デジカメUI :アーキテクチャ以前に大切なこと

デジカメのUIアーキテクチャの話として、これまで具体的な操作方法やその目的を混在させて記事にしてたが、「まとめ第二弾」としてアーキテクチャを作るときに拠り所とする思想・階層について書いてみる。

映像文化から操作デバイスまで

この図はビジネス目線で書いたため、目的の上位を「社会・文化」としたが、個人の価値で考えればそこに「人生・歴史」がくる。

少し解説を加えると、写真に価値が認められなければ、撮影行為への取り組みも、カメラ(撮影機材)へのこだわりも生まれず負のスパイラルに入っていってしまう。
逆から言えば、価値ある写真が撮れなければ社会で価値が認められることはないということでもある。

個人レベルで言い換えれば、人生に価値を感じなければ写真を撮る気持ちになれないし、また写真によって人生の価値に気づくこともあるといえる。

社会、個人のいづれにおいても、写真はより大きな活動に深く関わり、UIアーキテクチャはその価値を実現するためのフレームワークといえる。
いくつもの文脈を大きな文脈で結び付けることで社会に貢献し、長期的なビジネスが可能になり、ユーザーを喜ばすことができるようになる。

技術ビジョンではなく、文化ビジョンを持つ

メーカーで「ビジョン」というと、会社の成長(売上1000億円とか)や、AIの活用(認識能力の向上)のような技術視点での10年から20年先の目標を掲げてしまうことは多いと思う。

しかし実際は、会社の規模や新技術によって、ユーザーが写真を撮ろうと思ったり、カメラにこだわりをもったりする訳ではない。
ユーザーが「写真を撮ろう」とする動議(メンタリティ)は、とても複雑で、社会的・時間的価値を前提とした非常に人間的なものであることが分かる。

メーカーも積極的に、写真教室を開催したり、ショールームにギャラリーを併設したりして、確かに写真文化への貢献をおこなっているが、それが文化ビジョンなのかというと少し疑問がある。(将来の文化に影響を与えていることは間違いないが・・・)

人と写真/カメラとの「関係性」を変革し、新しい写真表現と新しい楽しみ方を作り出していくところがUIアーキテクチャの役割である。

少し大げさにいえば、社会、人、装置を含めた「映像システム全体」を実際に結びつけ実行可能にしているものがUIアーキテクチャであると言える。


マルチレベル設計がユーザーを育てる

マニアックにして難易度を上げるとそれを実現したときの価値は高まるが、ユーザーは減へってしまう。逆に、簡単にしすぎて無価値になるとユーザーが減るか、または無限に拡大し日常化(コモディティ化)してしまう。

ゲームデザインのレベル設計のように、適切な難易度と価値を上手に設計することもUX設計/UIアーキテクチャの腕の見せ所となる。

ことさら複雑であることに価値があると言いたいわけではないが、写真と人との関わり方は、人生のライフステージや、知識や経験によって、大きく変化していくものであり、それを受け止めるUIアーキテクチャ多様性やシナリオの柔軟性に対応するために複雑にならざるおえない。

もちろんアーキテクチャが複雑なことと、それぞれの製品UIやユーザーから見た使い方が複雑ということとは違う。むしろそれらを当初は簡単に見せながら、変化に対応し、やりたいことがやれるように懐を深くしていくことを目指している。



今回は、具体的なカメラUIの話ではなく、より俯瞰した視点からデジカメのUIアーキテクトの仕事の世界観をまとめてみた。

春になってもう少し写真を撮りに行けるようになれば、私の体験を通して具体的なカメラUIの話題を増やしていけるはずである。


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