レイジ_アゲンスト_ドンブリ

ニンジャスレイヤーTRPG:短編シナリオ「レイジ・アゲンスト・ドンブリ」

1.初めに

 このシナリオは「ニンジャスレイヤーTRPG」のプラグイン環境に対応したシナリオである。ある程度成長したPCなら2人以下でも問題なく攻略可能だろうが、成長の壁を超えた能力値を持たないようなPCを用いる場合、よほど自信がない限り4人以上の戦力で攻略するべきだろう。

NM向け記号解説
:「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
のような「:」から太字の文章が続く形になっている文は、シナリオの進行に合わせてNMが読み上げる文であることを意味する。「:」の前に発言者の名前や、読み上げるにあたっての条件が書かれていることもある。通常の太さの説明文の中に、太字の「セリフ」が挿入されることもあり、その場合は前後の文章を見てその「セリフ」を、いつ、だれが発するべきなのか判断すること。

「イヤーッ!」(命中判定)「グワーッ!」
のように、内部に判定や条件が書かれた()で文章が区切られている場合、判定が成功するか、シチュエーションが条件に合致していないと、それに続く文章は読み上げられない。

<DKKが最も高いキャラクター>の前に、赤黒い影が現れた。
といった「条件」が<>で囲まれている箇所が出現した場合は、そこにその条件に適合するキャラクターの名前を入れる。

※当シナリオは第二版に対応したリメイク版が公開されている。

2.シナリオの概要

 ソウカイヤ傘下の暗黒メガコーポ、ドンプリ・ポン社が所有する工場の機密情報が敵対ハッカーによって漏洩したことが判明した。幸い、不正の確固たる証拠は出回っておらず、工場内部に侵入し、証拠となるデータを直接持ち帰られるなどの事態に発展しない限りもみ消すことは容易だ。しかし、有害成分の含まれるバイオマンボウのスシをマグロのスシと偽って売っていたことがジャーナリストに知られた場合、看過できぬ事態となるだろう。そこでソウカイヤ上層部は、あなたたちを急遽工場へと呼び出し、攻撃者の正体が明らかになるまで不眠不休の監視を行わせることを決定した。任務中、侵入者を発見した場合は迷わず殺害せよ、とのことである。結果次第では相応の報酬が与えられるだろう。

3.導入

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:あなたたちのいる区画は電波が遮断されており、機密情報が外部からのハッキングによって盗まれないようになっている。しかし、もしハッカーの侵入と、この区画からの脱出を許せば、即座にインターネット上に機密情報をリークされてしまうだろう。

:部屋の隅には数日分の食料が入った段ボールがあり、その隣には木人や香炉など、トレーニングに用いることのできる家具が並べられている。

:PC達は今集まったばかりです。時刻は午後5時。顔見知りかもしれないし、初対面かもしれない。お互いアイサツと、簡単な自己紹介をどうぞ。会話が一区切りついたら、時間を進めます。

 ここでNMは適当な方法で全員に時間を進めて良いかのの確認を取ること。全員がOKを出したらシナリオを進める。

トレーニング
:PC達は侵入者を待っている間、万札を支払わずに三日分のトレーニングを行うことが出来る。どの能力を鍛えるかは好きに選べるが、振り直しは不可。

:任務開始から三日目、今日も何ごともなく終わるものかと思われた、その時!

:あなたたちのニンジャ知覚力は、点検用の高台を音もなく進む2つの影を捕らえた!1人はニンジャ、1人は重サイバネのジャーナリストだ!いち早く貴方達の視線に気づいた、没個性的な黒装束のニンジャが、紫色の瞳であなたたちを見据え、憎々し気にアイサツする。

:「ドーモ、ロートバイトです」

:「お前は逃げろ。ドンブリ・ポンの暴虐の、確固たる証拠を白日の元へ晒すのだ」背後のジャーナリストはロートバイトの言葉を聞き、フロッピーディスクを持って決死の逃走を図る。「さあ来い、ソウカイヤ。俺はただでは死なんぞ」

