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流れ星が たくさん

「何だか日が暮れるのが早くなった気がするよー。」
「うん、そうだね。先月は6時はまだまだもっと明るかったよね。」
「夏至は6月だったし、もう立秋も過ぎたからねー。」

日が暮れると、鈴虫やコオロギが鳴いているのが聞こえてくる日も
もうすぐでしょう。

「真夏だ!って思っているうちに、すぐ秋になるね。」

来月は秋分があります。
本当に時が経つのは早いです。

こざる達は 今日も、いつものように 賑やかにお喋りしながら、
夕飯の仕度をしています。

「さっきラジオで言ってたんだけど、ペルセウス座流星群が今夜、見頃なんだよ!」
「そうなんだ! 見えるかなぁ?」
「流れ星、見たいねー。」
皆、うんうん頷きます。

三大流星群の一つ、ペルセウス座流星群は、月が沈んだ後、
8月13日未明から明け方にかけてが見頃だそうです。

「夜中に起きて、ちょっと見てみる?」
「そうしようか?」

こざるカフェのある地域は真夜中でも町の灯が明る過ぎて、
夜空を眺めるには向いていません。

「ずっと前の今頃、りこちゃんと一緒に高原に行って、流れ星たくさん見たよね。」
「皆で、わーわー言いながら、見たよね。」

夜の空は真っ暗で、流れない星もたくさんキラキラ光っていました。

「ぼく達、大興奮して、あそこに! あ、あっちにも!ってねー。」
「本当に綺麗だったね。」

本来なら、こざるカフェのある地域でも見える星たちなのです。
空は同じなのです。

「いつも思うんだけど」
こざるちゃんが言います。
「ああいう場所で生まれ育った子供たち、とっても幸せだなぁって。」
皆、うんうん頷きます。

「生まれた時から目に映るものが、自然がたくさんあるところと、
コンクリートジャングルの中では、育つ感性も全く違うんじゃないかなぁ。」
「毎日、見ているものだからね。」
「りこちゃんも よく言ってたね、感性は理屈じゃないんだよって。」
「マニュアルなんかないしね。」

そうですね。
子供の時に見たり触れたりして感じることは、
同じことを大人になってから 後から感じるのとは 大きく違います。

「大人になってからでも、ああいう景色を毎日見て過ごすって
幸せだよね。」
皆、うんうん頷きます。

それでも、こざるカフェのある地域は空が大きく広く、
遠くまでよく見渡せます。

「空はどこまでも広がっているよー。」
「遠くまで、海の向こうまでつながっているのがわかるくらいに
広がっているよー。」

それに大きい原っぱや、公園、緑も多く、
高い建物もあまりありません。

「都心は便利で最新のお店がたくさんあって楽しいのかもしれないけれど、
ぼく達、広い空がないところは ちょっと息が詰まりそうになっちゃうなぁ。」

遊びに行くにはいいけれど、とても楽しいけれど、こざる達にとっての 日々を穏やかに暮すところとは違うように思います。

夕飯の仕度が出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが、スキップして りこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、夕飯できたよ。
今夜は手巻き寿司だよ! 皆で一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
うまく流れ星が見えるでしょうか?
よい毎日でありますように (^_^)

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