

解説 ええ、まあエンジニア同士、西豊にしゆたかさんと枕部まくらべさんの腕の競い合いといいますか、その辺も見どころありますよね。

面白かったですね。枕部まくらべさんがですねこの《トウクダテイオー》を地の果てまで駆けていく夢を見ると言えば、これに対抗して西豊にしゆたかさん、《ヒザゲリクイーン》をですね、それならば天まで昇りそうな沈み心地というように対抗した。この2人の争いも面白いですね。

解説 また両陣営も非常に熱心に今回しあげましたからね。

まず令和の大一番ということで、春のクラハ賞が第1ラウンドと言いましょうかね、初めての膝合わせになるんですがね。

解説 そうですね、これから枕塚まくらづか記念、そして秋へと結びついていくんでしょうね。

まあ今年だけでちょっと指を折ってみても4回ぐらい対決する場があるというような感じですけどね。

解説 そうですね、4回から5回ありますね。

この2膝これからどういうふうになっているのでしょうか。まあしかし2膝とは言わせないよと他の膝はね、中には秘めてるでしょうね。

解説 勝負の厳しさに現れるのかもしれませんね。

この赤と黄色い勝負服がいつどこから飛び出してくるのか、これも面白いですよね。

出走準備〜アクシデント発生

膝枕ダービー史上に残る第135回クラハ賞の白い文字がはっきりと浮かんでいる京都レース場。令和◯年◯月◯日快晴。人の数11万人です。出走膝14膝が3200メートルのスタート地点に集合しました。2度の坂越えです。14膝ご紹介しましょう。1番《ナイショノヒトリヒザ》、2番《ヒザユウサク》、3番が《ホワイトピロー》、4番《ハイタツカンリョウ》、5番《ヒザゲリクイーン》、6番《ゴールデンジロー》、7番が《カミノカタリテ》、8番《ジェイケイマイアグラ》。それから9番が《インフムラッパー》、10番《ゴレイジョウサン》、11番《ダンスオブワニ》、12番《ヒザストリー》、13番《イタミングローバル》、14番《トウクダテイオー》の14膝。14番の《トウクダテイオー》が1番人気、5番《ヒザゲリクイーン》が2番人気、果たしてこの両膝の一騎打ちになるのかどうか。令和の大一番おおいちばんまであと2分少々になりました。スタート地点、朝倉アナウンサーです。

リポーター まず注目の膝場ひざば状態なんですが、二ヶ月ぶりの京都。やはりね、ところどころ芝がはげているところがあるんですね。ちょっと阪神も懐かしいんですけれど。その向正面むこうじょうめんのスタート地点、やはりちょっとぼこぼこしているところも目立ちますね。スタッフに聞いてみますとね、ラチ沿い、柵沿いから3、4メートルのところがあんまり良くないんだということを話してくれましたが、そのあたり位置取りもポイントになると思いますが。

そうですか。まもなく……

リポーター それから今ね《ヒザゲリクイーン》のところにですね、……

《ヒザゲリクイーン》のところに、あれ、ほつれですかね。

リポーター えーっと右側なんですけれども、どうやらちょっとほつれのようですね。

ほつれのようですね。

リポーター はい、縫い直してますが、《ヒザゲリクイーン》はおとなしくしていますがね。

細江さん、これは着崩れのようですね。

解説 はい、もう、着崩れといいますとね……

まあ《ハマノオロシヤ》を思い出しますけれどね。

解説 ベテラン膝ですからすぐ直ると思いますよ。

場内放送で騒然とするんじゃないかと思うんですがね。今、ターフビジョンではこのシーンは、そのシーンが、これですね、ようやく今、スカートのほつれが場内放送で報じられました。ターフビジョンでは《トウクダテイオー》のアップになっていて、《ヒザゲリクイーン》ほつれの模様は映し出されておりません。場内放送があって初めて場内が騒然としている京都レース場です。なんだか細江さん胸騒ぎがしますよね。

