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ぼけっとするのは、最高の気分転換

今日、四月五日は、二十四節気の清明です。
その言葉からイメージするように、
日差しが眩しいくらい よく晴れています。
気温も上がって、夏日となったところも多かったようです。

「今日は、すごく風が強いねー。」
こざるちゃんは、窓辺で、外を眺めています。
すぐ近くの桜並木のところには、
風に押されながら歩いている人たちが見えます。

今は桜ばかりに目がいってしまいますが、
ハナミズキや、つつじも、どんどん育って、
次に花を咲かせる準備をしています。

花をつけない木々も、いつの間にか新しい葉っぱが
次々に出て来ています。
こざるちゃんは、特にケヤキの新しい葉っぱが好きです。
小さくて、綺麗な黄緑色で、そこだけキラキラ輝いているようです。

「春が来たんだ。」

こざるちゃんは、ぼーっと外を眺めています。

「何、見てるの?」
他のこざるの声で、こざるちゃんは、はっ、と我に返りました。

「うんとね、外のケヤキの新しい葉っぱがキラキラしててね。」
こざるちゃんは、説明します。

「これこれ、今、読んでいる本の中の、これだったよー。」
「ん? 『翻訳できない世界のことば』?」

綺麗なイラストの表紙には、そう書いてあります。
エラ・フランシス・サンダース著、前田まゆみ訳 と あります。

「イラストレーターのエラさんが あちこちの国の言葉から選んだ、
素敵な言葉が集められた本なんだよ。」
「そうなんだ、いいねー。」
「それでね、日本語の「ぼけっと」も選ばれていて、
とても素敵な説明が書いてあるんだよ。」

そこには、こう書かれてあります。
「日本人が、なにも考えないでいることに名前をつけるほど、
それを大切にしているのは すてきだと思います。
いつもドタバタ忙しいくらしのなかで、
あてもなく心さまよわせるひとときは、最高の気分転換です。」

「わぁ、いいねー。
エラさんは、ぼく達が ぼけっとしている様子を素敵だと思ったんだね。」
さっきまで、ぼけっとしていた こざるちゃんが嬉しそうに言います。

「りこちゃんも、ぼく達も、ぼけっとするのは得意だよね。」
「うん、朝飯前だよ!!」

もう朝ごはんも、お昼ごはんも終わって、そろそろ おやつの時間です。

「りこちゃんに、もうすぐおやつだよーって言って来るねー。」

こざるちゃんは、りこちゃんの部屋へ向かいます。

ラジオからは、こざるちゃんの大好きな歌が聴こえてきます。

「名もない花には名前を付けましょう
この世に一つしかない」

コブクロの『桜』です。

「冬の寒さに打ちひしがれないように 
誰かの声で また起き上がれるように」

「りこちゃーん、もうすぐおやつだよー。
今日は、草餅だよー。」

今日も こざるカフェでは、ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日も また気温が上がって、黄砂が飛ぶようですね。
よい毎日でありますように (^_^)


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