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都庁職員がPowerBIで約30年分の都税収入を「見える化」するまで

東京都主税局では、都税の統計情報を分かりやすく伝えるため、都税収入の主要なデータを可視化する「都税収入見える化ダッシュボード」を公開しました。

図6

「都税収入見える化ダッシュボード」は、これまで主税局が公開してきた約30年間の統計データを、視覚化してわかりやすくまとめたものです。

都税収入の決算額のほか、各税目の額、法人事業税の業種別所得金額や、固定資産税(土地・家屋)の種類別評価額など、様々なデータの推移がひと目で分かるほか、CSVデータとしてダウンロードできます

今回は、Microsoft PowerBIを用いてこのダッシュボードを作成した主税局税制部の山田さんに作成までの道のりをうかがいました。


まずは自己紹介をお願いします。

――――山田さんはこれまで都庁でどんな仕事をやってきましたか?

入都から主税局に配属され、最初の3年間は都税事務所で法人都民税・法人事業税の課税業務を行っていました。昨年度からは税制部歳入課で、都税収入額等を正確に計上するよう管理する税務統計業務を行っています。

ICTとのかかわりは特にこれまでなくて、むしろパソコンに弱いくらいでした。

今回のダッシュボードは、私が担当ではあるのですが、税制部のチームみんなで作成しました。

図12


都税収入見える化ダッシュボードについて

――――ダッシュボードを作ったきっかけや作成の目的を教えてください。

税務統計業務では、毎年「東京都税務統計年報」という統計資料を冊子で作成し、主税局ホームページでも公開しています。

ただ、基本的には当該年度のデータを掲載しており、年度を越えてデータを比較するのは難しく、さらに、数値のみのデータであるため、都民に分かりづらい、という課題がありました。

また、コロナ禍において、都税収入の推移に注目が集まったこともあり、都税収入の見える化に挑戦しました。

図1

――――作成にあたって特に力を入れたところはありますか?

構成を考えるところが、時間もかかりましたし、力をいれたところになります。膨大なデータの中から、都民にとって一番知りたい情報は何かどうすれば分かりやすいダッシュボードになるか、ということを考え、一から構成を練っていきました。素案を作成しては課内から意見をもらう、という作業を繰り返すこと数十回…。試行錯誤の結果、今のレイアウトのダッシュボードが完成しました。正解がないものを、ゼロから生み出すことの難しさを実感する経験となりました。

図13


デザインと注目ポイント

――――とても見やすいデザインですが、一般の方が見るうえで、意識したところはありますか?

とにかく「一目見たときに分かりやすいかどうか」ということを一番意識していました。

都税に詳しくない方にとっては、税目の色々なグラフを並べただけでは、それがどのような税金なのか、ピンとこないこともあるかと思います。そのため、税目の概要等の情報と、比較的関心の高い収入額のグラフをメインとした、シンプルな構成を採用し、見やすさを重視したダッシュボードとしました。

図7

デザイン面では、専門的な知識がない分、色々なホームページで公開されているダッシュボードやグラフ資料を参考にしました。配色やフォント等見やすいデザインの研究を重ね、はっきりした色使いをしつつも、コントラストが強すぎて逆にデータが見にくくならないよう心掛けていました。また、比較的ページ数が多いダッシュボードである分、各ページのデザインを統一するよう意識していました。

――――操作にあたって、注目してほしい機能などあれば教えてください。

例えば、個人都民税等については、均等割や所得割などより詳細な内訳のデータも掲載しています。そのような内訳データに遷移できるボタンを付け、そのデータのグラフを表示させることができるようになっています。

図3

また、法人事業税においては、業種別の所得金額の推移が確認できるようなグラフを作成しています。左側にあるチェックボックスから関心のある業種を選択すると、その業種にフォーカスした表示ができます。複数選択して、業種別の比較をすることも可能です。

図4


PowerBIについて

――――都庁のPowerBIを使ったダッシュボードとしては、ページ数が多いですよね。作成にはどれくらい時間がかかりましたか?

およそ3か月弱程度かかったかと思います。そもそもPowerBIを使ったことがなかったので、操作方法を学ぶところから始めました。Microsoftのヘルプページを参照したり、インターネットで検索したり、実際に操作してみて体で学ぶことも多かったです。操作のイメージがついたところで、実際にどのようなレイアウトにしていくか検討を始めたので、構想を練るところまでで1か月程度は使ってしまっていたかと思います。

また、都税全税目分のデータを約30年分掲載するということもあって、データの準備にも時間がかかりました。紙資料でしか残っていない古いデータについては膨大なデータをみんなで手分けして入力したので、レイアウト調整等諸々含めると、3か月弱程度要したと思います。レイアウト検討やデータの手入力、確認などについては、課内の協力なしには達成できない作業でした。

図2

――――作成にあたって、全部主税局職員で調べて対応されたんですか?

いえ、デジタルサービス局から、技術的なサポートを受けていました。作業を進めるうちに、自分で調べただけではどうにも分からない操作が複数あり、都度ご指導いただきました。特にwebへの公開方法やレイアウトの調整方法について、操作方法を細かく教えていただきました。

図14


最後に

――――このnoteをご覧の方にメッセージをお願いします。

今回主税局では、「都税収入見える化ダッシュボード」を作成・公開しました。約30年間分の都税収入額の推移を、初めて見た方にも分かりやすいよう、グラフで掲載しています。このダッシュボードをきっかけに、少しでも都税に関心をもっていただければ幸いです。

また、今回使用したPowerBIは、初めこそ操作方法等難しく感じるところはありますが、一度コツを掴めば、いくつかの操作だけで複数のデータを分かりやすく「見える化」できる非常に便利なツールでした。今後「見える化」に取り組みたいと考えている方がいれば、ぜひ実際に使用してみてほしいと思います。

なお、このダッシュボードでは「アンケートフォーム」を設置し、ご意見を受け付けています。都税収入のよりよい「見える化」に向けて、改善を進めていきたいと思っておりますので、ぜひご意見をお寄せください

図1


図1

――――山田さん、ありがとうございました。
今回ご紹介した「都税収入見える化ダッシュボード」は以下からご覧ください。統計データはcsvでダウンロードも可能です。ぜひ、ご活用ください。

図6

都政の構造改革推進チームのnoteでは、これまでもPowerBIを使用した「見える化」の取組を紹介してきました。今回ご紹介したダッシュボードは都庁の「都税収入」の見える化ですが、都の「財政」も見える化しています。詳細は以下のnoteをご覧ください。

主税局では、都税事務所の来所者数もダッシュボードで「見える化」しています。詳細は以下「シン・トセイ」ポータルサイトをご覧ください。

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