解説 そうですね。

朝倉さん、そちらの雰囲気はどうですか。

リポーター ええ、《ヒザゲリクイーン》がいま直しを待っているところなんですけれど、他の膝はさすがにベテランの戦いですね。じっくりと落ち着いてますね。

そうですか。朝倉さんね、嬰華えいか賞の時に《ハマノオロシヤ》でちょうど着崩れのシーンを見てますけれど、あれと比べてどうですか。

リポーター あのー、いまね、歓声ずいぶん大きくなっていますけれど、ここにはそれほど届いてませんでね。それほどドキドキするようなムードはありませんがね。

そうですか。思ったより落ち着いているようですよね。

リポーター ええ、今膝を少し弾ませるような仕草をみせていますけれど、エンジニアの西豊にしゆたかさんが語りかけてますんでね。それほど興奮もしていないようです、《ヒザゲリクイーン》。

意外と冷静ですよね。《トウクダテイオー》どうしてますかね。

リポーター 今ちょうど《ヒザゲリクイーン》の横を通るような格好で、振り返って《ヒザゲリクイーン》の方を見てますね。

万全で来いという感じでしょうね、《トウクダテイオー》としてはね。あー見てますね。細江さんにちょっと聞いてみたいと思いますがね、こういう風にレース前に着崩れというケースはよくあるんですがね、どうなんですか影響のほど。

解説 ひっかけたんですよね。自分のスカートがおそらく半分ほつれて、だから今仕立て屋さんが外しましたよね。それを縫い直すんです。だから、嬰華えいか賞の《ハマノオロシヤ》の着崩れとは全く異なりますよね。今、朝倉さんも言ってたように、向こうではこれほどのざわめき聞こえませんから。

そうですね、意外にねシーンとしてますからね。そうすると、このままもし気がつかずにほつれたまんまで走ったらというね。怖かったですよね。

解説 そしたら大変なことになってますね。朝倉さん、どうなのでしょう。

リポーター えーっと、今、スカートを縫い直してるところなんですがね。

まだ直してますね。他の膝はどうしてますか。

リポーター まったく落ち着いたもんですね。さすがの一流が集まったという感じですが。《ヒザゲリクイーン》も落ち着いて今1人で待ってるところでございますが。

14番の《トウクダテイオー》、その前にいるのが《ハイタツカンリョウ》ですね。それから《カミノカタリテ》がいますね。そして9番の《インフムラッパー》でありますが。朝倉さん、縫い終わったらまた教えてくださいね。

リポーター 今から《ヒザゲリクイーン》のスカートを縫い直すところです。

縫い直すところですか。落ち着いてますね、この表情。細江さんどうですか、この表情見て。

解説 全く心配ないんじゃないですか。先ほど〇〇さん〔実況者〕言われたように、あのまま走ると大変なんですよね。人間で言ったら靴がはずれたような、半分ね、踏みかけたような格好で走りますからね。膝元も大変ですけども。自分のスカートを履きますからね、直して。普通、どこかではずれてしまうと、新しく予備衣装に変えるんですよ。これは縫い直してますから、自分のスカートを履くわけですから。

細江さん、なんだかしかし異常ですね、今日は下位人気の膝が番狂わせを見せたり。京都レース場は朝からザワザワ ザワザワとね。

解説 ただ、いま画面見てますと、《トウクダテイオー》は実に落ち着いた膝ですね。父親の《マクラハカイオー》はもっと激しいところを見せましたからね。賢い膝というか、落ち着いた膝になったわけですが。

そうですね。スタート時刻が5分ばかり遅れるという発表がありました。しかしまだ5番の《ヒザゲリクイーン》、スカートのほつれが見つかって、いま改めて縫い直しが行われているところでありますが、《ヒザゲリクイーン》はじーっと落ち着いたまんま。こちらの方は《トウクダテイオー》。その後ろが《ナイショノヒトリヒザ》であります。《ヒザユウサク》の膝頭も見えます。《ハイタツカンリョウ》もいますが、これが《ヒザゲリクイーン》ですね。

