デジカメUI: UIアーキテクチャは複雑”快喜”

入手から一週間、ようやく近くの公園で野鳥の撮影をおこない、機能と全体の使い勝手の確認をすることができた。噂どおりの手振れ補正とフォーカス性能で、撮影前後にメニューでカスタマイズして使い勝手もかなり上げることができた。
それらを踏まえて、機能の設定や実行をおこなうUI全体についてまとめてみる。

カメラにはモードダイヤルやファンクションダイヤルのようにハードウェアとして実装されているもの(私の会社ではSUI:ソリッド・ユーザーインターフェイスと呼んでいる)と、表示デバイス(モニターやファインダー)と操作デバイス(十字キーやダイヤル、タッチ)を組み合わせて実装するGUIが混在するのが一般的である。

これは、PCアプリで画面上にボタンが表示されている機能と、メニューバーやハンバーガーメニューの中に畳み込まれている機能があるのと基本的には同じ考え方で、「ユーザーワークフロー分類」によって撮影中に変更する機能や、撮影結果に大きく影響する設定をSUIにしている。
それに対して環境(機器)設定のようなものは変更頻度が低く、撮影前に設定をおこなうものはGUIにしており、一般に上級機種になるほどSUIの種類が増える傾向にある。

SUIは機能内容が固定されてしまったり、撮影中に使いたい機能はユーザーごとに異なっていたり、カメラが小型化しモニタが大型化する中で十分なSUIを実装できないため、撮影中に使用する機能の一部をGUIで操作することになる。
その結果、撮影中に使うメニューとそれ以外のメニューができ、「ファンクションメニュー(Func)」「(セッティング)メニュー(Menu)」が自然にできてくる。

さらに、操作の結果がどのタイミングで実行されるのかによって大きく3つに分類することができる。
絞りやシャッター速のように、シャッターを切ったときに反映されるもの、
露出補正やホワイトバランスのように、ファインダー表示に反映されるもの、
AEロックやMFなど、シャッターとは関係なしに即実行されるもの、に分けることができる。
内部設定値の変更という意味では全て即実行であるが、概念的に3つに分けることで、ダイレクト操作の必要性やメニュー配置に利用される。

並列的な操作、積み上げていく愉しみ

複数のパラメータの組み合わせでできている表現を1つのモードにまとめれば、シンプルな操作で結果を得ることができるが、ユーザーは何が起きているかは分からず「特別」なものにはなりにくい。

逆に、全てをユーザーにやらせようとしても、被写体と向き合っているときに沢山の操作を行うことは難しい。
事前に操作をしてカスタム設定を作成し、現場での対応やひらめきを瞬時に実現するために並列的なUIを使いこなせれば「特別」なものになる。

少しづつ積み上げていくためには、組み合わせによる設定の制約は少ないほど良い。言い換えれば組み合わせができるほど楽しみが大きくなる
事前カスタムと現場設定のサイクルが経験値の向上と共に連続的に積みあがっていくUIは一見複雑に感じるが、ステップアップしていく体験の中ではチャレンジは必要だが複雑さを感じたりはしないものである。

LUMIX DC-G9はUIモンスターだ

基本的には上記したデジカメのUIアーキテクチャ通りである。
上位機種らしくSUIが多く、CustomモードやFnキーが多く、QuickメニューやMyメニュー、タッチFuncといったカスタムできるメニューもある。
UI階層を持ちつつ、ユーザーや撮影目的によって求められる機能や操作が違うところをカスタムによって吸収しようという思想である。

この体系は、柔軟性があり使いこなせれば威力を発揮するが、一方で複雑で混沌とした印象を与えてしまう。
せっかくカメラ設定の書出し/読込みができるのだから、カスタムのユーザーコミュニティができると、上級者が初心者から撮影目的を聞き、カメラ設定を渡して使い方を指南するようなことができれば楽しさにつなげることができるはずだ。

またこれから発売されるであろうG9のムック本に、どの程度カスタムのノウハウが書かれるのか楽しみである。機能と撮影結果の紹介に終わるのではなく、各機能とUIを有機的に結び付け、ユーザーが現場で実行できるところまでガイドをして欲しいとUIオタクとしては思っている。

最後に私が設定している内容をいくつか書き出しておく。

さらに実践投入するなかで、私の具体的なカスタム内容が固まってきたら、また記事を書くつもりである。

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コメント2件

いつも勉強させていただいてます。昨今のカメラは基本がパラメーターモンスターなので、交通整理がハンパなさそうですね。この辺、プロのためのきめ細かなチューニングと、AIでなんとなくワンボタンの綱引きがとても興味深いです。
コメントありがとうございます。カメラは人間の複雑なメンタリティーを具現化したような存在です。
全自動の洗濯機や炊飯器のようにシャッターを押すだけで普通に満足できる写真が撮れるようになったにも関わらず、自分の何かを自慢したくて、複雑な機能を求めたり、難しいシーンの撮影に挑戦したりするための道具になっています。(失敗量と成功価値の比例関係)
将来AIでサポートするようになるとしても、ビッグデータ的な「みんなと一緒」というのではなく、「自分らしい」表現を学んでいくパーソナルAIでなけらばならないと考えていす。(第二世代のAIを引っ張っていくのはカメラかもしれません)
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