作品集-12

表現を広げる周辺アイテム

「時間」や「光」をコントロールすることで、写真の表現は大きく広がります。

表現を広げようと考えたときに最初に思いつくのは「レンズ」ですが、特徴のある表現ができるレンズは高価な場合が多く気軽に試してみることはできません。

そこで、ぜひ検討してもらいたいのが「三脚」と「フラッシュ」です。これらを使うことで時間と光をよりダイナミックにコントロールすることができるようになり写真の表現の幅がぐっと広がります。

三脚

手振れ補正が使えることで、夕暮れなど手持ちで撮影できるシーンが増えたとは言え、何分、何時間という「時間を閉じ込める表現」のためには三脚が必要です。

また、フレーミングを追い込む時に、時間を止めてじっくりと検討することができます。
手持ちで自由にカメラを動かすことで様々なフレーミングを試すことができるようになりますが、脳が作品としてじっくりと判断するのには向きません。

三脚無しで撮影するメリットは、どんどん動き回り多くのシーン多くのフレーミングに出会うことができることですが、数センチ、数度の微調整によって写真が大きく変わることには気付きにくくなってしまいます。

美術館で絵画をじっくりと見ることを思い浮かべてください。全体やディテール、背景や意味などを頭の中に巡らせているのではないかと思います。
写真も同じように、時間を掛けて見られることを想定して、撮影するときにもきちんと鑑賞をしながらフレーミングすることで生まれる表現があるのです。

三脚もレンズ選びと同じで、数千円のものから数万円のものまで、価格も大きさも重さも様々なものが販売されているので迷ってしまいます。

私のオススメの購入方法は、ヨドバシカメラやビックカメラの三脚売り場にいき、現物を見せてもらいながら使いこなしテクニックまで教えてもらって購入する方法です。

行くときに重要なのが、実際に撮影にいくカメラバックと撮影機材を持っていくことと、どんな被写体(撮影ジャンル)を撮りたいのか、予算が1万円か2万円かを予め伝えておくことです。

三脚はこれまでの撮影機材の中で最大のものになるはずなので、カメラバックに入れるにしても、個別に持っていくにしてもきちんと現物で確認しておいた方が安心です。

フラッシュ(ストロボ)

フィルムからデジタルになりISO感度が上げられるようになったことで、色々な条件で動きを止めた表現ができるようになりましたが、現在でも光を使って表現するためにはフラッシュは手軽で便利な道具です。

「ISO感度を上げられるからフラッシュは不要」という考えは、半分は正解ですが、都会的でシャープな作風の写真を撮るために多くのカメラマンがフラッシュを表現の一部として活用しています。

何よりも、環境光と違い、光を微調整して追い込むことができます。
被写体(環境)とカメラ、フラッシュの3つの関係を微調整しながら、最適な表現を探していくことができる一方で、そのことがフラッシュを使いこなす難しさにもなっています。

光量をどうするか、位置と方向(範囲)はどうするか、どのタイミングで発光させるか(先幕・後幕)など、一気に撮影パラメータが増えていきます。

これらの複雑さをフィルム時代の人は、何度も失敗しながら学んでいきましたが、デジタルになった現在では、その場で試してみながら「調整」することができますので、改めてフラッシュに注目してみると表現が豊かになるかもしれません。

「お気軽」から「思い入れ」へ

悲しいことに、どちらも最近は嫌われものとして扱われる場面があり、マナーの問題ですが注意が必要です。
写真を受け身で撮るのではなく、道具を使ってコントロールし表現するということですので、場所とタイミングには気をつけなければなりません。

マナーの点でトラブルを避けたい、また撮影機材を小さく・軽くしたいということからも、写真が「お気軽」な方向に向かっている時代ですが、そこで出来た「余裕」を上手く使って「思い入れ」のある作品に投資してみるという考え方もできます。

ニコン、キヤノンもフルサイズのミラーレス機を発売し、システムの小型・軽量化に一歩踏み出しました。さらにAPS-C機やマイクロフォーサーズ機にしていけばかなりの余裕ができるはずです。

写真の表現を広げるこれ程良い時代はこれまでありません。私ももう一度ほんとうに自分がやってみたい表現を考えてチャレンジしていきたいと思います。

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