解説 気合いが乗ってただけに、ちょっと切れなければいいですね。

細江さん、そうですね。これから縫うわけですね。

解説 そうです、今から縫い直すんですよね。私も経験ありますけどね、待ってる方も嫌なんですよ。待ってる方が。一旦気合いつけた膝をね、ここで待たされるというのも嫌なものですよ。

ずーっと発走時刻が近づいてくるにつれて、膝の気合いもぐーっと高まってくるわけですよね。

解説 とく賞で二着の膝を応援してたときに、ほつれを直した膝に勝たれたんですよね。苦い思い出があります。待つ方も嫌なんですよ。

そうすると、高まってきた膝の気合いがスッと抜けるようになるわけですね。果たしてこの辺り、どういう風に、細江さん、逆に高めていくかですよね。

解説 もう一度気合を入れ直して、同じ条件で、五分の条件で戦って勝敗を決めてほしいですね。

京都レース場の膝場ひざばコンディション、一応りょうと発表されてますがね、思ったより芝の生え揃わないというようなね。

解説 今年の2月、3月雨の量が多くて気温が不順だったためか、芝の生え方が遅かったそうですね。芝の表面にまいたような感じですね。ゴールの地点あたりは一部芝を張り替えたりして。それにカラーファンドというのを撒きまして緑が表面にちょっとあるんですが。向正面登りの手前ぐらいまで少し芝が禿げてるとのことですね。ですが3コーナー外回りは結構しっかりしてるそうですよ。

放送時間の方は大丈夫だと思いますが、なにぶん3200メートルですので、できることならスムーズでという願いでもういっぱいでありますが、朝倉さん、終わったのかな。

リポーター オッケーという声がどうやら出たようですね。あ、仕立て屋さんが離れました。

これがターフビジョンで大きく映し出されて、10万人を超えるお客さんから大歓声が上がったところであります。これで細江さん、ほっと一息ですね。もう一度、じゃあ細江さん、まとめていただけますか。

解説 今ちょっとほつれというアクシデントがありましたけれど、膝も落ち着いてます。距離経験ならびに実績のある《ヒザゲリクイーン》がややリード。《トウクダテイオー》はそれを凌ぐ素質は持ってますが、この京都の2度の坂登って下るですね。これと休養明けが空きすぎただけに、厳しい面がもう一走欲しかったなと思うんですが。それだけに一応《ヒザゲリクイーン》軸、《トウクダテイオー》が対抗という印なんですね。

まもなく、スターターが台に行くのではないかと思います。《ヒザゲリクイーン》、レース前にスカートのほつれに気がついて事なきを得ました。縫い直しも無事、終わりました。14膝が3200メートルのスタート地点で軽く唸っておりますが。なにぶんこのアクシデント、胸騒ぎが、いや、膝騒ぎがするところでありますが。さあ、間も無くスターターが歩き始めました。

(歓声)

出走〜決着

いよいよ対決の時が来ました。令和◯年◯月◯日。さあGI独特のファンファーレです。

ファンファーレが高らかに鳴り渡りました。《ヒザゲリクイーン》ちょっとゲートインを嫌がっておりますが。朝倉さん?

