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圧倒的な歌声に魅了される29年

故きを温ねて新しきを知る『The Mortal』に続く上杉昇オリジナルアルバム『Dignity』が2021年5月26日発売された。敬愛するアーティストへの29年の思いのたけを綴る。

社会人駆け出しの1992年、寮生活の備品をそろえにホームセンターで聞くともなしに聞いた有線放送が耳に残った。それからWANDSの歌と知るのに時間はかからなかった。『もっと強く抱きしめたなら』CMでも耳にする。シングル3枚、アルバム1枚がリリースされていた。WANDSの楽曲すべてを作詞するボーカリスト上杉昇に度肝を抜かれ、魂の歌声のとりこになった。1993年コラボレーションシングル『果てしない夢を』でとどめを刺された。まるで一人だけ高性能マイクを使用しているかのような声量、歌唱力の高さに魅了された。満を持してWANDSファンクラブに入会し、心をはずませた。ところが最初に手にした会報は結果的に最終号となった。進化を続ける孤高のロックシンガーは自分の音楽がWANDSでは表現できない理由で脱退した。最後の入会でも甲斐はあり、始動の情報が届いた。現在に至るまで変わらずにパワーをもらっている。作詞だけでなく作曲も手掛け、ファンに迎合することなく、一番ではなく唯一を目指すと語る矜持がただただかっこいい。『防空壕』を聴いて、また一段ギアを上げた気がしたところ、前作シングル『火山灰』以降は岡野ハジメレコーディングプロデューサーを迎えたとライナーノーツにあった。新しい化学反応を感じた。技術的なことはまったく分からなくても楽しめるから音楽は素晴らしい。アルバム制作期間は今までで最長の約2年間という。2020年12月19日のライブ配信ラストの予告から待ちきれなかった。うなる感じと本人が表現するボーカルには相変わらず圧倒され、曲も心地いい。デビュー曲から今でもすべて聴きごたえのある永久保存の宝物だ。「時代が変われば敵も変わる」脳内をずっとリフレインしている。

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