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Cosmic Designプロトタイピングツールの設計図(仮)

システムデザインのためのツールにはどんなものがあるか考えてみました。

通常プロダクトデザインの開発プロセスでは、計画(企画)からワイヤーフレームのプロトタイプを作り、PC上、デバイス上、環境内という風に、リアリティを上げていきながら検証と改良を繰り返すプロセスがとられます。

それに対してシステムデザインでは、ビジネスの投資が大きく、長期的なエコシステムになるにもかかわらず、いまだにパワーポイントで絵を描き、エクセルで仕様書を書き、ワードでそれらしい企画書にまとめることで進められています。デジタルツールを使っていますが、内容としては紙に書いているのと変わらない現状です。

このような状況にあるのは、これまで世の中がゆっくり進んできたからです。周辺の環境も大きな変化がなく、とりあえず製品を出し少しづつ改善していけば、そのうち上手くいくということで成り立っていました。


複雑なシステムにデザインツールで立ち向かう

2000年前後からさまざまなものがデジタル化し、次は知能化していくことで、製品をとりまく環境の変化はどんどん大きく早くなっています。もはやシステムを含めた開発をおこなわなければ、浦島太郎な製品を送り出してしまうことになってしまいます。

システム全体をデザインしそこから製品をデザインしていくか、または製品をデザインするときに周辺のシステムとの関係をきちんと構築しておく必要があります。

製品開発は、その内部の構成を作り上げるだけでも大変な作業であるため、そのことだけに手一杯になってしまいますが、開発上流でしっかりとシステムについてデザインしておけば、適切な仕様に向けた製品開発をおこなうことができます。

システムデザインは複雑さが付きまとっていますが、構造的には製品の内部の複雑さと同様のものと考えることができます。

ここ数年で、製品開発のための開発環境は、モノ作りのための開発ツールから、より上流のモデリング/プロトタイピングツールに注目が集まっています。

その代表がAdobeXDです。オブジェクトの扱いがシンボル化からコンポーネントに拡張したことで、よりオブジェクト指向のデザインツールになりました。グラフィックのレイヤー機能よりも先に実装されたことからもツールとしてのコンセプトが分かります。

製品開発のためのデザインシステムはAtomic Designという体系によって整理されツール化されました。同じようにシステムのデザインシステムではCosmic Designという体系で整理することができるため、近いうちにツール化されると期待しています。


デザインツールに期待すること

大きく抜けているのが、システムの詳細を設計するツールとそれを体験できるプロトタイピングするツールです。

Atomic Designの領域でのプロトタイピングを拡張すれば、複数製品の連携や、サービス、コミュニティ、ユーザー(人間)との連携モデルを作り体験できると考えています。

1つのアプリで全て作ることもできますが、階層ごとに複数のツールで作業を分ける方が現実的です。



ユーザー、環境、製品の関係性を定義できる

システムに登場する全ての要素をオブジェクトにして、役割や関係性を記述できるようにします。

役割や関係性は、時間によって変化していきますのでタイムラインビューによってジャーニーマップ/ワークフローも記述していきます。

特に長期的なジャーニーマップに、製品を使うための知識情報、利用機会(利用動機)、事後活用などを含めることで、最近のメディアミックス的なサービス連携のデザインにも利用できるようになります。


製品同士のAPIを定義できる

始めは、1つの製品の中の複数機能として考えていたものを、簡単に複数の製品に分解でき、その時には機能間のやり取りを共通変数として扱うことができます。

さらに、機能の詳細を定義していくことで、最終的には製品のAPIとして実装されます。

製品同士を結び付ける

Behanceのようなオープンデータのプラットフォームに、自分の製品が提供できる機能や、欲しい機能を登録することで、システムを組む相手を探し出してくれるサービスが期待できます。

自分たちでシステムの全てを開発する必要はなく、プロトタイピングツールでシステムの関係モデルを定義すれば、オープンイノベーションを推進できるようになって欲しいと思います。


今は存在しないツールの話を、とりとめもなく書きましたが、これからCosmic Design領域のデザインを目指すデザイナーを育てながら、同時にツール会社にリクエストを続けていきたいと思います。

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