4.侵入者

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※『捨て身』は常時発動している。

NMは「ロ」のマスにロートバイトを、「ジ」のマスにジャーナリストを配置すること。プレイヤーたちにはロートバイトのスキルをはじめから全て開示せず、「連続攻撃2」「捨て身」以外のスキルは以下のように「???」という表記で隠しておいた方が良いだろう。PC達はロートバイトから感じる不自然な威圧感の正体を探るため精神力を1点消費して、ニューロン判定【ULTRA-HARD】に挑戦してもよい。この判定を行っても手番での行動は特に制限を受けないが、挑戦できるのは1人のPCにつき1度のみである。
 この判定に成功した場合、そのPCはロートバイトがモータルの仲間がいる間はうかつに使えないような、恐るべきジツを持っている可能性に気付ける。

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 ジャーナリストを殺害した際に得られるDKKは、よほど異常なことをしない限り基本的に3である。サツバツ!が発生した場合、Wasshoi!判定の危険もあるので注意すること。ロートバイト戦は性質上、アトモスフィアがハードになった瞬間極めて不利な状況に追い込まれるので、アトモスフィアルールを採用する場合はそのことをしっかりプレイヤーに話しておいた方が良いだろう。3人で挑戦していた場合、1人倒された瞬間総崩れになることもあるかもしれない。

高レベルPC向けのオプション:高レベルのPCにとっても緊張感のあるシナリオとして動かしたい場合、NMはロートバイトに以下のスキルを与えてもよい。採用するかどうかはシナリオ開始前に決めておくこと。
◇アクマ・マウントタックル:サツバツ!の代わりに発動可能。基本的にはタツジン(ジュージツ)に付属する同名効果と同様だが、以下の違いがある。発動時に精神力を2点消費し、『素手』装備時ではなく『ヘンゲ』装備時のみ使用可能。
NPCの行動パターン ※ギミック上重要な点であるので可能な限り厳守。
:ジャーナリストはひたすら左に移動し、左の出口から脱出しようとする。可能であればショットガンでロートバイトの援護を行うだろう。
:ロートバイトは『恐怖』がジャーナリストを行動不能にしてしまうため、ジャーナリストがマップから消えるか、自身の体力が半分以下になるまでアクマ・ヘンゲ・ジツを使用しようとはしない。
NPCの行動指針 ※あくまで指針なのでNMの判断優先。
:ロートバイトは基本的に攻撃ダイスは均等に分割する。ヘンゲしていない時は3/4、ヘンゲした後は5/5と分割させるとよいだろう。回避ダイスが限られているので、体力がまだ十分残っており、かつ攻撃面が強力なジツ、スキルを持っていたり、サツバツ!の可能性が高いPCの攻撃が控えている場合は小さなダメージなら回避せず受けるかもしれない。
:ロートバイトは、ソウカイヤに自身の活動が知られた時点で自分たちの終わりが近いことは察しているので、できるかぎりソウカイニンジャを道連れにしようと動く。戦闘になれば監視カメラに映ることも避けられないだろう。

PC達がロートバイト達の動機を聞いたりなど、下記の話につなげる台詞を発した場合
:「......ヤンバナ・サシミ事件」
:「あの偽装事件でヤンバナ・サシミ社は潰れ、国内の餓死者は前年の三百倍となった。三百倍だ。そしてその直後に起こった、ドンブリ・ポン社の不自然な台頭」

:「あの事件の真相を求めるものがどれほどいるか、貴様らには想像もつくまい......!」ロートバイトは怒りに満ちた目で貴方達を見据える。

描写案
アクマヘンゲ条件達成:「オ......ノ......レ......」ロートバイトの体から不気味な煙が立ち昇る。

アクマ・ヘンゲ・ジツ:「アクマ!」ロートバイトのメンポが変形し、樹の根のような歪なキバが顔を出した!直後、その肉体は激しい黒煙を噴き出しながら8フィート超まで肥大化し、さながら古代日本民話に語られる、ヤマワロ・トロールめいた異形の怪物と化す!「オオオオォーーーン!」

:ロートバイトは樹木めいた腕で異様なカラテを構え、理性的な瞳であなたたちを見下ろした。「......さあ、どれだけ殺せるかな?」

アクマ・ヘンゲ・ジツ使用後、ジャーナリストが生き延びていた場合:「アイエエエ!?ロートバイト=サンナンデ!?コワイ!!アババババーッ!」ジャーナリストはNRS症状の閾値を超え、気絶!