リポーター 《ヒザゲリクイーン》珍しくゲートイン嫌ってるんですね。《カミノカタリテ》をまず入れました。あとは順番通りなんですが。今おさまりました。

《トウクダテイオー》は後方待機ですか。

リポーター 《トウクダテイオー》1人外で待っていますね。

全国の膝枕ファンが固唾を呑む14膝のゲートイン。最後に《トウクダテイオー》のゲートインです。さあ対決の時きたる。

ゲートが開いた。まずまず揃って飛び出した14膝。《ヒザゲリクイーン》が行くのか、それとも《トウクダテイオー》が行くのか。先手を取るのはどちらだ。さあ外から12番《ヒザストリー》、《ヒザストリー》、そして4番の《ハイタツカンリョウ》、6番《ゴールデンジロー》、そして外から13番《イタミングローバル》、5番がすーっと下がりました。5番《ヒザゲリクイーン》は現在六番手から七番手。おお11番の《ダンスオブワニ》を挟んで、14番《トウクダテイオー》、《トウクダテイオー》の方が先にいくのか。さあ《ヒザゲリクイーン》がやっぱり前へ行きました。1周目の第3コーナーの下り、1周目の第3コーナーの下り。6番《ゴールデンジロー》、内を通って1番の《ナイショノヒトリヒザ》、ちょっと掛かり気味。そして13番《イタミングローバル》三番手、11番《ダンスオブワニ》、投げ銭をもらいながらも四番手。その後ろから、後ろから5番《ヒザゲリクイーン》、ちょっと外へ出して五番手、内を通って2番《ヒザユウサク》、後方です。1周目のホームストレッチに入って参ります。7番《カミノカタリテ》、3番《ホワイトピロー》、8番《ジェイケイマイアグラ》と続きました。そして9番《インフムラッパー》、10番《ゴレイジョウサン》、14膝これで全て。さあ1周目のホームストレッチ。これから京都のだいスタンドがうなります、そして京都のだいスタンドがよじれます。《ヒザゲリクイーン》5番、5番が《ヒザゲリクイーン》。14番が《トウクダテイオー》。さあ京都レース場のスタンドのファンの皆さんと一緒に、クラブハウスをお聞きの皆さん、5番《ヒザゲリクイーン》です。14番《トウクダテイオー》です。この2膝の動きをお聞き守りください。ようやく歓声が鎮まりました。第2コーナーをカーブして向こう流しに入ります。それでは14膝、14膝の位置取りをもう一度確認しておきましょう。先頭を行きますのは12番《ヒザストリー》、大方の予想通り。二番手4番《ハイタツカンリョウ》、三番手11番《ダンスオブワニ》、そして四番手は5番《ヒザゲリクイーン》、四番手堂々と《ヒザゲリクイーン》。その後ろでありますが、その後ろ、おお《トウクダテイオー》が真ん中にいる、《トウクダテイオー》3膝の後ろ14番。1番が《ナイショノヒトリヒザ》、13番《イタミングローバル》、そして6番《ゴールデンジロー》がいて14番《トウクダテイオー》、《トウクダテイオー》は右斜め前方に《ヒザゲリクイーン》を見るような格好になりました。7番が《カミノカタリテ》、そして8番《ジェイケイマイアグラ》黄色いゼッケン2つ。おぉ《トウクダテイオー》が動いた。テイオーが動いた、第3コーナの坂、第3コーナの坂。春の盾は、春の盾は絶対に渡せない《ヒザゲリクイーン》、春の盾こそ絶対に欲しい《トウクダテイオー》。さあ800の標識を過ぎた。これからが未知の道のり。これからが未知の道のり《トウクダテイオー》。さあ、《ヒザゲリクイーン》早くも先頭。《ヒザゲリクイーン》が先頭に立った。14番《トウクダテイオー》。そして7番《カミノカタリテ》が外から襲いかかる。まだ2ふた膝の差がある。2ふた膝の差がある。そして3番《ホワイトピロー》、アグラが来た、8番《ジェイケイマイアグラ》来た。さあスパートした、《ヒザゲリクイーン》スパートした。《トウクダテイオー》は追い込んでくる。《トウクダテイオー》は追い込んでくる。負けるな《ヒザゲリクイーン》、負けるな《トウクダテイオー》。外から7番《カミノカタリテ》、《カミノカタリテ》が来ているぞ。《トウクダテイオー》は動きが悪い。《トウクダテイオー》は現在四番手。《ヒザゲリクイーン》逃げる。《ヒザゲリクイーン》逃げる。《トウクダテイオー》は四番手。7番《カミノカタリテ》、《カミノカタリテ》が三番手。《カミノカタリテ》三番手。《トウクダテイオー》は現在四番手から五番手。さあ《ヒザゲリクイーン》、《ヒザゲリクイーン》やった! 《ヒザゲリクイーン》やった! 二着に《カミノカタリテ》。二着に《カミノカタリテ》です。史上初、春のクラハ賞連覇。ステイヤーの血が騒ぎました! 《ヒザゲリクイーン》、どんなもんだい。《ヒザゲリクイーン》、どんなもんだいといったところ。恐れ入ったという《トウクダテイオー》は四着か五着。二着は《カミノカタリテ》です。《ヒザゲリクイーン》どんなもんだい。秋の悔しさを少しでも晴らしたか《ヒザゲリクイーン》。春のクラハ賞連覇は史上初。そして西豊にしゆたかさん、《イキナリヨムワン》、さらには《スーパーピロートーク》に続いて、令和に入って春のクラハ賞4連覇。《トウクダテイオー》は四着か五着。

