見出し画像

ネオノスタルジーはモノクロ写真の進化系(UX的に)

モノクロと言っても白黒の世界ではありません。ピンクとグリーンの世界です。

現在ネオノスタルジーで撮影できるカメラは2機種しかありません。その中でもOM-D E-M1Xは一眼スタイルで撮影できる唯一のカメラです。

私はこれまで、他のカメラで撮影した写真を画像編集アプリ「Olympus Workspace」を使ってネオノスタルジーの処理をかけて練習してきました。

10連休にM1Xを借用したことは他の記事で書いていますが、その目的の一つとしてネオノスタルジーを実際の撮影状況で楽しめるのか確かめてみたいというのがありました。

今回、昭和記念公園、秋葉原、皇居、庭園美術館など何ヵ所かで撮影をしてみた結論としては、記事のタイトルにもあるように、モノクロ写真を撮るような体験だと思いました。

デジタルで生まれたモノクロ写真の楽しみ方

フィルムで撮影していたときは適正露出に撮影することが操作の中心で、その後暗室で明るさの違うプリントをして選ぶという感じでしたが、
デジタルになり、露出が背面モニタで撮影前に確認できるようになりました。さらにEVFファインダーで没入感が増し、表示の品質も飛躍的に高まったことで、モノクロ写真の撮り方が劇的に変わってきました。

カラー写真では明暗の境界線という認識はほとんどなく色に対して白飛び/黒潰れにならないように微調整をする程度ですが、モノクロ写真ではモニタ表示を見ながら露出補正を大胆におこない白と黒の境界線を見つけていく意識に変わります。

モニタで確認できることでリスクなしに使いこなすことができるため、現在多くのデジカメでは5段分の表現ができるようになっています。

つまりモノクロ写真はデジカメの特性を活かした撮影モードの一つであり、各社が複数のモノクロ表現のモードを持つようになり、新たな競争領域になっているのです。

肩から腕のラインの陰影を意識して撮影するのがモノクロ写真の楽しみ方。


ネオノスタルジーも同じ意識だった

今回M1Xで高性能なファインダーを使って撮影するなかで、グリーンとピンクというよりは2つの世界の境界線を探る楽しさを味わうことができました。

通常のカラー写真では、さっきまで赤だった場所が急に青になったりはしません。ところがネオノスタルジーでは、白い壁のわずかな影やグラデーションがピンクからグリーンに世界が反転します。

この変化は、明暗の変化よりも人の意識に対して強い変化を感じさせます。
これほどの変化が画面内に同居しながらまとまりがあるのはピンクもグリーンも温かみのある色だからです。単に対極の色を選んでいるのではなく、温度感を統一しているといえます。(ここがノスタルジーというコンセプトの部分なのでしょう)

もう一つ大切なことは、レンズの前の物理的なフィルターをシミュレーションするのではなく、リトマス試験紙のような「化学反応」を感じることができるということです。
まさにフィルム時代におこなわれていた化学処理にのように、初めから結果が予想できるのはなく、化学反応を楽しみなががら実験している感覚がもう一つのノスタルジーといえるのです。

撮影してみて一つ不満点をあげるとすればネオノスタルジーの時には露出補正のステップを1/3段階ではなく、1/5か1/6により細かくして欲しいと思いました。
特に壁や天井にわずかなグラデーションがある場合に、その奥行き感をコントロールするときにステップが粗いと思うことが何度かありました。

硬派で奥深い撮影モード

最初に搭載されたのがPenのPL9だったこともあり、ネオノスタルジーを可愛い系のアートフィルターだと思っている人も多いかもしれませんが、案外硬派で奥の深い撮影モードなのかもしれません。

どこで露出補正の指を止めるのか、ピンクの世界とグリーンの世界のどちら側を選ぶのかは撮影者に委ねられており、私も何度もダイヤルを行ったり来たりさせてしまいました。

搭載機種が少ないため、まだ作品を見かけることがあまりありません。従来のアートフィルターのように選んでさっと撮るという使い方でもいいのですが、積極的に表現をコントロールした凄い作品に出会えるのを楽しみにしています。

私は既に返却してしまいましたが、M1Xユーザーの皆様よろしくお願いします。年末にもう一度借りる予定なのでその時までにイメージを膨らましておきたいと思います。

強いコントラスト感、色に対しては派手に表現、普通に撮影するとまとまらないシーンをノスタルジーでまとめてしまう

おまけ

以前の記事で紹介した、モノクロ写真にOLYMPUS Workspaceを使ってネオノスタルジーを掛けた写真。やはりこの使い方は好き
カメラでもこれが撮れたらいいのにと密かに思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?