【日記】ピンキー 23/11/06

高校生の頃、左手の小指に怪我を負ったことがある。自転車で転けて、手をついた先に金属片があり、手のひら側の第1関節のあたりを少し切ってしまったのだ。
結果的にそこまで深い傷ではなかったものの完治までは数週間かかった。
怪我の翌日。小指には痛ましい切り傷がついている。その切れた角度と色が笑っている口のように見えた為、目を2つ描いて顔としてみることにした。小指に生まれた彼を「ピンキー」と名付け、クラスメイトに見せて回った。
さて、今考えても我ながら中々悪くない自己演出だったように思う。「まぁまぁの怪我を負いながらもおふざけに転化させるユニークさと、多少の傷に動じない強者感、若干のサイコパスみ」が上手く演出されている。そう、安原は自己演出の鬼である。
小5の頃に銀魂の連載が始まり、おれは痛く銀さんに憧れた。いつ何時も飄々としてるのが一番かっこいいと思い、常にそれを心掛けた。そうして月日が経ち、大人になったおれはそんなかつての日々を「痛々しい、思い出すのも恥ずかしい黒歴史」として抱えることになったのである。
なんてことは実はなく「飄々とした理想のペルソナ」はいつの間にか癒着し、何処からが元の自分かも分からない程に同化してしまった。つまりまさに今この瞬間も黒歴史である。

人によってはこれを自己実現と解釈するかもしれない。しかし素の自分が改変された訳ではないので、誰にも本当の顔を見せられない状態とも取れる。
これは「仮面ライダーごっこをしてたらいつの間にか自分が改造されてマジの仮面ライダーになってた」ようなものなのでそれなりに辛い場面もある。本当は戦いたくないのに、怪人が現れることだってあるのだ。泣きながら雪山で殴り合うしかない場面だってあるのだ。

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