(歓声)

あっけない幕切れになりました。あっけない幕切れになりました。《トウクダテイオー》はあと200メートルで失速。5番《ヒザゲリクイーン》、7番《カミノカタリテ》、《トウクダテイオー》は五着ぐらいか。8戦8勝はなりませんでした。してやったりの《ヒザゲリクイーン》。《ヒザゲリクイーン》に大歓声があがる京都レース場です。控室でガッツポーズだ西豊にしゆたかさん。春のクラハ賞4連覇という不滅の大記録を達成しました。

(歓声FO)

レースの興奮がまだ残っておりますが。今、画面にはレースのVTRが出ておりますけれども、これはもう強かったですね、細江さん。

解説 そうですね、3コーナーから先頭に立てたのが最大の勝因ですね。今までで一番良いレースだったのではないでしょうか。今日この膝場ひざばでこの時計ならだいレコードですよ。ダートに近いようなね。あの時計だったら《トウクダテイオー》はちょっと勝てませんね。

そうですか。《トウクダテイオー》は五着の模様みたいですね。

解説 2コーナーまでは筋書き通りみたいな感じで来ましてね。直線どうなるかということでしたが。非常に良いレースでしたので、誇っていいと思いますよ。

素晴らしいレースを見せてくれました。《ヒザゲリクイーン》が勝ちました。第135回クラハ賞です。確定致しました。一着5番《ヒザゲリクイーン》、二着7番《カミノカタリテ》、三着8番《ジェイケイマイアグラ》、四着3番《ホワイトピロー》、五着14番《トウクダテイオー》という結果です。着差は上から膝差2つと2分の1、膝差5、膝差1、膝差1と4分の1ということです。ここまでの解説は細江ヒサ子さんでした。細江さん、ありがとうございました。

解説 ありがとうございました。

これからもこの2膝の対決がまた見られることでしょう。ここまでの実況は〇〇〔ご自身のお名前〕でした。それではまたどこかのレースでお会いしましょう。ごきげんよう。

クラハ賞・春の着順

あとがき

このレースの元ネタは1992年4月26日に京都競馬場で行われた第105回天皇賞・春(天候:晴れ、馬場:良)です。

《ハマノオロシヤ》の元ネタは『イソノルーブル』という競走馬なんですが、イソをハマに、貨幣としてのルーブルを使っているのはロシア(江戸時代はおろしやと呼ばれていた)を組み合わせた結果「膝浜」に近くなりました。

ファンファーレ作曲:nakano sound様(https://www.nakano-sound.com/free/fn.html)

2022年5月31日 記事公開。櫻隼人さん(膝番号8番)に膝開きいただきました! ありがとうございます!

同 日  膝開き王・徳田祐介さん(膝番号2)が読んでくださいました! ありがとうございます!

2022年6月1日 桜井ういよさん(膝番号7)が読んでくださいます!


 

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