恋する50男のおバカな風景-5
◆「もっと夢をみませんか」
三千円で買った欲深き兵どもの野望は、
たいした労力も必要としないまま、
はかなくも夢の跡的結末となる。
夏草に覆われた井戸に落っこちた、蝉の脱け殻のような十枚入りの封筒。
いつのまにか忘れられ、
引き換え期日も過ぎた頃、薄笑いを浮かべて現れる。
「またお会いしましたね」
次へとつなぐはずの三百円分の引換券は、単なる一枚の紙切れ。
三千円まるまる損の完敗である。
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