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イージス・アショアの導入は必要か?配備の本当の目的とは

皆さんこんにちは。今日もプログラミングから外れて、ミリネタで行きます。昨日、記事を公開した所、思ったよりも反響がありまして、テンションが上りましたから、昨日に引き続き今日も書いていこうと思います。

今日のテーマはズバリ、イージス・アショアです。イージス・アショアのことを知らない人のために、防衛省のサイトから引用します。

イージス・アショアは、イージス艦(BMD対応型)のBMD対応部分、すなわち、レーダー、指揮通信システム、迎撃ミサイル発射機などで構成されるミサイル防衛システム(イージス・システム)を、陸上に配備した装備品であり、大気圏外の宇宙空間を飛翔する弾道ミサイルを地上から迎撃する能力を有しています。
https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2018/html/nc020000.html

よくテレビでも陸上イージスと言われていますね。そのまんまなんですけどね。(主に北朝鮮の)弾道ミサイルを撃ち落とすための地上配備型の防衛兵器ですね。よく、「弾道ミサイルの防衛というが、すでに弾道ミサイルの防衛を担っているイージス艦があるじゃないか!必要ないだろ!」という意見もあるかと思います。

イージス・アショアは必要なのか

このテーマについては正直わかりません。防衛省の人ではないので(笑)日本国内の事情だったり、海外の事情も考慮したりして配備を決めたんでしょう。なので、正直良く分かりませんが、配備を検討している場所、その他の装備調達状況から、イージス・アショアを配備した目的はある程度推察することができます。それでは一つずつ考えてみましょう。

配備の目的の一つはアメリカを守るため

日経新聞の記事によると、

防衛省は28日、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を配備する候補地である秋田、山口両県への説明を終えた。

どうも秋田県と山口県のようです。それでは秋田県と山口県の地理的な部分を見てみましょう。

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大体この辺ですよね。それではもうちょっと縮尺を引いてみてみましょう。

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こちらは北朝鮮からグアムまでを正距方位図(距離と方位が正しい)で見て、直線で結んだ図です。そして次に、

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こちらは同じく北朝鮮からハワイまでを正距方位図で見て、直線で結んだ図です。

おや?

山口県と秋田県を通っているのは何かの偶然なのかな?

アメリカ軍の軍事的重要拠点を結ぶ線上に配備されている

ご存知の方はいるとは思いますが、グアム、ハワイはアメリカ軍の重要な軍事的拠点です。仮に日本近辺(例えば、朝鮮戦争とかね)で戦争が発生した時に、沖縄の基地は前線基地に。そして、グアムとフィリピンは前線を支える重要な後方支援の基地です。

当然アメリカ軍を敵視する軍事的組織からすれば、日本近辺でドンパチを始めると、沖縄の基地を叩くのも重要ですが、物資や兵器を運んでくる後方支援基地を叩いておく事は非常に重要な作戦となります(物資の供給を止めれば、前線の戦闘継続能力が次第に低下してくるから有利になる)。

恐らく北朝鮮なんかはこう考えているに違いありません「開戦と同時に、弾道ミサイルでグアム、それからハワイの基地も使用不能な状態にしてしまおう」

弾道ミサイルの迎撃には、真下から狙ったほうが最も有利

宇宙空間を飛んでいく弾道ミサイルを迎撃するには、真下からまっすぐ迎撃ミサイルを飛ばして撃ち落とす方法が最も技術的に簡単です。なんだか山口県と秋田県にイージス・アショアを配備する計画は、上記の件(グアム・ハワイ)とも完全に無関係、といった話では無さそうですね。配備の位置関係から、恐らくアメリカ軍基地の防衛の任務もあろうかと思います。

防衛省はイージス艦から弾道ミサイル防衛の任を解きたいと考えている?

冒頭でも述べましたが、弾道ミサイル迎撃の任は現在の所、海上自衛隊のイージス艦と陸上自衛隊のPAC3が担当しています。PAC3は射程がせいぜい20-30km程度ですから、防御の大部分は射程の長いイージス艦がカバーすることとなります。

現在イージス艦に与えられている任務は、艦隊の防空、潜水艦に対する攻撃、弾道ミサイル防衛と多岐に渡っています。ここで、戦闘艦の中では、どのようなオペレーションで戦闘を行っているのか、訓練の様子を下記のYoutubeから見ていただきたいと思います(7:00ぐらいの位置)。

動画を見ていただけたら分かりますが、潜水艦1隻に対して行う対処でも忙しく動いていることが分かります。一つの目標に対して、これだけ忙しいので、潜水艦の相手をしながら、自艦を攻撃してくる対艦ミサイルの迎撃を行い、なおかつ弾道ミサイルの対処を行うのは非常に困難であると言えるでしょう。

空母(ヘリ空母)の機動部隊を編成して艦隊護衛に集中させたい

ご存知の方はいらっしゃると思いますが、日本は事実上の空母をすでに2隻、保有しています(常に戦闘機を乗せているわけではないから、空母じゃないよって言ってます笑)。空母は単体では作戦行動を行うことはできず、必ず自艦を護衛する船団によって守られながら移動します。次のようにです(実際のいずも型護衛艦の訓練の様子)。

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しっかりと護衛されながら行動している事がお分かりいただけるでしょう。恐らく防衛省の思惑としては、イージス・アショアに弾道ミサイル防衛を任せ、イージス艦には艦隊防衛に集中させたいと考えているに違いないと思います。それはなぜか?

尖閣諸島周辺の航空優勢を保っておきたい

こちらの地図を御覧ください。

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赤枠は尖閣諸島、黄色のピンは最も尖閣諸島に近い中国空軍の基地の位置です。沖縄にも航空自衛隊の基地がありますが、この地図を見ると明らかな通り、距離的には中国空軍のほうが尖閣諸島に近い事が分かります。

現代の戦闘機は、大変早く飛ぶことができますが、非常に燃費が悪いです。なので、戦闘空域において、長く飛ぶことができる(滞空時間が長い)事は、空戦において有利なのです。つまりこの地図では、尖閣諸島周辺では中国空軍が有利ということになります。

いずも型護衛艦にF-35B(垂直離着陸が可能な最新鋭ステルス戦闘機)を搭載するという事はニュースで話題になりました。このヘリ空母にステルス戦闘機を乗せ、洋上の航空基地とすることで、地理的不利な状況を変え、航空優勢(自軍の戦闘機が自由に空を飛んで活動すること)を保っておきたいという思惑が考えられます。

その為のイージス艦から弾道ミサイル迎撃の任を解き、艦隊防空に集中させ、弾道ミサイル防衛はイージス・アショアへ。こう言うことだと思います。

という事で、結論は

尖閣諸島で有利に戦いたいから、空母を運用したい(でもアメリカ軍がうるさい)。そのためには今のイージス艦は忙しいから、任務を減らしたい。減らした任務はイージス・アショアに担当させたい。ついでにアメリカ軍の基地を守るという名目でイージス・アショアを配備して、日本が事実上の空母を持つ事を納得させたい。そういう思惑があるんじゃないのかな〜と思いました。配備、運用の事実だけを見ていけば、防衛省からの説明が無くとも、これぐらいは想像できるかなと思い、記事にして見ました。

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