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Logicoolが考える「働き方改革」の話を聞いてきた

デザイン界隈でAdobeMaxに参加された方にはメールが送られていたと思うが、あのLogicoolから製品展示会の案内があったので行ってみた。

マウスやキーボードについては「UIデバイス研究家」としてLogicoolの製品も良く知っているが、今回興味をもったのは「働き方改革」がテーマになっていたからだ。

最近話題の移動中にHololensでエクエルを使ってしまう「エクストリームコンピューティング」用デバイスか?
いやいや、きっと大型モニタに対してチームでアイデアを構築していける「マルチユーザーコンピューティング」用デバイスか?
と想像力を働かせたが、
そんな新製品があればCESで発表しているはずなので一旦落ち着いて、今の仕事がやり易くなるなら行ってみようと思いなおした。
もう一つ、私は会社のデザイン部門のPC環境の面倒をみるメンバーになっていて、Windows10への移行の際に部門全員に「タッチとペン」に対応したPCを導入しクリエイティブワークを少し進化させた経験があったので、その第二弾としてUIハードウェアの環境改善に対する興味があった。


都会のド真ん中 Logicoolオフィスに潜入!

六本木一丁目駅から少し歩いた場所にオフィスがある。

エントランスや廊下に製品を並べた棚があり、オシャレな雰囲気を醸し出している。いわゆる「都会のオフィス」といった感じだ。
朝から工房でプロトタイピングしていた身としては「働き方って色々だな」と思ったりする。

オフィスの会議室に既存の製品を並べて、自由に使ってよいというスタイルで、何台かPCも準備されていた。

会議室に入り名前を告げると「あとはご自由に」と放置プレイとなったので「???」となってしまった。

そもそも参加した理由が、製品と働き方改革のつながりを知ることだったので、まずは社員の方からお話を伺うことにした。

Logicoolが考える「働き方改革」とは
高級マウスや高級キーボードには、ボタンやダイヤルなどの操作デバイスがついており、それらを活用することで、手を動かす量が減り結果的に働き方改革につながるという主旨でした。

また、キーボードなどは、パンタグラフ式などメカニカルにしっかりしたものに変えれば、キーの取りこぼしなどが減り、修正作業が減ることでも効果があるとの話でした。

同様の意見を持ち個人的にもマウスとキーボードに多額の投資をしてきた身としては、もちろんお話の内容は分かるのだが、課題はその導入方法にあると感じた。
今のところは個人に訴えることで、個人が購入し会社で使ってもらうのが中心で、特に企業のIT部門に標準デバイスとして導入するストーリーではないとのことでした。

いやいや、そこは頑張ってほしい

近年のコンプライアンス、セキュリティー向上などの流れの中で、個人デバイスを会社で使いにくい(使ってはいけない)というところも増えてきているように思うので、このあたりは個人ルートではなくLogicool側から企業にアプローチしてもらえると助かる人は沢山いると思う。

2年前に法人担当ができ会社導入のルートはあるらしいのですが、マウスやキーボードは個人の手の大きさや、業務内容によって最適なものが違うということで、一括導入と相性が悪いとのことでした。

なるほどと納得したのですが、だからこそ、Logicoolのようにラインナップがそろったブランドが企業と契約することで働く人が自由にデバイスを選択できる方法がとれれば良いなと思いました。

「ライフスタイルデザイン・カンパニー」だったか正確な言葉は忘れてしまったが、道具としての機能性品質だけでなく、オフィスをオシャレな空間にしたり、スタイリッシュなデザインのものによって、「気持ちのスイッチを入れる」こともLogicoolが重視しているポイントであるとのお話でした。

個人的に引っかかった製品

今回は秘密保持契約を結んで将来の製品を見せてもらう会ではないので、基本的には全て店頭で確認できるものばかりなのだが、いくつか気になった製品とその活用方法や私が欲しい機能について紹介しておく。

プレゼンリモコン 「Spotlight」

先日あるセミナーでこれを2台使って2箇所からパワポを操作しているのを見て興味があったので、その他の機能が複数台操作でどのように動作するのか確認したところ、あっさりと動いてしまった。

現在のところ、PCからはドライバーを通して1台のデバイスの操作に見えているようであるが、将来それぞれのデバイスのIDを認識して、複数の人がプレゼンやディスカッションに参加できるようになると新しい展開ができると思う。

