無題

ごく、ごくたまに、音楽で生きていければなあと思うことがある。

幼いころから音楽を聴いたり、歌ったりするのは好きだった。父や母の運転する車の助手席に座り、自分の好きな音楽を勝手に流して歌っていた。風呂に入れば、その時好きだった曲を大声で歌った。しかしながら、小学校3年生から始めたバスケはまた別のものとして楽しかった。ひたすら身体を動かして、ボールを追いかけて飛んだり跳ねたりに没頭し、演奏側に立ちたいと思ったことは一度もなかった。それでも、中学時代の一番の楽しみは、お小遣いをかき集めて友人と行くカラオケだった。

バスケの部活推薦で高校に入学した。その後の人生のことは何も考えていなかった。とある理由で部活を辞めるまでは「今バスケができればいい」と本気で思っていた。

部活を辞めてからは、何をしていいのか分からなかった。学校の成績もいい方ではなかったし、自分が大学に行きたいのかどうかも正直分からなかった。

手持ち無沙汰になった僕は、落ちこぼれにはならないようにと、親に高いお金を出してもらってとりあえず籍だけ置いていた予備校に通うようになった。いつの日か、大学に行かなければ、と思うようになっていた。別に勉強がしたかったわけではなかった。かと言って、他にやりたいことがあるわけでもなかった。

志望校が決まってからは、時間が流れるのが異常なほど早かった。模試の結果もいつの間にかD判定からA判定になっていた。何も考えず、ただ「大学に行く」という目的のためだけに、今となってはほとんど覚えてもいないような知識をひたすら詰め込んだ。

そうして僕は、それまではるか遠い地だと思っていた「東京」にある大学に入った。

それまで福岡にしか住んだことがなかった僕にとって、大都会の日常は刺激が強すぎた。そんな環境でさえ自分を思い出させてくれるものは、昔から好きだった音楽しかなかった。バスケをしようとは、不思議と思わなかった。

とりあえず、という気持ちで音楽サークルに入った。新しい環境で、新しいことがしてみたかっただけなのかもしれない。楽器の演奏に特別な興味があったわけではなかった。ただなんとなく「できたら楽しそう」くらいにしか思っていなかった。

楽しかった。

高校入学前に家族で行ったハワイ旅行で、初めて聴いたウクレレを少しだけ弾けるようになった。楽しかった。

留学に行く直前、大好きだったバンドの曲を演奏したいと思い、ドラムを始めた。同じバンドを好きだった先輩に無理を言って、大した技術もないままバンドを組んでもらった。失敗はしたが、とんでもなく楽しかった。

留学から帰ってきてからも、たくさんの曲を演奏した。楽しいという言葉を使いたくないほどに、ひたすらに楽しかった。もはや楽しいなんてものではなかった。

福岡の大学に行っていたら、もしくは大学に行っていなかったら。僕は音楽を演奏していなかったのかもしれない。

話は戻る。僕は最近になって、音楽で生きていければと思うことが、数日に一度くらいある。

演奏で生きていきたいのかどうかは、分からない。もしそれができたとして、ずっと楽しいのかどうかも、分からない。ひたすら続けるとしたら、もしかしたら聴いているだけの方が楽しいのかもしれない。

ここまでだらだらと書いてきたが、簡単に言うと、

文章で生きていきたいと思うことよりも、音楽で生きていきたいと思うことの方が増えた。

もしかしたら文章を通じて音楽の魅力を伝えたいのかもしれない。でもそこには、文章に対する向上心のような気持ちよりも、音楽に対する愛の方が強いような気がしている。

最近の自分の中の葛藤を、むりやり言葉にしようと思った。そしてこの「文章のようなもの」ができた。

きっと僕は今、悩んでいるのだと思う。自分の本当に好きなこと、やりたいこと、仕事にしたいこと、その他いろいろな欲求が激しく戦っているのだと思う。僕は何をしたいのだろう。何を仕事にしたいのだろう。

音楽で生きていくというのは、音楽を仕事にするということと同義なのだろうか。

答えが出るまでには、途方もない時間がかかるような気がしている。

あまり悩むのは好きではないので、いつも中途半端に考えるのをやめてしまうタイプだが、今回に限っては、悩み抜いて答えを出したいと思っている。

思い返してみれば、自分の感情を整理せずに書き殴ったのは、初めてかもしれない。こういうのも悪くないかもしれない。何が言いたいのか分からない。自分でも分からない。

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吉田 コウ

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