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元気に笑顔で伸び伸び騎乗すべし!藤田菜七子のスペイン女性騎手招待競走を占う

藤田菜七子騎手が、スペイン・マドリードにあるサルスエラ競馬場で開催される女性騎手招待競走に出場します。

「日本人騎手がサルスエラ競馬場で騎乗する!」

スペイン競馬ファンとしてこんなに嬉しいことはないですし、自分が頻繁に訪れていた交通アクセス最悪の競馬場に日本人騎手が来るなんて信じられません。

ちなみに、サルスエラ競馬場は国の重要文化財に指定されているほど美しい競馬場です。スペインの重要文化財にはプラド美術館・アルタミラ洞窟・トレド大聖堂といった世界遺産級の建物も含まれます。

藤田騎手が出場することになりましたが、おそらく日本人の誰も、レースのことや騎乗馬のことは分からないと思います。

そこで今回は、マドリード在住時に飽きるほどサルスエラ競馬場に行っていた僕が、『スペインの女性騎手招待競走で藤田菜七子はどこまでやれるか?』を予想していきます。

(といっても、日本からこの大会の放送を見るのは至難の業ですが……笑)


まず、藤田騎手に割り当てられた騎乗馬を見た率直な感想ですが、優勝はほぼ不可能です。優勝どころか、豪華クルーズ船のチケットがもらえる3着以内に入るのも相当厳しいでしょう。

逆に言えば、これで藤田騎手が上位に入るようなことがあれば凄すぎる……。

各レースの予想をする前に、藤田騎手には他の出場騎手に比べて不利な点が3つあることを知っておいてください。

1つ目は、サルスエラ競馬場を知らないということです。ざっくりしたイメージで言うと、東京競馬場 or 新潟競馬場をヨーロッパ仕様の芝に替えたコースなんですが、初見の競馬場でいきなり勝つのは誰にとっても難しいと思います。

2つ目は、斤量です。スペイン競馬の斤量はかなり重たいです。藤田騎手が乗る3頭も、58.5kg、62.0kg、62.0kgです。40kg台の斤量もこなせる藤田騎手は、普段以上に余計なおもりを持って騎乗しなければなりません。これは結構キツいと思います。

3つ目は、言語です。今回出場する12名のうち、英語とスペイン語のどちらも理解できないのは藤田騎手だけです。通訳がつくのかもしれませんが、初見の馬で、しかも初見の競馬場で、馬の陣営と直接コミュニケーションをとれないのは大きなハンデです。


【1回戦】
サルスエラ競馬場2R(芝1500m)

本命はジェシカ・パイファー騎乗の③カタプン(Catapúm)。2022年のシメーラ(スペイン2000ギニー)の勝ち馬です。近走は不調ですが、さすがにここでは力が抜けていると思います。

対抗はフリア・サンブディオ騎乗の①カサンドラ(Casandra)。上位カテゴリーでの好走経験があり、良馬場では安定して結果を残しています。前走は馬場が悪すぎてノーカン。

☆ 藤田騎手の⑪アトランティックノース(Atlantic North)

辛口に言えば、中途半端な走りしかできない未勝利馬です。前に行けばタレ、後ろに控えれば伸びずという感じ。ただ、カタプンとカサンドラ以外はどんぐり状態なので、こういう馬でしれっと上位を拾いたい。できれば2,3番手追走で。


【2回戦】
サルスエラ競馬場3R(芝1200m)

ここはマレーヌ・メイエ騎乗の⑧ブリボン(Bribón)が抜けて強い。抽選のときも「菜七子ブリボン引け!菜七子ブリボン引け!」と願っていたほどに、藤田騎手にこの馬が当たってほしかった……。

対抗はリリー・マリー・イーグルス騎乗の①クリッフォード(Clifford)です。信頼と安心のギリェルモ・アリスコレータ調教師の管理馬。63kgという斤量が辛いのと、1200mはちょっと短いような気もしますが、3ヶ月ぶりの前走を叩いて上澄みありと見ます。

☆ 藤田騎手の③ブルームーンアイズ(Blue Moon Eyes)

藤田騎手が乗る3頭の中でもっとも可能性のある馬
です。近5走は2,1,3,1,1,と絶好調。ですが、全部ダートの中距離なんですよ……。今回は芝の1200mなので、馬は良くても条件がかなり厳しい。スタートを決めて逃げたい。当日は晴れ予報なので、良い馬場を活かして粘れそう。


【最終戦】
サルスエラ競馬場4R(芝1500m)

本命はデニサ・シコロワ騎乗の⑤コフーフ(Kohoof)です。末脚が魅力の馬で、前走は3Rに出走するブリボンを倒して勝利しています。ただ、直線競馬のほうが合っているのは間違いないので、1500mはどうなんだろうという一抹の不安もあります。

コフーフの他にはロクな馬がいないというのが正直なところ。まぁ、対抗はジェシカ・パイファー騎乗の⑤アプスドーン(Upsdawn)でしょう。コフーフと違ってこっちは逃げ馬。枠も5枠なので、スタートさえちゃんと出れば気持ちよく先頭を走れそう。

☆ 藤田騎手の③ザグレーウルフ(The Grey Wolf)

もともとイギリスで走っていた馬です。スペイン移籍後は6,8,7,7,8,6着。うん……その……なんて言うかな……出走するかぎり可能性はゼロじゃないよね。


全体的に見て、もっとも騎乗馬に恵まれたのはアメリカのジェシカ・パイファー騎手だと思います。1回戦でカタプン、最終戦でアプスドーンを持っているのは強いし、2回戦で乗る⑪ボロンドン(Borondon)もまずまずの質です。1着、5着、2着くらいで優勝、そんなシナリオになりそうな予感。

藤田騎手が上位に食いこむためには、2回戦のブルームーンアイズで絶対に2着以上を取ることが必須です。できれば、1回戦のアトランティックノースでのラッキー3,4,5着もほしい。これで合計20ポイント前後になるので、他の騎手の成績次第で3位を狙えるという感じでしょうか。

ただ、結果はあんまり気になくていいと思うんですよね。日本の騒々しいマスコミ連中やうるさいファン連中から解放されて、怪我なく伸び伸びと楽しく騎乗することが大事だと思います。競馬じゃなくて、スペインという国・マドリードという街自体を満喫してほしい。せっかくの機会ですから。

個人的にも、藤田騎手の結果は気にしていなくて、サルスエラ競馬場というスペインの重要文化財に指定されている世界一美しい競馬場まで、日本人騎手がわざわざ足を運んで騎乗してくれるのが、1人のスペイン大好き人間としてとても嬉しいなぁと思っています。


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木下 昂也(Koya Kinoshita)
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