ポスト「京」の名称を考えてみた話し
理化学研究所が2021年の共用開始を目指して開発中の「スーパーコンピュータ」の名称を募集中です。
わたし”考える人”としては、さっそく考えてみました。
まずは現行の「京」について理解し、その100倍スゴイという「ポスト京」がどれほどスゴイかについて想像してみましょう。
スーパーコンピュータとの再開
その前に、私がスーパーコンピュータに興味を持った背景を説明しておきます。
デザインガイドラインを書いていた時に、突き詰めていくと、過去の製品の集約では、これから開発する製品の役には立たないという問題にぶつかり、未来のビジョンをベースにしたガイドラインに興味を持ちました。
その過程で、未来ビジョナリーであるレイ・カーツワイルの「ポスト・ヒューマン誕生」を読み、その中でシンギュラリティに出会い、さらにそのビジョンをベースにした「エクサスケールの衝撃」という本を読みました。
もちろん、コンピュータの歴史としてCrayコンピュータなどは知っていたのですが、新しい文脈でスーパーコンピュータと再開し、人間と機械との新しい関係が始まることにワクワクしたのです。
「京」って何?
「京(けい)」とは、一、十、百、千、万、億、兆・・・という数字の単位の一つで、兆の次にくる10の16乗が京になります。
なかなか日常で聞かない単位ですが、コンピュータの世界では、「T(テラ)」がちょうど一兆になります。
HDDなどは3TBなどといって売っていますので余り意識しないうちに日常的な単位になっていたのです。
3TBのHDDを一杯にする写真を撮ることはなかなか大変なのですが、京はこの量の計算を「1秒間」におこなうことができます。
実際の利用では、何時間何日と計算をおこなうことになるので、その計算総数は想像できないようなものになります。
この単位と同じ名前を持つ「京」は理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピュータです。
この「京」も世界1位になるほどのスゴイマシンなのですが、それでもまだまだ計算が必要な分野があるため、京の次世代機としてポスト京を開発することになりました。
私たちが古くなったスマホを買い替えるときには、2倍程度性能や容量がアップしていると、とりあえず満足感が高くなります。体感的に違いが分かったり、出来ることが変わってくるからです。
ところがポスト京は現行京の100倍の性能を目指すというのです。
ポスト京が現在の100倍スゴイということは、10の18乗=百京=エクサということになります。
あまりにも凄すぎて体感的に分からなくなるほどなのです。
京の名前は「単位」、では次は・・・
単位の名前を持つ京ですが、既にどのくらい凄いのか普通の人には分からない領域になっていますので、何か他の視点で考える必要がありそうです。(そうしないと「エクサ」が最有力候補ということになってしまいます)
名称を考えるにあたり、「百京(エクサ)」で何が見えるようになるのか?何のために見るのか?を考える必要があると思いました。
最初のイメージから言葉を探してみる
最初の考えたのが「複雑」なものごとをの「連鎖」を読み解くことでした。
宇宙の仕組みから素粒子の仕組みまで、すべては連鎖し世界を形作っています。
いまは別々のものとして意識されているものも、その本質を突き詰めていくと連鎖の世界の中で役割をもっていることに気づくことができるはずです。
ポスト京はそんな期待に応えてくれるのではないかと思っています。
連鎖、連携
暗黒物質など見えないものごとを見るためには、要素を直接みるのではなくものごとの連鎖で起きていることから推定していくことが求められます。
ディープラーニング技術ができ、連鎖結果を大量に学習することで、その中から本質を抽出できたように使うことができるようになりました。
ポスト京では、これまで分からなかった連鎖の仕組みの発見に活用していってもらいたいと思います。
智慧、慧眼
智慧とはものごとの本質を見つけようとすることです。単なる実用・応用とは違う次元でものごとを捉えようとする活動です。
純粋に本質を追及する活動は、直接私たちの生活に関係がなくても、私たちの世界の認識を変え、行動をかえていくことになります。
ポスト京では、事象の理解だけでなく、本質の理解につながる成果を期待しています。
機織り、意識
シミュレーションでは計算のメッシュを細かくしていくことでより高精度の結果を得ることができます。
また織物のイメージは、ものごとが絡み合い世界を作り出している象徴して捉えることができ、これからAI技術が挑戦していく脳内の意識もまた無数の経験が組み合わされ作られています。
ポスト京によって、事象と意識の世界を解明していくことが期待されます。
結晶
ものごとを分析し純粋な要素にまで分解することで私たちは、世界の成り立ちと仕組みにつてい理解をしてきました。
結晶とは、バラバラだったものごとが結合して1つのものになった状態です。結晶化するためには基本要素にまで分解し接続可能な関係を構築することが求められます。
ポスト京によって、この世界が一つの結晶であることを示して欲しいと思います。
森羅万象、曼荼羅、百景
世界の事象を一つにして扱う努力は昔からおこなわれており、人間は要素化と構造化に取り組んできました。
またその活動は、天体のように目に見える事象だけでなく、精神にも何かの世界があると考えてきました。
私たちはいよいよポスト京によって、宇宙の暗黒物質、物質とエネルギーの素粒子、私たちの意識について解き明かすことができるでしょか。
さっそく応募してみる
応募はWebサイトからおこなうことができます。「名称」「よみがな」「名称の解説」を入力します。(その他氏名などの入力も必要です)
応募期間は 2019年2月15日(金)から4月8日(月) 17時までで、複数の応募ができますので、思い付いたら気軽に送れます。
私は上の言葉から、3案ほど応募してみました。
発表は5月の末ごろだそうです。名称が採用されても特に賞金がもらえたり、除幕式に招待されたりしませんが、記念品がもらえますので、孫の代まで自慢はできそうです。
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