アクマ・ヘンゲ・ジツ効果中の近接攻撃A:ロートバイトが<攻撃対象となったPC>に飛び掛かる!(命中判定)ロートバイトのキバが<攻撃対象となったPC>の肉を削ぎ落す!

アクマ・ヘンゲ・ジツ効果中の近接攻撃B:「イヤーッ!」丸太めいた蹴り!(命中判定)<攻撃対象となったPC>の骨が砕ける!

近接攻撃でPCを殺害した場合の攻撃描写:ロートバイトは<攻撃対象となったPC>の頭部を両腕で抑え込み、噛み砕く!

ジャーナリストの死亡描写:「アバーッ!」(状況にあった描写を挟む)フロッピー破損!

ロートバイトの爆発四散:「呪わしや......飢えよ......そして、苦しめ......!」ロートバイトの体に無数のヒビが入り、紫色の光があふれ出す。「サヨナラ!」爆発四散!

:ジャーナリストの万札を回収したPCはジャーナリストが遺した『携帯端末』に気付く。ハッキング判定【ULTRA-HARD】で有用な情報が引き出せるかもしれないが、どうやら不審な操作が行われた場合、自爆する仕様のようだ。一度でもハッキングに失敗すると端末は失われ、ハッキングに失敗したPCは体力と精神力に回避不能の1ダメージを受けてしまう。自分達でハッキングをせずに持ち帰ってソウカイヤ上層部に任せることもでき、その場合はシナリオ終了時の評価こそ上がらないものの【万札:5】が得られる。

:ハッキングに成功すると、ロートバイトとジャーナリストには、ヤンバナ・サシミ事件の責任を取ってセプクした大臣の遺族や、ヤンバナ・サシミ社の倒産がもたらした飢饉の被害者団体などの支援を受けていたことがわかる。この情報を提出すれば、その功績は大いに評価されるだろう。

5.シナリオの終了

 マップ上から敵がいなくなり、残された端末に対する処理が終わった時点でこのシナリオは終了である。成功度の基準は以下の通り。余暇は二日与えられる。アジトを持たないPCは今回の余暇に限り、シナリオ中に利用したトレーニング用の設備を自主的に警備の続きをしているという体で利用することができる。

A:敵を全滅させた上、協力者のデータを入手。【万札:30】を山分けし、
  全員の【名声:ソウカイヤ】が+3される。

B:敵を全滅させた。【万札:20】を山分けし、
  全員の【名声:ソウカイヤ】が+2される。

C:ジャーナリストのみ死亡。【万札:10】を山分けし、
  全員の【名声:ソウカイヤ】が+1される。

D:ジャーナリスト生還。報酬無し、ケジメを強いられ、
  全員の【名声:ソウカイヤ】が-1される。

おまけ.ニンジャ名鑑

◆忍◆ニンジャ名鑑#XXXX【ロートバイト】◆卓◆
ヤンバナ・サシミ事件の直後に発生した飢饉で両親と兄を失った青年。生来のタフネス、機転と、アクマニンジャ・クランのソウルがもたらした口にするのもはばかられるようなジツによってジゴクめいた環境を生き延びてきた。

セッション用Googleスプレッドシート

セッションで利用可能なマップデータ

利用規約

 NMはこのシナリオに含まれるデータを自ら作成したシナリオへ自由に流用できる。例えば「ロートバイト」が生き延びた場合、NMはそれ以降のシナリオで自由にロートバイトを登場させてよい。ただし当シナリオのデータを流用して作成したものを公開する場合、この記事を引用元として明記すること。
 リプレイ公開への制限は特にないが、可能なら事前にTwitterで「@koyazawa_ninja」に連絡を行うこと。「ダイハードテイルズ」公式以外による無断の商用利用は一部の例外を除いて原則不可。

参考資料:「ニンジャスレイヤープラス」ダイハードテイルズ

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