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やっぱり厳しい農業経営〜肥料情勢から読み解く〜

こんにちは。アグリビジネスパートナーの高津佐(こうつさ)です。

今年は梅雨入りして雨があまり降らなかったのですが、先日より大雨になっています。今週はずっと雨予報です。

河川が氾濫したところもあるようですので、皆さんも気をつけて、早めの対策をしてください。

さて、今回は肥料について書きたいと思います。

LINE@の登録者さんからこんな質問を受けました。

TPP参加国の中で肥料を安価で扱える国はありますか。

この質問に答える形で進めていきたいと思います。

TTPと参加国

TTPとは日本語では「環太平洋パートナーシップ協定」、英語の正式名称は「Trans Pacific Partnership Agreement」となります。

ウィキペディアによると

環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定(EPA)である。

と説明されています。

つまり、「環太平洋地域の国々で自由貿易、輸出入に関税や規制等をかけないで貿易をしましょうね」という協定です。

詳しくは下記のウィキペディアをご覧ください。

そして、その参加国の中で主導的であったアメリカ合衆国ですが、トランプ大統領が就任したことで、TPPへの参加を見送ったことを知っている方は多いと思います。
さて、アメリカを除いた、TPPへの参加国はどんな国があるのでしょうか。

TPP参加国

シンガポール
チリ
ニュージーランド
ブルネイ
オーストラリア
カナダ
日本
メキシコ
ベトナム
ペルー
マレーシア

上記の11カ国がTPPの参加国になります。

ご存知の通り肥料や国内製造の肥料原料は輸入に頼ってるのがほとんどです。
この参加国の中で肥料関連の輸入があれば、関税が撤廃されてその価格が下がる可能性はありますよね。

さて、実際のところどうなのかを紐解いていこうと思います。

ポケット肥料要覧-2017/2018-

そして参考にするのが「ポケット肥料要覧-2017/2018-」です。
ある土壌の専門家さんに紹介されて購入しました。存在は知っていたんですけどね。

中身を見てびっくり。
肥料の生産から輸入状況や消費動向、需給の推移、価格や法律等が全て網羅されてます。興味のある方はぜひお買い求めいただくといいですよ。

肥料原料の国別輸入量

ポケット肥料要覧-2017/2018-に記載されている肥料原料の国別輸入量を順に見ていきたいと思います。TPP参加国は国名の隣に(TPP)と記載します。

①塩化加里(塩化カリウム)

カナダ(TPP)    326,255t
ロシア                  42,234t
ベラルーシ           33,637t
全体合計            450,345t(内TPP参加国合計 326,255t)

塩化加里の72.4%はTPP参加国のカナダより輸入されていますね。

②硫酸加里(硫酸カリウム)

台湾                42,337t
ドイツ             14,232t
韓国                   7,783t
全体合計         74,608t(内TPP参加国合計 0t)

③りん鉱石

南アフリカ      69,507t
ヨルダン          59,575t
中国                  49,441t
全体合計       243,938t(内TPP参加国合計 0t)

④りん安(リン酸アンモニウム)

中国                           226,176t
米国                          200,692t
サウジアラビア          30.290t
全体合計                    467,221t(内TPP参加国合計 0t)

⑤重過りん酸石灰

中国     38,579t
イスラエル          8,520t
その他                     560t
全体合計           47,659t(内TPP参加国合計 0t)

⑥尿素

中国                            139,903t
マレーシア(TPP)      125,643t
カタール                        16,016t
全体合計                     288,343t(内TPP参加国合計 125,643t)

尿素に関してはTPP参加国のマレーシアからの43.6%の輸入があります。

⑦大豆油かす

中国               1,143,050t
ブラジル          230,072t
米国                  152,360t
全体合計        1,775,615t(内TPP参加国合計 0t)

⑧菜種油かす

インド              5,183t
中国                  1,654t
パキスタン          209t
全体合計          7,046t(内TPP参加国合計 0t)

⑨魚粉

ペルー(TPP)              23,119t
タイ                             21,069t
エクアドル                  17,778t
チリ(TPP)                 16,483t
全体合計                   153,736t(内TPP参加国合計 48,694t)

魚粉はTPP参加国合計で31.2%の輸入割合です。

⑩化成肥料(りん安を除く)

中国               47,000t
韓国               45,000t
ヨルダン        10,000t
ノルウェー      6,000t
アメリカ          2,000t
全体合計     125,000t(内TPP参加国合計 0t)

以上がポケット肥料要覧-2017/2018-に記載されいている肥料の輸入量に関して国別で統計が出ているものです。

意外とTPP参加国からの輸入は少ないのかなという感じですね。

この結果を見るとTPP参加国で肥料が安くなる可能性が大きいのは

塩化加里のカナダ
尿素のマレーシア

ぐらいではないでしょうか。
それよりも肥料情勢は全世界的な人口と生活水準の向上などが影響を与えそうです。

今後の肥料情勢に影響を与えること

現在、全世界の人口は70億人。

その70億人が

アメリカ大陸 10億人
ヨーロッパ  10億人
アフリカ大陸 10億人
アジア地域     40億人

住んでいる。

そして、2100年の予想では

アメリカ大陸 10億人
ヨーロッパ  10億人
アフリカ大陸 40億人
アジア地域     50億人

になるそうだ。

そして、アジア地域もアフリカ大陸の各国も間違いなく所得や生活レベルが上がっている。

これは消費の中心がアジア地域とアフリカ大陸に移行することに他ならない。

もちろん食料消費も同様でしょう。

食料品、特に生鮮野菜は、長距離輸送に向かないことや輸送コストを考えると近場で生産される方が理にかなっています。
アジア地域もアフリカ諸国もその人口を養うために農業の発展が進むでしょう。その時に大量の肥料が必要になって来ることは明白です。

そうなった時に、日本にどの程度の肥料がどのくらいの価格で輸入されるのか。

このことは大きな課題と言えます。

肥料価格の高騰が農家の経営を圧迫するでしょう。

しかし、肥料価格の高騰は青果物の価格決定に直接的な関係はありません。

あくまで青果物の価格決定は、その青果物の需要と供給で決まります。

ここ数年は農家にとって、生産資材等の高騰で厳しい年になっていくかもしれません。
生産技術の低い農家(反収が低い・秀品率が低い)から農業を辞めていくことになるでしょう。

農家数が減り国産青果物の供給量が減少、輸入青果物はアジアやアフリカに需要があるのでそちらに買い負けて、日本への輸入量が激減。

そうなって初めて、国産青果物の単価がじわじわと上がり始めるはずです。

その時期までは利益が薄い状況が続くのではないでしょうか。

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