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ビールで乾杯!

「向こうの空、ちょっと夕焼けになってるよー。」
「あー本当だ! 」
「曇り空だったり、雨が降っていたとしても、
雲の向こうは毎日 夕焼けがあるんだよ。」

午前中からずっと降っていた雨も 上がりました。
今日も こざる達は 賑やかに楽しくおしゃべりしながら、
夕飯の仕度をしています。

「九州の方の大雨、大変なことになっているんだよ。」
こざる達は、朝からずっとニュースを聴いて、
心配しています。


「あれ?」
冷蔵庫を開けた こざるちゃんが何か見つけたようです。

「缶ビールが入ってる!」
「あー、それ、お昼に来た常連のお兄さんがくれたんだ。」
「缶ビールを?」
「うん、何でもコンビニのくじ引きで当たったんだけど、
来月、健康診断があって、アルコール控えているからって。」
「家にあると、飲んじゃうからって言ってたよ。」

あのお兄さんは、なかなか立派な体型をしているので、
健康診断の前には入念な準備が必要なのでしょう。
でも健康診断の本来の目的には反するようにも思います。

「えー、でもどうする??」

こざる達は、普段はアルコールを飲みません。
りこちゃんは、以前は飲んでいましたが、今は飲みません。

「りこちゃんは、たくさんは飲まないんだけど、
『ちょっとお酒があると、食事も美味しく味わうことができるし、
精神的とてもいいんだよ。』って言ってたね。」
「うん、ビールもコップ一杯、ワインもグラスに一杯、日本酒もお猪口に一杯、
そのくらいで、とても嬉しそうだったね。」

そんな嬉しそうにお酒を飲んでいた りこちゃんが飲まないので、
こざる達も飲まないのです。

「うんと、久しぶりに、その缶ビール、皆でちょっとずつ飲んでみようか?」
「りこちゃんも?」
「そうだなぁ、りこちゃんはスプーン一杯くらいかな?」
「もっと欲しい!って言いそうだよー。」
こざる達は笑いながら、うんうん頷きます。

「お酒は気分よく飲む程度で それでちょうどいいんだよ。」
りこちゃんは、よくそう言っていました。

「じゃあ 今週末にでも、皆で一口ずつ飲もうか?」
「うん、そうしよう!」
「あ! いいこと思いついた! ジュースで割ってパナシェにしようよ!」
「あー、それがいいよ、そうしよう!!」
「賛成!!」
皆、目を輝かせて うんうん頷きます。

ラジオから、静かに 美しく優しい曲が聴こえてきます。

「水芭蕉揺れる畦道 肩並べ夢を紡いだ
流れゆく時に 笹舟を浮かべ
焼け落ちた夏の恋唄 忘れじの人は泡沫
空は夕暮れ」

森山直太朗の『夏の終わり』です。

こざる達は静かに聴いています。

「夏の終わり 夏の終わりには
ただ貴方に会いたくなるの
いつかと同じ風吹き抜けるから」

夕飯の仕度が出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんは そう言って りこちゃんの部屋へ向かいます。

「誰かが言いかけた 言葉寄せ集めても
誰もが忘れゆく 夏の日は帰らない
夏の祈り 夏の祈りは 妙なる蛍火の調べ
風が揺らした 風鈴の響き」

「りこちゃーん、夕飯が出来たよー。
今夜はイワシの梅煮 作ったよ! 皆で一緒にたべよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
ちょっとお酒があると、食事が美味しくなるんですよね。
よい毎日でありますように (^_^)

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