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やってはいけない!!スーパーとの「契約取引」

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さて、本日のテーマに入ります。

今日のテーマは「契約取引」です。契約取引とは、ある一定期間において、価格と数量を決めて取引することです。この「契約取引」に取り組んでいる農家さんや出荷団体、JAも多いと思います。また、今年のように野菜の相場が安値で推移した時には、「契約取引」の方がいいなぁと考える農家さんも多いと思います。

そこで、スーパーとの契約取引にいて考えてみます。

スーパーとの契約取引は原則あり得ない。

青果物流通の中心になるスーパーマケット(以下スーパー、小売店や量販店と同義)ですが、スーパー向けに「契約取引」の話が来ることがあります。ここで考えないといけないのは、スーパーの売り場です。例えば野菜ですと、市場の相場によって(多少タイミングはずれますが)、店頭価格が決められます。野菜の出回り量が少なくて相場が高い時は、高い店頭価格に、野菜の出回り量が多くて相場が安い時は、店頭価格は安くなります。このことを念頭に話を進めます。

なぜ、スーパーが「契約取引」を進めるかと言うと、野菜の絶対数量を確保したいためです。つまり、相場が高くて、手に入らない時でも、数量確保のために保険を掛けておくのです。だから、スーパーとの「契約取引」は、出荷量が少ない時でも必ず出荷する必要があります。そうしないと、来年以降継続する理由がスーパーにはなくなりますからね。

もうひとつあります。それは、スーパー向けではありますが、「仲卸」が物量確保のために契約をする場合です。その時は仲卸が全てのリスクを取ります。仲卸とスーパーマーケットも物量や現物がないと商売にならないので、そのために「契約取引」をすることがあります。

冒頭にスーパーとの契約取引はあり得ないのでしょうか。それは、スーパーの店頭価格と契約取引が矛盾するからです。

仮に契約単価を100円としましょう。そして相場が安くて80円だとします。農家さんは市場に出せば80円ですが、契約取引で価格が決まっていますから、100円で売れます。相場より高く売れて満足です。しかし、この契約取引をしている「スーパーA」はどうでしょうか(話を分かりやすくするために、間の流通のことは省いています)。
相場が80円なので、「スーパーA」のライバル店である他の「スーパーB」はその野菜を100円の店頭価格で販売しています。「スーパーA」は仕入れが100円なので、120円の店頭価格を付けて販売出来るでしょうか?
きっと出来ませんよね。この場合は、スーパーAは市場からも仕入れて、仕入れ価格を平均し、ライバルスーパーBと同じ価格帯で販売することになります。ここで、契約取引の矛盾が発生します。

さて、次に相場が高くなり150円になったとします。農家さんは市場に出せば、150円ですが、契約取引なので100円でスーパーAに卸します。しかも、相場が高いということは、出回り量が少ないので、天候などの関係で出荷量が少なくなっていることが予想されます。農家さんは少ない出荷量の中で、市場よりも安い価格でスーパーAに決まった価格で出荷しなければいけません。そういう「約束」ですからね。相場が安い時も、相場より高い価格で決まった数量を引き取ってくれましたからね。

一方のスーパーAはどうでしょうか。ライバル店スーパーBより安い価格で仕入れることが出来ているので、安く売って目玉商品にするのか、それとも高く売って利益の最大化を図るのか。
安く売って目玉商品にすることもできますが、スーパーで契約取引する場合は、その数量は全体の1〜2割がいいところです。つまり、相場が高くて店頭価格が高い時に、目玉商品にしてもすぐに売り切れてしまい、大して集客につながらない場合が多いということです。それに、売り切れてしまうとお客様からのクレームになる可能性がありますし、スーパーのお店の担当者は売り場に商品がない欠品状態を嫌います。
つまり、スーパーAは、安く仕入れることが出来ていますが、ライバル店スーパーBが店頭価格を安くしない限り、安く売る必要がないということです。それに、近年は安く売ってもたくさん売れないことが多くなってきました。なので、安く売ることにスーパーAは何もメリットがないのです。

それを知った農家さんは、「契約取引」で約束なので、出荷量が少ない中でも契約単価で卸したのにスーパーAが高い値段を付けているのを知って、少しがっかりして何とも言えない気持ちになるかも知れません。

さて、このように「契約取引」をする場合は、その取引の内容をエンドユーザー(最後に消費する消費者)のことまで考えた取引でないとうまくいきません。今回のようにスーパーとの「契約取引」は農家と仲卸とスーパーの3者がお互いに我慢しないと続かない構図になっています。担当者同士は理解してもその上司が納得しないと取引が終了することもあります。スーパーとの契約取引はこのような現状を理解して取り組むことをお勧めします。永続的に続くと考えない方がいいでしょうね。

農家さんから見たら、価格と数量が決まっていて、いい取引のように見えますが、継続出来ないと意味がないし、急に取引が終わってしまったら、次の販売先を見つけることが大変になりますよね。

今回の「契約取引」はあくまで、数量と価格が決まっていることを前提としています。たまに、数量と価格も決まってなくて、地元のスーパーとの取引が決まっている場合もあります。その時は、都度価格や数量の決定が行われていると思いますが、そのような事例は「契約取引」ではなく、単純は直接取引になります。

しかし、SNSなどで情報発信が容易になったことで、農家さんの販売方法も多種多様になりました。どの取引方法が一番かは経営者であるあなたの考え方次第です。どんな取引にもメリット・デメリットがあります。その部分をしっかり押さえて、信頼関係のある取引をしてもらいたいと思います。

今回の内容等で質問やご意見あれば、コメントを頂くか、公式ライン@「アグリゼミ」にご登録いただき、ご相談ください。
あなたの販売戦略のお手伝いも出来ると思います。

それでは次回をお楽しみに。

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