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日本のアイドルとは一味違うK-POP戦国時代が楽しすぎる件

9/23(金) SONGS +PLUSというNHKの番組でIVEが取り上げられているのを見ました。

IVEといえば、いわゆる”K-POP第4世代”のトップを走るニュースター。

2021年に韓国でデビューしたかと思えば、あっという間に数多くの音楽番組で1位を獲得。デビュー間もないのにすでに日本の若者たちの間ではブームを巻き起こしており、なんと今年上半期には「JC・JK流行語大賞」で”IVE”が1位となってしまいました。そして、今年10月には日本デビューが迫っているというなんたるこのスピード感。

あのTWICEですら、デビュー当初はどの音楽番組でも1位がとれず、日本でデビューするのに2年もかかっています。そのことを思えば恐ろしいほどに早い展開です。

そんなIVEに私は今どっぷりとハマってしまっています。なんといっても全身から溢れるスター特有の眩しさ(まだみんな若いのに)、ステージングの完成度、そして洗練されたビジュアル(IVEといえばやっぱりビジュアルですよね……みんな可愛い……)がたまりません。

しかし、今K-POPで素晴らしいのはIVEだけではありません。2019年にデビューしたITZY、2020年にデビューしたaespa、2021年にデビューしたIVE。そして今年2022年もKep1erNMIXXLE SSERAFIMNewJeansと数々のビッグスターが誕生しています。いつの間にかに韓国のアイドルシーンは戦国時代に突入していたのです。
(これらのグループをひとまとめにしてK-POP第4世代と呼びます)

なぜこんなに韓国のアイドルシーンは面白いのでしょうか?

NHKで放送されたIVEのドキュメンタリーにおいて最も特筆すべき点は韓国での芸能活動(特にカムバック)に密着していた点です。

というのも、今までK-POPアイドルを取り扱うドキュメンタリーは、日本での活動に密着するものがほとんど。TWICEが情熱大陸で取り上げられたときも日本でのドームツアーに密着するような内容でした。

しかし、K-POPアイドルがなぜ素晴らしいのか?あるいはなんでK-POP第4世代がこんなに面白いのか?を語りたいとき重要になるところは日本での活動がどうなのかじゃないんです。それこそ今回の番組で取り上げられたカムバックという韓国芸能界独特の文化が最重要となるのです。

韓国の芸能界は競争社会

K-POPのアイドルが韓国で新曲をリリースすることをカムバック(略してカムバ)と言います。

またK-POPのアイドルは、新曲をリリースするとそこからおよそ1か月の間連日のように放送されている各局の音楽番組に出演し、その新曲を披露します。この期間をカムバック期間と言います。
(この期間のステージ映像はYoutubeで全世界に配信されます)

そして何よりも重要なのは、音楽番組のなかで彼女たちは順位付けがされるという点。昔の日本の音楽番組ザ・ベストテンのように、各局の音楽番組が各番組ごとの基準(CD売上/番組出演数/視聴者投票/配信での再生数/SNSでの言及数)でアイドルたちを採点し、順位付けしているのです。

この順位が韓国の芸能界では非常に重要となります。というのも、良い成績が残せないと事務所判断で活動中断を余儀なくされることもあるからです。

そのためK-POPアイドルのファンは推しのグループが活動を続けられるよう、何とか音楽番組で高順位を取れるようにいろんな努力をしなくてはいけないのです。

CDを買うのはもちろんのこと、YoutubeでMVを何度も繰り返し再生し(スミンと言ったりします)、音楽番組サイトで投票を毎日行う。いわばAKB総選挙のような戦いが日々繰り広げられているのが韓国の芸能界なのです。

AKB総選挙と違うのは、それがただの個人間の闘いでは決して終わらず、コンセプトを練る事務所の大人達や楽曲を制作するクリエイターらを巻き込んだ総力戦となるというところでしょう。そのためやっぱりどうしても大手事務所が強いというのはしょうがない部分もあります。

日本の芸能界との決定的な違い

これだけではありません。韓国の芸能界と日本の芸能界の決定的な違いは特定の事務所によって音楽番組が独占されないところです。

日本の場合、男性アイドルはジャニーズ事務所がほとんど独占していて、ミュージックステーションという数少ない音楽番組もジャニーズアイドルにほとんど出演を独占されています。女性アイドルも状況はほとんど同様で、かつてはハロプロやAKB48、今は坂道グループがほとんどテレビ出演を独占している状態となっています。

これはアイドル戦国時代と呼ばれた2010年頃もまったく同様の状態で、テレビ番組に出演するのはAKB48グループばかり。秋元康を中心としたAKB48陣営が芸能界で圧倒的な権力を持ち、彼らに脅威と見なされたアイドルグループはテレビから締め出されていたのです。
(これは2000年代前半のハロプロも同様の状況だったと言えると思います)

