【日記】仕分け 23/11/11

遺品整理の仕事内容は、大きく分けて「回収」と「仕分け」の2つに分けられる。依頼者の家から家具や物を引き上げ、それを仕分けて(例えば金属、家電、調理器具、メガネ、みたいに)然るべき場所へ持っていき処分する。
ほとんど家丸々を回収するわけだから、勿論色んなものが出てくる。とんでもなく昔のガラス写真とか、エロビデオとか、ちょっとここでは書けないようなものとか。中でもアルバムと手紙はほぼ確実に出てくる。

詳細は省くが、その人はプロのカメラマンらしきおじいちゃんだった。彼はまだ存命で、老人ホームへの転居のために我々が呼ばれたのだった。
「おばあちゃんへ おぢいちゃんより」
とその封筒には書かれていた。
「おぼえていますか?去年の12月に〇〇へカニを食べに行った時の写真です」書かれた紙と、数枚の家族写真が同封されていた。おじいちゃんとおばあちゃんと、その息子夫婦の4人が映っていた。
回収した部屋は一人暮らしだった。
おばあちゃんは既に亡くなっているんだろう。おぼえていますか?と書かれていることから終盤は認知症を患っていたのかもしれない。
おれはそういった物語を仕分けている。
金属はスクラップ屋へ、家具はリサイクルセンターへ、物語はおれのメモ帳へ運ばれていく。

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