研究所のティータイムに、ホワイトボードに向かってみんなでディスカッションするように、大型モニタの前や、他人のPCに入り込んで、場所を指示したりできるようにしていくことで、
単なる待遇・環境改善というレベルの働き方改革ではなく、人類が言語によって共同作業を可能にしたにもかかわらず、近年ではオフィスに行っても黙々と目の前のPCの操作をしているという状況から、
もう一度PCが存在する環境で人々が共同作業をおこなえる「クリエイティビティ・ワークスタイル改革」につながっていくのではないかと期待している。

ダイヤルつきキーボード 「Craft」

基本的にはSurfceなどのダイヤルデバイスと同じ動きをするものが左上に付いている。これは独自規格というよりもマウスなどと同じようにWindowsが持つ標準のインプットデバイスで、共通規格でありながら各製品のドライバーやユーティリティを持つこともできるものである。

現在のところ、Adobeのクリエイティブツール、Microsoftのオフィスツールが対応しているみたいである。
(3D、その他のアプリについては不明)

この製品の特長はダイヤルだけでなく、キーそのものも打鍵感の良いものになっている。いわゆる高級キーボードとなっている。
ところが「デザイナーはあんまり文字とか打たないでしょ」と思っているのか、文字打ち職人(プログラマーを含む)としては、ちょっとキーボードの高さとストロークの関係が気になった。

スペースキーを押し込んだときに、フレームの角に指がわずかに当たってしまう。他の指と違って親指は水平に近い形で押すことになるので気になった。
最近は薄型のキーボードを好む人が増えているようだが、長時間使うとどうなるか試してみたい。
(他のキーボードでも指が当たるものはあるので、素材と形状の問題なのかもしれない)

また左側のCtrlキーはデザイナーにとってのホームポジションであるが、左下の角が丸くなっていることがどのように影響するのか気になった。

大きく丸くなっていることで「指置き」として柔らかく感じるのか、それとも「打ちこぼし(指外れ)」が発生してしまうのか、会場でちょっと触っただけでは良く分からなかった。実際の業務で長期モニターしてみる必要がある。

私の業務では、プロトタイプというレベルだが、グラフィックツールでGUIを作り、画面実装と動作のためのプログラムを書き、3D-CADでデバイスのデザインをして、一つに組み上げるといのを数週間単位で繰り返しており、全てが「高速に確実に」作業ができることが求められる。
実際にデザインエンジニアと呼ばれる人たちはこれに違い作業を行っていると思うので、その人たちが満足できる商品を目指してほしい。

もう一つプロトタイピングの視点で見たときに、新たな操作デバイス(クリエイティブ入力ダイヤル)は、それを活用した既存のアプリケーションやソリューションを体験するだけでなく、さらに新しい製品のプロトタイピングに活用できることも望まれる。
クリエーターを本気でサポートしてくれるのであれば、ユーティリティーソフトでのカスタマイズの幅を大きくしてもらえると面白いことができそうである。もちろんそれらのカスタマイズデータはコミュニティにシェアされ、新しい価値を生み出していくはずである。

最後に

くじ引きで長期モニターできる(ようするにプレゼントだが)製品が決まり、お持ち帰りとなる。

私の場合は「静音マウス M331 SILENT PLUS」だった。
普通に良いマウスであるが、仕事で使ってパフォーマンスが上がるという検証には特に使えないのでちょっと残念ではあった。

Logicoolの人が言うようにボタンとかダイヤルを使うことでどの程度仕事のパフォーマンスが上がるのか体験してみたかったので、業務内容や興味によって製品が選べると良かった。
(法人担当経由で借りることもできるようなのでちょっと相談してみる価値はあるかもしれない)


今回足を運んでお話をうかがうことで、「働き方改革」は国、企業、個人が連携し「意識・制度・環境」を改善していくものであるが、
その中で制度や体制のような大きなことではなく、UIデバイスの機能や品質に着目して、日常業務の効率性・快適性を改善をするという考え方はLogicoolらしいものであると感じた。

そして私は、LogicoolにUIデバイスのパイオニアとして、マスマーケットだけでなく、UI関係者やクリエーターともっともっと色々なレイヤーでつながって欲しいと期待しています!

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