スクリーンショット_2019-03-08_0

旅人は 笑顔で手を振って

「雨だねー」
今朝も、雨が降っています。

「今夜は、雷が鳴るかもしれないって言ってたよ。」
「春の嵐かー。」

こざる達は、朝ごはんの仕度をしています。
ラジオからは、こざる達の大好きな歌が静かに流れてきます。

「たとえ異国の白い街でも 風が のどかな隣町でも
 私は たぶん同じ旅人 遠いイマージュ 水面におとす」

松任谷由実の『水の影』です。
こざる達は、以前から この静かな歌が、
なんとなく 人が天国に旅立つ時のことを
歌っているような気がしています。

以前、りこちゃんが入院して、
高齢なので もしかしたら危ないかもしれない、
その時に この歌を思い出して、
人は、こうやって静かに穏やかに旅立つのだと感じたのです。

「時は川 きのうは岸辺 人はみな ゴンドラに乗り
いつか離れて 想い出に手を振るの」

朝から ちょっとしんみりとして、
こざる達は、朝ごはんの仕度を続けます。

「うんとね、この前、『ほぼ日』の糸井重里さんと
写真家の幡野広志さんの 対談の記事
を見ていたんだ。」
「うんうん。」
「その記事は、お別れの時について書かれていて、
その中で、糸井さんが『手を振ればいいのよ』って言ってたんだ。」
「手を振ればいいんだ。」
「そうなんだ。糸井さん、もう自分の葬式用の写真を用意していて、
手を振っているんだよ。」
「なんか、いいね。」
「うん、死ぬことは別に特別なことじゃないっていうか、
なんかね、ちょっと安心したよ。」
「生まれたら、みんな、いずれ亡くなるんだもんね。」
「糸井さんは『ぼくらは みんな悲しむことまで含めての「関係」ですから。』って言ってて、ああ、そうなんだよねーって思ったんだ。」
「そうだよね。全部ひっくるめて、いいことも 悪いことも、
全部で思い出なんだもんね。」
「うんうん。」
「旅立つ時は、もちろん悲しいけれど、でも笑顔で手を振りたいね。」
「終わりよければ、全てよし、だね。」

こうして少し前までは、
どことなく避けられてきた死を普通に話すということが
大切なのでしょう。
誰もが直面する 身近なことですから。

そんなことを話しているうちに、朝ごはんの仕度ができました。

「りこちゃん、呼んでくるよー。」
こざるちゃんは、りこちゃんの部屋に向かいます。
「りこちゃーん、朝ごはん、出来たよー。」

今日も こざるカフェは、ゆっくり始まって、
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
人が旅立つイメージというと、このユーミンの歌と、
あとミヒャエル・エンデの『モモ』の"時間の花"が 思い浮かびます。
こちらは、またそのうちに書くかもしれません。
なお『水の影』は、あくまでも、私個人のイメージで、
お別れの時と感じているものです。

よい毎日でありますように (^_^)

こちらも、是非、読んでみてください。
『これからのぼくに、できること。』 - ほぼ日刊イトイ新聞


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?