2010年頃、非常に数多くの女性アイドルグループが各事務所からデビューしたことは確かです。しかし芸能界全体がそのような状況であったため、彼女たちは外向きには「いかに私たちがAKB48の脅威とならないニッチな存在か?」をアピールしなくてはいけなくなってしまったのです。そうしないと日本の芸能界では生き残れなかったのです。

かつての覇者モーニング娘。がフォーメーションダンスというよくわからないダンスを急にアピールしだしたり、つりビットのような非常に狭いジャンルに特化したアイドルが乱立したりしましていましたね。

そう考えてみると日本のアイドル戦国時代なんぞまったく戦国時代と呼べる状況ではなかったことがわかります。よく考えてみてください。あの時代、AKB48と他のアイドルを比較できるような機会を私たちはほとんど提供されなかったのです。彼女たちは他のアイドルと正面から戦うようなことはまったくしていなかったのです。しなくてよかったのです。

だからこそ事務所は彼女たちをわざわざお金と時間をかけてまでレッスンする必要もなかったですし、彼女たち自身も自分がダンスが踊れないとか歌が歌えないということを全く気にする必要がなかったのです。

逆にそんな彼女たちもちゃんとした環境とレッスンと本人にその気さえがあればみるみるうちに成長し、ダンスも歌もうまくなることがわかったのがPRODUCE48であり、IZ*ONEであり、宮脇咲良だったんだと思います。PRODUCE48は、韓国のアイドルファンも日本のアイドルファンと同じでビジュアルの可愛い女の子と成長物語が大好きなのがすごくわかるのですごく良いです。あれを見て韓国と日本の文化の違いなんて大してないんだなと思いました。

しかし、韓国の音楽番組は違います。韓国にはSMYGJYPHYBEという大きな力を持つ四代芸能事務所があるにはありますが、それ以外出身のアイドルも音楽番組にはバンバン出演します。

今一番旬なIVEもSTARSHIPといういわゆる四代事務所ではない事務所のアイドルですし、世界を席巻したBTSの事務所も当初は弱小事務所でした(今となっては4大芸能事務所に仲間入りしてますが)。

そうなんです。どんなに少女時代やKARA、あるいはBLACK PINKやTWICEのような王者になっても、その後も続々と現れつづける新人アーティストと延々に戦いを続けていかなくてはいけないのがK-POPの世界観なのです。

そのため、AKB48やハロプロのような卒業と加入を繰り返すようなアイドルグループは生まれてきませんし(そもそもあの方式は、一度王者になったらしばらく業界を独占できるがゆえのスタイルですよね)、日々彼女たちはダンス・ボーカルレッスンや表情管理など己のスタイルの洗練化に力を入れ続けなくてはいけないのです。

そして、たとえ誰よりも努力をしていても、素晴らしいコンセプトをもっていたとしても、それでも、いつかは古くなり世代交代の時期がやってきてしまうのです。悲しいことに日々様々なアイドルグループを見せられている韓国のファンは目が肥えてしまってるのです。

新時代の訪れ

2022年8月28日はK-POPファンにとって記念すべき日となりました。というのもSBSの音楽番組「人気歌謡」(いわゆるインガです)に大物K-POPアイドルが勢ぞろいしたのです。

この日出演したのは、アメリカを中心に世界各国で圧倒的な人気を誇るBLACKPINK、日本でも依然として高い人気を誇る第3世代の覇者TWICE、そして今をトキメク旬なアイドルIVE、そしてBTSを世に送り出した新興事務所HYBEの最新グループNewJeansの4組が一同に会したのです。

デビューしたてのNewJeans以外はみな世界的な人気をすでに確立しているまさにスーパーアイドルであったためどのグループが1位を取るのか注目されていました。

そんななか1位をとったのがなんとデビューしたてのNewJeans。もちろんカムバ週だったIVEやTWICEは対象外ですし、BLACKPINKに関してはそもそもCD発売がされていない、という非常にNewJeansにとって有利な条件ではあったもののこの結果には多くのK-POPファンが驚きました。

NewJeansは曲調からしてまったく新しいアイドルでした。そのチルさはまるで90年代の安室奈美恵が歌っていたR&Bのようですし、ビジュアルも全員長髪で統一。曲中はその長髪を流麗に使いこなし見事に魅せます。そしてファッションはまるでY2Kのスクールガールのようなスタイル。

そんな彼女たちを形容する言葉はまだこの世にはないものの、非常に洗練された新しいコンセプトを感じさせます。

第3世代以降、長年K-POP界を席巻していた覇権コンセプトはガールクラッシュ(女性が憧れるカッコよくて強い女性像)でした。そしてそのガールクラッシュの代名詞と言える存在であり続けているのがBLACKPINK。

