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AIの役割は変化する。UIデザイナーは何をしなければならないのか。

前回の記事で書いた「AIの役割」についてもう一度整理してみます。

AIの技術、とりわけ機械学習やディープラーニングを使った技術は、すでに具体的な製品に利用され初めています。
画像(物体)認識やデータマイニングに利用され、大量データを抽象化して理解しやすくしたり、リアルで混沌とした実情報空間から特定のポイントをピックアップできます。

PanasonicのLumix G9Proでは、ディープラーニング技術で後ろ姿でも人物認識できるようにしています。

Webの記事などで目にするのは、このパターンのAIが多いのではないでしょうか。

たぶん今後5年先くらいまでは、この流れが続きます。

しかし、その先の10年、20年先を考えると、それとは違う方向でAIが使われる未来があると思っています。

この図は、AIが学習するデータがどこからくるのか、またAIの役割が個人の活動に対して内側か外側かを簡易的に表したものです。
このなかでAIの進化を①~③の3つのパターンをまとめています。


①集団活動から学習して、個人の活動の一部を自動化するAI

まず現在使われているAIのパターンです。
学習はリアルタイムでおこなうことができないため、集団の一般的なデータから学習させたものを、個人の自動化に利用します。

皆がやっていることを個人もおこなうという前提で作られているため、ユーザーや利用状況によっては、不満がでてしまう場合があります。

逆に、ユーザーに経験が無くても、集団のノウハウを利用することができるというメリットもあります。


②個人活動から学習して、個人の活動の一部を自動化するAI
組み込み系のCPUの能力向上や5Gによる通信能力向上が実現すると、個人活動データからリアルタイムに近い形で、学習と再現がおこなえるようになります。

いわゆる、使うほどに賢くなる機器や、自分にフィットする機器です。
カスタマイズを手動でおこなわなくてもユーザーの好みを学習して、便利に使えるようになります。(テーラーメードAI)

この段階になると、人と機器の関係性に大きな変化が起きます。

UIデザインによっては、機器を友達や恋人のように感じて使用する人も出てきます。
ハードウェア部分が壊れても、捨てたりできなります。その場合にはキャラクターを新しいハードに移植する「引っ越し」もUIの一部になってきます。

もちろん、集団活動のデータは活きていますので、個人活動との差を見つけた場合に適切に動作することも考えておく必要があります。


③社会と個人の活動から学習して、個人の活動を拡張するAI
ここまでのAIの使われ方は、個人の活動の一部をユーザーに代わり自動化してAIがおこなうパターンですが、
AIとUIの進化によって、ユーザーが意識できていない内容についても、ユーザーをコーチングしながら、活動の拡張をおこなうことができるようになります。

AIが人間の活動意識を超えたところで働くことで、ある意味で人間をコントロールすることになり、その安全性や倫理性などの問題がでてくるのもこの段階になってからです。

UIデザインを正しくおこなわなければ、強い嫌悪感や恐怖を感じるユーザーが現われる可能性があります。

この段階では、機器は現在の「道具」という枠を超え、UIデザインとコミュニケーションデザインは、ほぼ同じデザイン領域になるのではないでしょうか。


UIデザイナーとして変化に合わせて変化する。

①→②、②→③と2回の大きな「ヒトとモノとの関係性の変化」をUIデザイナーは迎えることになります。

①→②の変化では、同じ製品でもユーザーによって動作が異なるようになります。
その場合の、製品の動作や事故の責任はどこにあるのか、ユーザーサポートはどうおこなうのかなど、考えなければならないことが沢山あります。
それらの問題も総合的にデザインすることがUIの役割となります。特に医療や自動車などでは重要なポイントです。

②→③の変化では、AIがユーザーを超越した立場で振る舞うためのUIが必要になります。
ユーザーのネガティブな反応に対して教育的に振る舞うなど、ユーザー中心の視点を大きく拡張していく必要がでてきます。


現在30代以下のUIデザイナーは、この変化に対応することが求められます。
私たちがデジタル時代ネットワーク時代を楽しんだように、AI時代を楽しんで頑張ってください。



記事中の製品画像はメーカーのホームページからの引用です。
画像にリンクを貼っています。

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