そんなBLACKPINKをNewJeansが一回とはいえ打ち破ったということはまさに新時代の到来を予感させる出来事だったわけです。

このようなブレイクスルーを果たしたのは決してNewJeansだけではありません。近年、第4世代と呼ばれるK-POPアイドルが次々とデビューし、バラエティーに富んだコンセプトを打ち出し次々と人気を獲得しているのです。

そしてそんな彼女たちルーキーたちが、第3世代のレジェンドたち(BLACKPINKやTWICE)がばりばり現役で存在している苛烈な韓国の芸能界で互いにバチバチに競い合い次々と勝利を収めていっているのです。そんなの面白くないわけがないのです。

もっといえば、2022年はそれに加えて第2世代のレジェンド少女時代がカムバックするという事件がありました。さらに言えばKARAが11月にカムバックすることも発表されましたし、世代を超えた熱い戦いが繰り広げられることが必至です。

最後に、第4世代のK-POPアイドルたち

さいごに、第4世代のアイドルを一部軽めに紹介したいと思います。

IVE

IVEのコンセプトは「完成されたアイドルグループ」。成長を売りにする一般的なアイドルグループとは違い、はじめから完璧である完成されたアイドルグループとして売りだされました。

IVEというグループ名には、「I HAVE=IVE」という意味の中に、「私、そして私たちが持っているものを、IVEらしい堂々とした姿で見せる」という決意が込められています。

当初はSTARSHIPという当時ぱっとしないそこそこの事務所のアイドルであるという歴然とした事実と、ウォニョン・ユジンというIZ*ONEという期間限定アイドルのなかで圧倒的な人気を誇るメンバーが2人いるという事実から、かなりのグループ内格差が生まれてしまうのではという心配がされていました。(そうなってしまえば「完成型」からは程遠い存在です)

しかし、実際デビューしたIVEのメンバーはみなそれぞれが最高にビジュアルがよくて(ほんとうにみんなすごく可愛い)、自信満々のパフォーマンスを披露してくれる存在でした。今となっては完全に第4世代の覇者にそのままなってしまうような勢いです。

aespa

aespaはかつてSM帝国と呼ばれたほど韓国では巨大な存在である巨大事務所SMエンターテインメントからデビューした第4世代のアイドルです。

aespaのコンセプトは「自分のもう一人の自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験する」というもの。正直、第4世代のアイドルのなかでも突出して奇怪なコンセプトで当初は批判されたりもしていました。そこには、とにかく壮大でSF映画のような設定が存在します。

aespaのメンバーにはそれぞれにアバター「æ」が存在します。メンバーとæは「SYNK(シンク)」を通じてお互い通じることができます。メンバーとaeは、「P.O.S」と呼ばれるシンクホールで、現実世界と仮想世界を行き来する「REKALL(リコール)」を行うこともできます。そして、FLAT(仮想世界)の向こうには、無定形かつ無限の領域である「KWANGYA(荒野)」が広がっているというのです。これらの設定はaespaの楽曲の歌詞に反映されています。

難解で中二病的な世界観もaespaの魅力ですが、それ以上にやっぱりパフォーマンスのレベルが非常に高く4人のメンバーのビジュアルが非常によい点が人気につながっているように思います。

特に日本ではそのバチバチのパフォーマンス(歌声がすごく良い)と、普段のキュルキュルで可愛い様子のそのギャップからウィンターというメンバーが人気です。aespaもIVEと同様に非常に高い人気があります。

ITZY

ITZYはTWICEを生み出した巨大事務所JYPから誕生した第4世代の実力派K-POPアイドルです。

ITZYのコンセプトは「君たちが望むもの、すべてあるよね?あるよ!」というもの。その強気なコンセプトと同様聴き手を鼓舞するような非常に力強い楽曲が多いことが特徴です。

特にWANNABEの歌詞は最高で、
「誰がなんと言おうと私は私!私はただ“私”になりたいの」「何かになろうとする必要はない 私は私でいる時が完璧だから」
「平凡に生きようと、そうじゃなかろうと、放っておいて どうせ私が生きていくの 私の人生は私のものだから」
という歌詞は何度聞いても元気を貰えます。

最新曲のスニーカーズという曲では、あまりITZYの良さは発揮されていませんが今後が楽しみなK-POPアイドルです。

また、JYPからは2022年に別の新しいアイドルグループNMIXXが誕生しています。「新しい時代を担当する最上の組み合わせ」というコンセプトで、その高い実力でミックスポップという新しくも難解な音楽ジャンルの曲を歌いこなします。


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